2024年4月3日(水)
晴れ☀️

災害が目の前で発生している、あるいは迫っているにも関わらず「自分だけは大丈夫」という心理が働く。
それを【正常性バイアス】とか【正常化の偏見】と、災害心理学などでは言うそうです。

災害時における対応や対処法。
それらは専門家の講義で一通り学んできましたが、それは講話や活字での学び。

実際はどうなのか、どうなるのか、
今日、それを目の当たりにしました。

今日のブログは長いですよ~~

「津波警報が出ているので避難して」と言う私の声。残念ながら一部には届きませんでした。

ほんの一部の人ですが【正常性バイアス】が働いたのか、聞く耳持たず。
講話にはありませんでしたが、それ以上の説得はせず、次の避難誘導へ私はどんどん切り替えました。

日頃の防災意識、自己危機管理がどの程度身についているかはその人次第。
逃げないなら逃げないでその人の判断に私は従い、次の助かるべき命の手助けに即刻移行。

それもひとつの津波てんでんこ
それもひとつの私の判断

何を優先するか、するべきか。

実際の津波警報(3m)を体験して今日思ったこと、感じたことは、弱い立場にいる人を救うのは当然のことですが、最優先されることは【助けられる命は確実に助ける】でした。

あの人もこの人もみんな助けるではなく、
助けられる命を確実に助けるです。
冷たいようですが、逃げない、避難しないとダダをこねる人にかまっている時間はありません。

東北地方に伝わる津波てんでんこ
「あ~~ そういうことかぁ~~」と実感しました。

てんでバラバラに、がむしゃらに逃げて避難するのではなく、自分にできること以上の避難誘導、または救助活動はせず、できないことはできないと即断し、自らが避難することも視野に入れ、次なる行動に移る。

できないことの一つは、寝たきりの高齢者をひとりで避難させようとすること。
今日、実際にほぼ寝たきりの高齢者の移動を試みましたが、絶対にひとりでは無理だと判明。
車椅子にさえ乗せることはできませんでした。

大人二人でなんとか車椅子に座らせ、なおかつワンボックスカー(ステップワゴン)の後部座席を倒し、その空きスペースに車椅子ごと乗せる。それが精一杯。

介護用に改造した特殊な専用カーならまだしも、スロープも何もない一般の車に、車椅子に座った大人をひとりで乗せることは不可能。

抱えて車に乗せる。
おんぶして車に乗せる。
その方法も無理でした。

頭で考えている事と、実際にできる行動は違います。

自分にはできないこと、自分には変えられないことに執着しないで、できることを優先する。

子どもを含め誰でもできることといえば避難。
それが東北の知恵【津波てんでんこ】ではないかと、思いました。

下の写真は、池間島唯一の津波避難所【池間地区防災センター】に避難する住民、それに島外から働きに来ている作業員の皆さんが避難している時の様子です⬇️

地上から屋上までの高さは公称8m
標高11.7m(国土地理院マップより)の場所に建設されています。

センター内に避難する住民⬇️

マリン業者やその利用者も避難⬇️

池間小中学校の児童生徒は屋上に避難。
3mの津波が来たら、いま見えている船舶の流出は免れません⬇️

警報が注意報にかわり、センターに残るか、自宅に帰るか、自己判断にゆだねました。

津波が来たとしても高さは数十cmの予報。
(宮古島は30cmを観測)
正午前に避難所は解散しました。


今回の津波警報発令に伴う避難活動。
課題はたくさん残りました。

池間島集落内のどの場所から歩いても十数分で到着する池間地区防災センター
ところが、センター入り口付近に多数の車が路上駐車⬇️

車移動が必要な高齢介護者のスムーズな避難活動の妨げになっていました。

野球で例えると「ボールを打ったらホームベースからファーストまで車で行く」と揶揄される県民性。

あれほど車での避難は止めようと、東日本大震災も、能登半島地震も教訓を示しているにも関わらず、これです。

でもこれが現実。

この状況はある程度想定していましたが、
入り口付近への駐車禁止を呼び掛けても後の祭り。移動しません。

その対応にかまっている時間もなく、
車椅子避難介助車以外の防災センター敷地内への進入だけ阻止して対応。

今回の津波警報で示された3mの津波は実際に来わけではありません。これが今後の津波避難における意識の変化をもたらさないか、懸念されます。

「またどうせ大したことはないはず。だからわざわざ避難はしない」
そう思ってしまう正常性バイアス、正常化の偏見が働いてしまうのではないか。
それが懸念されるところです。

私は避難行動に空振りはないと考えています。何も起こらずとも、緊張感がある避難訓練だと割りきればいいと思うからです。

「今回も良い避難訓練ができてありがたい」

それくらいの気持ちで、避難行動を起こしてもらいたいと思っています。

備えあれば憂いなし

物品だけではなく、心、意識もそうでありたいものです。

その前に、私は絶対に痛風を再発してはいけない。今回のようにタイミングによっては最悪です。何もできないどころか、足手まといになるだけ。

ちなみに、スマホに震度3の地震速報が出た直後、津波警報が出たとき、私は白髪染めの最中でした(笑)

池間地区防災センターのカギを私が保管しているため白髪染めを落とす間もなく同センターにすぐさま直行。

一連の騒動が段落し、夕飯を食べているとき妙に頭が痒い。
ポリポリかいていたらみるみる爪が真っ黒に。

なんじゃこりゃ!!

ビックリするやら驚くやら(同じだってば)  笑

白髪染めの最中だったことをすっかり忘れていました~~

自分、こんなんでこの先大丈夫だろうか、、、

最後になりましたが、防災センター入り口の交通整理をしてくださった誘導員さん。
最後まで本当にありがとうございました。
自発的な車両誘導整理。見事な奉仕の精神に深く感謝します。

また、施設利用者のみならず、島の高齢者のスムーズな避難移動をこなしたNPOいけま福祉支援センター 【きゅ~ぬふから舎】のひとしさんをはじめ職員の皆さん。

同じく介護施設【いこい】の職員の皆さん。
この度のすばやい避難活動、本当に見事でした。ありがとうございました!

学校職員、先生方の子どもたちに対する的確な避難誘導、心より感謝します。
ありがとうございました!

池間島の宿 凸凹家の晋さん、自発的な交通整理、避難所での指示、ありがとうございました!

タマヌオイル【ナウレ】販売  ヤラブの木の大介さん、避難所での指示、飲料水の配布、ありがとうございました!

平日の朝に出された津波警報。
池間島自主防災組織のメンバーが軒並み留守の中、島にいる人だけで見事に対応していただき、同組織の会長として本当に感謝しています。

日本の自然災害は起こるべくして起こるもの。
しかしいつどこで起こるかは誰にも予測できません。警報発令はいつも災害発生の数秒前。

起こったことに対する適切な対処の大切さ。
本当の意味でそれもわかった今日の津波警報に伴う避難活動。

良いも悪いも島の教訓として今後に活かします。