財政局はマカオ市内でもセナド広場と呼ばれる
観光地のメッカにある大きなビルにあった。
マカオの役所に行く度に思うのだが、
たがだか60万人都市にしては
施設は立派すぎるし、役人の数も多すぎる。
さすが毎年財政黒字で国民全員に10万円以上の
お年玉を配ってしまうくらいの余裕が
政府全体に浸透している。
マカオで就職が自由に選択できるなら
間違いなくカジノより政府がいい。
休みは多く
6時の定時なのに5時半には帰り支度が出来るのだ。
いかん!また現実逃避しているではないか。
今は自分の存亡をかけて
頑張らなくてならない時だった。
財政局の二階に上がり、受付で番号札を受け取り
呼ばれるのを静かに待つ。
社会保険庁同様、銀行に似たカウンターがいくつも並んでいた。
電光掲示板の音が鳴り、僕の番号が点滅し
行き先のカウンターの番号が表示される。
一度、社会保険庁で手紙を渡した経験から
さほどの緊張もなく、僕はカウンター越しに座る。
まだ20代半ばくらいの女子の役人に手紙と給与記録を渡した。
女子の役人は僕の手紙を一通り読み終えると
明らかに焦った態度で、
ちょっと待ってくださいと僕に伝え、席を離れた。
なにやら社会保険庁とは対応が違う。
しばらくすると女子の役人が戻ってきた。
「今このフロアのボスが不在で、3時に戻ってきます。
ボスと直接話して頂きたいので、
もう一度3時にここに戻って来てください」
マジか。。書類を渡して帰れると思っていたのに
今からボスと面談になるとは。
3時まであと45分。
嫌な間の空き方だった。店に戻るには時間が短いし
ここで待つには長く感じる。
結局、カウンターから少し離れたところにあった長椅子にすわり
ひたすらiPhoneを触って気を紛らせようとした。
しかしiPhoneに映る情報は何一つ頭に入ってこない。
45分とはこんなにも長いものなのか。
ようやく3時になりさっきのカウンターに戻る。
その時にはすでに待ち疲れていた。
カウンターで先ほどの女性に話し掛けると
あ、って顔をしてカウンターを離れて僕のところまでやってくる。
「こちらへどうぞ」
どうやら別室を用意されたみたいだ。。
招かれた部屋は半分が倉庫、
半分が会議室になっているような部屋だった。
客人対応でないことはよく分かる。
女性に座るように言われ、
長テーブルに座り一人で待つことになった。
緊張感だけが増していく。
いや、今は何も考えないほうがいい。
しばらくして部屋に現れた男性はおそらく40代半ばの
小綺麗なスーツを着た男だった。
しかし表情は硬い。
男性の役人は立ったまま、僕の提出した手紙と給与記録を
僕の座るテーブルに並べる。
そして給与記録を指差し
「This is Really?」
そう言って僕の顔を見た。
つづく。