与那国と戦争 絵本「やくそく」(その16)
それは、久部良に空襲があった次の年。年が明けたばかりの、一月三日のことでした。 お母さんが仕事から帰って、防空頭巾を脱いだ時、ダダダダダッダダダダダッと、大きな音が聞こえました。宇良部山がくずれたのかと外に飛び出すと、雨雲が低くたれて、宇良部山が見えません。何かとんでもないことが起きたようです。気になって、ぬいだばかりの防空頭巾をかぶって道を行くと、「うちの人が、船で行ってるんだよー。」と、泣き叫ぶ声が聞こえます。 見ると、知っている人が叫んでいるのでした。お母さんが、落ち着かせてわけをたずねると、漁に行った夫に、何か起きたのではないか、胸騒ぎがして引き留めようかと思いながら、行かせてしまったことを くやんで、くやんで泣いていたのです。そのころの日本は、石油がなくなっていたので、漁船を動かす燃料がありません。それと空襲を恐れて漁に出られないので、久部良の漁船は陸に上げられていました。 そんな状況で日向丸が漁に出たのは、兵隊の食料にするカツオを釣るためだといわれています。(続く)