今年も駅弁大会の季節がやって来た。

すっかり駅弁専門となってしまった感のある当blog。

今回も、暫しお付き合いのほどを。

 

駅弁大会―――正式には「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」。

昨年、60回目を迎えた反面、新宿京王百貨店再開発が迫る中、最悪廃止になるのでは?と危惧していたが、今回も無事開催されるに至った。

 

毎度のことだが基礎用語の復習から。

 

「実演販売」…7階会場の販売ブースで、調理して出す駅弁。

「輸送駅弁」現地から輸送されてくる駅弁のこと。多くは7階特設会場にて販売されるが、7階の実演販売ブースで、調理されるものとは別に、同じ調製元の駅弁が輸送&販売されるものもある。

「全国うまいもの」会場の販売ブースで売られる、駅弁以外の食品。

 

公式サイト掲載のチラシのスクリーンショットを借用。

 

今回の"対決企画"は"でかネタ対決"。

取り上げられる弁当同士が特に鎬を削るとか、売上個数を企画内だけで競うとか、そんな様子は微塵も見られず、"対決"になっていないので、紅白歌合戦同様、個人的にはあまり意味がないと思っている。最も「紅白」の場合、男女混成グループが出てきたり、性別無関係でいずれかの組に強引に組み入れたり、近年は反日国のグループを強行出場させる某放送局のあり方そのものに批判が集まり、男性軍vs女性軍どころの騒ぎでないような気もするが…。

今回の"でかネタ"は、昨今のコンビニ弁当において、期間限定のデカ盛りとか、増量とか、そういった品々がものすごく売れ、時に"瞬殺"状態にあるのを見るにつけ、目を引くことは事実。目の付け所は良いと思う。

デカ盛りで目を引き、高価なデカ盛りを買わせ、客単価を上げるーーーロピア商法そのものではないか!

 

その一方で、これは近年毎年書いていることだが、廃業、撤退する店、アイテムが後を絶たない。毎年楽しみにしていた品が来ないことの寂しさを、毎年のように感じさせられている。

長崎鯨カツ弁当の調製元は昨夏前に倒産し、「肉のふがね」は出店を見送るという。「5ちゃんねる」情報では、釜飯の「駒乃屋」も近く店を閉めてしまうという。

 

更には、未だ記憶に新しい"令和のコメ騒動"だ。

米飯弁当が大半を占める駅弁にも、その影響は測り知れない打撃を与え、価格高騰が止まらない。

原材料費の高騰はコメに限らず、例に出して悪いが、北海道の「いかめし」は、今回何と1,480円もするのだそうである。

私がこのイベントに通い始めた最初の頃は、同じ量で5〜600円であった。実に3倍近くに跳ね上がってしまった。

こうなると、ちょっとした高級品である。

コーヒー代くらい足せば、昔から高い高いと思っていた神保町「ボンディ」のカレーが食える。「キッチングラン」から改名の上、復活を遂げた「キッチンVIVA」の盛合せなら、高くなったとはいえお釣りが来る。

「いかめし」の擁護をしておくと、小ぶりのイカが高騰しているらしいのである。

大晦日の日が暮れてから、漸く公開された「駅弁リスト」を見るに、千円以内で買える弁当は今や絶滅危惧種となった。

逆に以前は2,000円というのが価格の上限ラインだったのが、今やちょっと気を惹かれる駅弁は2,000円台後半が当たり前。流石に3,000円の大台を突破するものは未だ数少ないが、ゼロではない。

この時期、例えば池袋東武の大北海道展などでは、何と1万円超の高級牛肉弁当まで現れ、噂に聞く「ORIGAMI」の食事メニューさえ凌駕する超高級ぶり。尤も駅弁ではないが…。

1万円超の駅弁ともなると、確か日光彫の弁当箱に入った予約弁当がそうだった気がするが、あれはほぼ器代。絶対に容器をポイ捨てなどできず、実質的には高級容器お弁当付きといった趣であろう。さながら往年の「ビッグワンガム」、もう少し時代が下れば「チョコエッグ」の延長線上かもしれない。

"駅弁強盗"など出てくる可能性だって出てこようというものだ。

昔の鉄道百科に載っていた高級駅弁といえば、神戸牛の高級すき焼き弁当「村雨」だが、名前だけ知ってはいても、実物を目にしたことのない幻の駅弁であった。

その「村雨」さえ、確か2,500円位だった筈。

如何に現代の駅弁が高価なものになったかが窺い知れる。

尤も貨幣価値が違うから、昔の2,500円は、さしずめ今の5,000円位の感覚かもしれない。

 

新幹線沿線に因んだミニ駅弁詰め合わせ弁当は、「My駅弁」という、決められた範疇から4種類を、ユーザーが自由に選べる方式へと発展した。

対象駅弁の販売ブースでは、さながらミニチュア駅弁の体で「My駅弁」用のものが売られ、ちゃんとミニチュア化された掛け紙まで用意されている。

各ブースに展示するなら、いっそのことミニチュア単品で売ってくれればいいのに…と思う。

「My駅弁」は、制度が面倒で、手を出す気にはなれない。

 

…そんなわけで、パッと目を引く"でかネタ"と、今回も実演叶った、後半登場の「うえののあなごめし」くらいしか、個人的には食指を動かされるものはなく、まぁ食べ過ぎを気にしなければならない歳になってきたことだから、丁度いいか…と、恐ろしくやる気がない。

何せ私にとっては、

・My駅弁、めんどくさい

・キャラクターものいらない

・ヘッドマークいらない

・(明石居住歴あるくせに)タコあまり好きじゃない

 →ゆえに、蛸壺容器いらない、集める気ない

・カニ、蒸しウニ、魅かれない

・お椀いらない

・記念どんぶりいらない

・うどんいらない

・コロッケいらない

・ご当地パン、散々食った…

・ぴよりんいらない

・バイク…いいや

・玉出…買いすぎ、食べ過ぎになるから、まぁやめとくか それにあんなに並ぶのが嫌

・高すぎるのは勘弁

・輸送に並ぶのは最低限で済ませたい

 

…お好きな方、楽しみにされている方、暴言多謝。

どうもすみません。

"だったら行くな"と言われそうですね。

 

以下は、これらの要素を避けつつ、幾度か足を運び、実食に至った、極めて個人的な記録と感想である。

 

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1月某日のこと。

ギリギリ開店前に間に合う。

今回から、開店前に並ぶのはMBという中地下のエレベーター前が最優先らしい。

この日は、輸送は最初からパス。開店直後の実演ブースは、どこも信じ難いほど空いており、この日お昼に食べたい弁当を、ほぼ並び無しで買い回り、早くも屋上へと向かう。

学生時代の早弁でさえ、なかなかこの時間はなかったぜ、という、時間はまだ10時半。

 

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のどぐろと銀鮭いくらのえんがわ弁当 (新潟駅) (2,300円)

今年のトップバッターはこれにした。

嘗ての名作弁当・「のどぐろとサーモンといくらの弁当」のDNAを色濃く受け継ぐ弁当。

違うのはカラスガレイのえんがわが入っており、ご飯が茶飯ではなく酢飯になっていることである。そのため、ちらし寿司により近い。少量とはいえイクラも乗っている。

 

メイン食材ののどぐろ塩焼は、一時に比べると、やや大きめのものに戻った感あり。

漬けサーモンが割を食った気がしなくもなく、量は少なめ、身も貧相になったが、安定の美味。

お寿司なので、醤油とわさびが付いているが、のどぐろに醤油をかけるべきか否か暫し迷った末、避けておいた。

塩焼ゆえ元々味はついている。折角の高級魚を、辛みでひたひたにしたくないと思った。漬けサーモンも醤油は不要。

結果、少量のカレイ縁側と酢飯に集中してしまい、随分わさび醤油の効いた酢飯となってしまった。反省…

 

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焼き釜 (駒乃屋) (1,620円)

時々間引いてパスしてきたが、ほぼ毎年食ってるからいいか…と思っていたら、上述の如く、どうやら最後の機会になるかもしれないと思い、予定外の購入。

朝イチゆえ売り切れや、"待ち"にならなくてよかった。

"5ちゃんねラー"の間では専らこの「焼き釜」が人気で、実際よく売れるせいか、他の釜飯よりも多く並んでいた。

優しい甘辛味の五目釜飯である。

ほんのり甘い鶏モモ肉をメインに、ゴボウ、ニンジン、錦糸卵、エンドウ豆、うずらの茹で玉子、椎茸もあったかな…?

表面から一点突破で掘り進め、適当なところでうまく"えいやっ"とばかりに掘り返すと、本品ならではの真っ黒おこげが姿を現わす。

アツアツのおこげご飯をはふはふ言いながら頬張る悦楽‼︎

これが恐らく今回限りとは、何ともお名残惜しいことよ!

 

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常陸牛サーロインステーキ重 (水戸駅) (2,780円)

初っ端だから、3つ目も行っておくか。

買ったのはこの弁当がトップバッターであった。

でっかいビニールに買った弁当を入れる私を見て、お店のおっちゃんに「今日は何個買うの?」と尋ねられた。

「今日は上で食べる分と、夜食べる用にあと2個ずつです。最初だから、大人しくしときますよ」

そう答えた。

現地からこのイベントのためにお店の方もわざわざ出張されて来る。結構気さくに話しかけて来られる方もいて、血の通ったやりとりが偶にある。こういうところが実は好きだ。

びっしり敷き詰められたサーロインステーキ…を名乗るには、少々肉が薄く、豚の生姜焼き用ロース並なのだが、一応噛みごたえはあるので、肉肉しさは十分感じられる。

面白いのは、脇の玉子そぼろだけでなく、肉の下、ご飯の上には、海苔、きんぴらごぼう、小松菜、椎茸、確か炒めモヤシもあったような…結構野菜系具材が多数隠れていること。

肉だけ食ってちゃ、ダメだぞ!

野菜もたんと食え!

そう言われている気がした。

 

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すっかり腹がくちくなったところで、再び場内へ。

ある意味、今回前半のお楽しみの一つ。

ここからは、冷たくて甘いもの専科!

 

ジェラートコレクション (シングル:500円/ダブル:700円)

正面入口右手に大きなショーケースがあり、主に女性客が時折足を止め、多数並んだジェラートたちを覗き込んでいるが、売り子のおっちゃんの呼びかけ空しく、あまり買う人はいなかった。

とはいえズラッと居並ぶフレーバー数、実に21種類!

 

嘗てのイタリアンジェラートブームの頃に比べると、ジェラート店も随分デパ地下から姿を消した。

偶に見かけても、今どきのジェラート屋は、何であんなに高いんだろう?

ダブルで1,000円超えなんてところもあるんですぜ。

あゝ松屋銀座にあった「ペラキアサンテ」、東武や高島屋にあった「パンチェーラ」、セゾン系にあった「ラ・ケーリ」が懐かしい。

…これらの店が百花繚乱だった時代、ジェラートという食べ物は、シングルで200円台半ば、ダブルで4〜500円代、トリプルなんて強者もあって、それが700円もすれば高い方。

そんなお手軽価格だったのは遥か昔。

今ではジェラートはすっかり高嶺の花と化してしまった。

 

そんな現状からすれば、特に「ダブル:700円」というのは、今どきのジェラートにしてはまだ良心価格と言えるのではないか?

 

21種類を誇るフレーバーの中から、今回は

4番・マレーナ

8番・オレンジバニラのマスカルポーネ

を選択。

それぞれ、大阪府、石川県の店のものらしい。

「マレーナ」は、ローストしないアーモンドに、シチリアオレンジが隠し味。

「オレンジバニラのマスカルポーネ」は、オレンジ味のレアチーズ風ジェラートのフランボワーズソースがけ。

上の写真では、「マスカルポーネ」が上で、そちらから食べ進めることになる。

期せずしてオレンジが被ってしまったが、さっぱりしたチーズ味の「8番」、ローストほどではないがアーモンドの粒々が良いアクセントとなる「4番」。いずれもありきたりでない一捻りした味わい。

…とここまで書いて、「マスカルポーネ」の味に、何だか既視感を覚え、昨年の当blog記事を辿ってみて驚いた。

昨年、多分同じものを食べていたらしい。

…昨年のことなどすっかり忘れ、直感で選んだが、やはり好みは変わらんものだなぁと改めて思った。

 

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清泉寮ソフトクリーム (500円)

〽︎思えば遠くへ来たもんだ…

じゃないが、このソフトクリームも遂に500円まで値上がってしまったか…。

ワンコインで食べられなくなる日もそう遠くないかも…。

 

濃厚すぎず、クリーミーすぎず、僅かにシャリシャリした食感なきにしも非ず。甘さも控えめすぎず、さりとて甘すぎもせず。

熱気の籠った場内で、この清涼感が堪らないオアシスとなるのである。

店名が味を表わしているようではないか!

 

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ぶどうジュース (菅原ぶどう園) (300円/1杯)

のどに潤いを齎すオアシス、もう一丁。

やはりこの店の、何ともいえない風味の、このミックスぶどうジュースの味わいは、唯一無二のものである。

嘗て瓶で2本ほど送ってもらったこともあったが、単一の品種でできた上等の瓶ジュースよりも、寧ろミックスのほうに魅かれるのである。

 

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今回はこれにてお終い。

この日持ち帰った弁当と、甘いもののレビューは次回。

 

 

 

前回の続き。
 
チャーシュー切落  [さとう(東京・吉祥寺)] (660円)

 丸いメンチカツで有名な吉祥寺の行列店の、これはお徳用。ご覧のように、チャーシューの端、切落しの詰め合わせである。

 端っこといえども、甘辛ダレが効き、たっぷりと脂身が乗って、口に含めばジュワーっとジューシィな旨みが広がる。

こういう"パンの耳"的商品も、お得用として売られるようになって久しいが、随分昔はチャーシューは流石に無理だとしても、パンの耳くらいなら、ペットのえさ用にタダでもらえた時代もあったのだ。

本品は1パックの量で、たっぷりぎゅう詰めとまではいかないが、まだ安値で抑えてくれている方だと思う。

何せメンチカツ2個分のお金で、何人分かのおかずができるのだから。

 

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霧の森大福 [霧の森菓子工房(愛媛県)] 

   (1,296円/8個入]

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連日限定100個で、平日でも朝10時50分頃には連日完売してしまうのをリストでみて、一度試してみたいと思い、朝一で並んで手に入れた品。

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早い話が抹茶生クリーム大福である。

中のあんこは甘すぎず、上品な味わいで、生クリームもさり気なく入っている感じなので、くどくはない。

原材料に餅粉と書かれているように、これは求肥餅である。それだけに軟らかい食感は購入後しばらく経っても維持され、すぐに硬くなることはない。

しかし、それがために結構色々な添加物が入っている。これは個人の好みの問題ではあるが、もち米を搗いた本物の餅には、やはり求肥餅は及ばないと思うのである。

愛媛の山奥の道の駅で限定販売され、そこでも入手困難な"幻のスィーツ"らしいのだが、1回食べればいいかな…と思えてしまった。

 

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からいも団子・ あん入/あんなし

   [味のくらや(宮崎県)] (各1個150円)

ここ数年、毎年食べている品。

「からいも」とはサツマイモのことを指す。搗きたてのお餅にふかしたサツマイモを混ぜ、砂糖ときな粉をまぶしたものを「ねりくり」と呼ぶそうだ。更に甘さを抑えた粒あんを包み込んだものが「からいも団子」というらしい。

そこそこ並んでいたので、列で待ちながら、実演ブースを眺めていた。

年配のおじさん職人が、長く伸ばした"ねりくり"を左手親指、人差し指の輪っかからうにょーんと出しては、一口大のところで右手で掬い取り、手際よく丸めて台に乗せていく。

それに更に粒あんを包み込み、形を整えた後、業務用と思しききな粉の袋を開け、豪快に半分ほど一気にまぶして作っていた。

あん入、あんなしで作り分けていたが、本来は「からいも団子」と「ねりくり」ということになるのだろう。

粒あんが控えめな上品な甘さなので、あん入りもしつこくなく、きな粉の味が目立つ優しい味わいであった。

生地のさつま芋の割合が多いため、冷やしても固くなりにくいということである。

固まりにくくなる工夫として、上で取り上げた求肥餅とは異なるアプローチをしたと言えようが、混ぜ物がなく、素朴な味は、何度食べても飽きない。

きな粉があり余るほどまぶしてくれるのも、きな粉好きにとっては嬉しい大サービスである。

 

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あくまき  [味のくらや(宮崎県)] (480円)

「からいも団子」と同じ店で売られていたものを衝動買い。

本品は宮崎県のお店によるものだが、「あくまき」とは宮崎県に限らず、鹿児島、熊本南部で作られるものらしい。

そういえば、あくまき自体、今回が初めてではなく、確か日比谷の鹿児島物産館で買ったことがあったな…などと思っていたが、○○県限定ではなかったのか。

もち米を灰汁に漬けておいたものを孟宗竹の皮で包んだものを灰汁で煮て作る。

柔らかく、粘りは少ないと「Wikipedia」には載っていたが、ナイフで切り分けようとすると、とにかく刃にへばりついて切れない。箸で挟み、ナイフを引き抜き、最後はスプーンまで出動させる始末。

以前食べたつもりになっていたが、段々自信がなくなってきた。売られているのを見かけただけだったのだろうか?

色はご覧の通り茶色で、てっきり黒糖味かと思いきや、味はないに等しい。

真空パックの包みには、きな粉と砂糖をかけて食べよ、と書いてあったことを思い出す。

そこで、先の「からいも団子」で余りまくっていたきな粉をこれにかけて食べることを思いついた。甘みもないため、序に黒蜜もかけることにする。

すると、何だか上等のわらび餅でも食べているかのような味と食感に化けてくれたではないか!

今回特に1/18は、弁当をしこたま買い込んできたので、途中で「もうこれ以上は無理」とばかりに、例年なら必ず買ってきたであろう京都のわらび餅を、泣く泣く蹴ってきただけに、元来わらび餅大好き人間である私としては、大変嬉しい大誤算であった。

冷蔵庫に冷やしておき、後日やはりきな粉&黒蜜で食べてみたら、あんなに悩まされた粘り気が程よくこなれ、ぷるんぷるんとした食感が口の中で心地よく、「ああ、いいものを食べた」、思わずそんな感慨に耽ったのであった。

同じく「Wiki先生」によると、灰汁がえぐくてクセがあるようなのだが、私が食べたものは全くそんなこともなく、ちまきのDNAが入った個性派わらび餅を食べた気分。

それにこの値段。ジェラートダブルのほぼ半額で、これほど濃密な食体験が数日に亘ってできようとは。

見かけることがあったら、また買ってこよう。

勿論、黒蜜&きな粉をかけて。

 

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以上、すっかり遅くなってしまったが、今回の"駅弁大会"全食レポ終了である。

始まる前は、途轍もなく長い会期に思えたが、終わってしまえばあっという間であった。

いつもは正月休みの後、仕事に出ても、何となく正月気分が抜けきらず、駅弁大会の大行列と人ごみにまみれて初めて正月モードから脱却するところが、今年は正月休みと地続きで、仕事始めの前に駅弁大会へ行くという異常事態であった。

 

初めて3期に分かれ、ずっと通しで出店していた実演ブースは果たしてあったのか、なかったのか。「ながさき鯨カツ弁当」と「佐賀牛」位しか思いつかない。

 

お隣小田急百貨店が建て替え工事真っ最中で、最近、新宿西口へ行く度に通路の場所が変わっている気がする。

あのぐるぐるっとした巨大目玉のらせん道路が、新宿西口の象徴的風景で、永遠に変わらないものと思っていたが、これも既に通行止めとなり、近い将来取り壊されて、やがて過去のものとなるそうである。。

昨年、一昨年に最後のまとめ記事で記したことだが、京王百貨店にも再開発計画が忍び寄り、南口のルミネの場所も含め、巨大ビルに建て替わるのだとか何とか。

小田急百貨店の建て替えと書いたが、そう単純なものではなく、今流行りのオフィルビル同居型の高層ビルに化け、その中に小田急百貨店が入るのだかどうだか、という話のようである。

百貨店という業態が時代に合わなくなってきており、例え百貨店とかデパートという名がついているとしても、中身は他の安売りチェーン店がテナントとして幾つも入った、いわばショッピングモールに近い内容に変質しつつある現代ではあるが、流石に新宿の小田急百貨店が撤退してしまうなどということはないだろうと、個人的には思っている。しかし、今、工事真っ只中のあの場所が完成した暁には、小田急百貨店もかなり違った形態のものとなることだろう。

 

あれだけ、終わった後にあれこれ埃や膿みが出てきた東京五輪を、更にもう一回やることは決してないとは思うし、今年開催される大阪万博も、全く盛り上がりに欠ける中、この手の行事が都市の再開発を強く促す力はもう無いと思っている。

そんなわけで新宿西口再開発も、あっちもこっちも同時にとはならないとは思うが、小田急が出来上がると、次は京王ということになる。

そうなると、駅弁大会が今の場所、やり方では、何年もの間開催できなくなってしまうことになる。

 

今回は60回記念大会ということもあって、「うえののあなごめし」実演販売復活など、かなり頑張ってくれたとは思うが、米原の井筒屋の駅弁事業撤退が象徴するように、駅弁を巡る情勢は決して明るくはない。

もうかなり前から言われていることだが、本来は旅先で買い、車中でその地方ならではの味を楽しむためのアイテムである筈の駅弁が、肝心の現地では販売される機会も減り、冬場を中心に各所で開催される"駅弁フェア"で供される、単にその地方を象徴させる記号と化しつつあるように思える。

 

そんな現状において、駅弁の存在意義は何なのだろう?と考えてしまう。

 

当イベントや東京駅の「駅弁屋・祭」の変わらぬ大盛況ぶりを見るにつけ、人々の駅弁というものに対する関心は、相当高いとは思う。

きっと特定の地方の食文化を象徴する、手軽なアイテムとして、わかりやすい存在なのだろう。

例えば、○○牛という、いわゆるブランド牛を、実際のその場所の専門店で味わおうとすれば、庶民の手には届かない高嶺の花になってしまう。

その点、駅弁だと、幾らここで“冷静に考えてみれば、弁当で3,000円近いカネをはたくのは考えてしまいたくなる”などと論じても、逆にいえば、3,000円で○○牛が味わえるというのは、ものすごく安くてお手軽だということでもある。

それが例えエッセンスだけだったとしても、である。

 

今回取り上げた弁当の中に、新幹線の名を冠した6マスに区切って盛合せとしたものが幾つかあった。

ミニチュア化された有名駅弁の概要をお手軽に味わえると記したと思う。

 

考えてみれば、これに限らず、駅弁そのものが、実は日本各地の食文化を手軽に味わえる、地方地方の代表的な味のエッセンスを弁当箱1つに凝縮し、数千円で手にすることができる、ミニチュアであると言えないだろうか。

 

販売形態はすっかり変容し、イベントグッズと半ば化してしまったきらいはあるものの、駅弁というものの存在意義を、個人的にはそこに求めたいと思うのである。

 

嘗てこのイベントに初めて訪れた頃は、輸送駅弁コーナーは、さながらデパートの特売会場の如しであり、地方ごとに作り分けられた販売台の前には大勢の人が群がり、お目当ての駅弁が目の前に積まれるのを血眼にして待ち構えていた。

そして販売員がお目当ての品を持ってくるや、少しでも周囲よりも早く、販売員に欲しい品を告げるべく人々が殺到する。運よく購入できると、すかさず別の販売台へ突入し、再び最前列を求めて周囲を押しのける。そんな光景が毎度当たり前のように展開されていた。

 

その後、輸送駅弁コーナーが一つの会場となり、そこへ入場すること自体に対する列が形成される形式に改まり、嘗てのカオス状態は随分と解消された。

 

駅弁とは別に、主に甘いもので、独自の大人気を誇り、専用の長蛇の列を形成する店が幾つかあり、中には駅弁そっちのけで、それさえ入手できれば良いと思っているであろう客の姿も見られた。

 

毎年、毎回、何かしらそうした"瞬殺"アイテムは誕生する。

今年の「ぴよりんおでかけセット」は、数年前まで来ていた「杉山フルーツ」のゼリー・ライブ販売を彷彿とさせた。

長蛇の列を誇っていた「福田パン」も「551蓬莱」も、既に出店されなくなって久しい。

不人気だから撤退してしまうのではなく、超人気店だったのに、撤退してしまった店も数多い。

コロナ禍の齎した影響は、このイベントにとり、大きな打撃である。

 

インターネットによる一部予約販売などは、コロナ禍対策として編み出された販売形態だろうが、とにかく並ばされるという苦痛から、たとえ一部とはいえ解放してもらえたのは、個人的には大変有難いと思っている。

 

一方で、毎年あの手この手で新しい目玉商品を繰り出してくる中、嘗てほどの盛り上がりに今一つ欠けている気がするのは私だけだろうか。

原材料費に限らず、諸経費高騰のあおりなのか、このイベントで扱われる食品たちも、確実に値上げの波が訪れている。

今や1,000円を下回る金額で買い求められる弁当は、絶滅危惧種となってしまった感がある。

数年前までは、駅弁としての設定価格のボーダーラインが2,000円ということもあったと思うが、今ではちょっと派手めで目立つ弁当は、平気で2,000円台後半となり、遂には3,000円さえ突破するものも現われ出した。

そうなってくると、先ほどの話と相反するようだが、果たしてその値段に見合うものなのか?と買う側も、買う品を吟味し、選ぶようになってくる。

政治の選挙でさえ、今やSNSの書き込みに左右されかねない時代なのだ。

駅弁や"うまいもの"がそうでない筈がない。

結果、ちょっとした評判で"バズった"ものには、客が殺到し、長蛇の列ができる反面、そこから漏れた品は販売ブースに閑古鳥が鳴く状況が見られる。

 

本当はせめて百貨店側が主導して、何とか"バズる"品を作り出さなければいけないと思うのだが、今回から改変されたチラシを見るにつけ、残念ながらそんな風には見えず、寧ろ掲載アイテム数が著しく減ってしまったチラシは、特に輸送駅弁選びには役に立たなくなってしまったな…としか思えなかった。

駅弁メインでこのイベントを訪れる際には、チラシだけに頼らず、寧ろ今回なら何故か大晦日に公開された「駅弁リスト」を首っ引きに、少しでも興味・関心のある弁当を、自分で検索し、下調べすることが要求される。

これまでもそういう傾向にはあったが、特に今回はそれが顕著に思われた。

 

又、コロナ禍は、少し前の絶望的な状況は脱したのかもしれないが、この冬は代わりにインフルエンザ大流行という逆風が吹き荒れ、そのせいか、会場の休憩コーナーが大幅縮小されてしまった。

輸送駅弁コーナーで、ワンカップの日本酒が数種類売られたことも関係あるのではないかと邪推してしまう。

休憩コーナーで何杯も冷酒をひっかけ、酒の不始末でも起こされては、百貨店側も堪ったものではないだろう。

だが、実演販売で調理し立ての食べ物を温かいうちに味わえるのが、このイベントの大きな魅力の一つなのに、それをし辛くしてしまうというのは、改悪としか言いようがない。

ソフトクリームやジェラート店の前に僅かに設けられた休憩コーナーに、お客たちが寿司詰め状態になり、中には親子丼やラーメン弁当、寿司や海鮮丼を、無理矢理立ち食いするつわものの姿も見かけた。

やはりこのイベントは、テイクアウト専門はそぐわない。

出来立てをその場でイートインできることこそが、百貨店主催の食の催事の醍醐味だと思うのである。

 

私自身は、7階の催事場脇に休憩スペースが設けられていた頃から、混雑する狭い腰掛けが空くのを待って、すかさず入り込んでいくのが嫌で、冬の寒空を厭わず、屋上に行って買った食べ物の幾つかを食べている。

幸い雪に遭ったことはないが、雨の中、手前のベンチで寒さに震えながら、よりによって海鮮丼やプリンを食べたこともあるのだが、将来、京王百貨店がいよいよ建て替えられたとして、高層ビル内に無事入居できたとして、果たしてその時、今の屋上のような、余裕をもって購入した食品を味わえる場所が出来てくれるのか、心配である。

 

尤もそれ以前に、再開発の為、京王百貨店新宿店がいよいよ一時か永久にかはともかく閉店となった後、このイベントが果たして場所や形態を変えて継続されるのか、或いは最悪の場合、それを機に廃止されてしまうのか、寧ろそちらの方を心配しなければならない。

 

…以上、まとめにしては随分と長口舌をぶってしまった。

独りよがりな私見にお付き合いいただき、申し訳ありません。

今回の「第60回」は節目ではあるが、"これでお終い"とファイナル宣言はされていないので、余程のことがない限りは「第61回」がまた開催されるだろうとは思うが、次回も魅力的な企画、「食べてみたい」と思わせる食品が現われ、我々をいざなってくれることを願ってやまない。

前回の続き。

 

駅弁のあら竹創業130周年記念~松坂名物黒毛和牛モー太郎弁当

 (松阪駅) [新竹商店] (1,700円)

この弁当も随分長いこと食べている。

あちこちがテープで留められた独特の掛け紙を注意深く外すと、ご覧のようなつぶらな瞳をした、結構リアルな牛さんの顔の黒いプラ製弁当箱が姿を現す。

今回は"創業130年記念"と銘打ってはいるが、中身は特に変わりない、いつものモー太郎弁当である。

…と、ここで中身を写すのを忘れ、懸命に食べてしまった。以下は、過去の記事で載せた写真からの流用である。

パッケージを開けると、懐かしいというよりは、何だかノー天気な"〽︎う〜さ〜ぎ お〜いし か〜の〜や〜ま〜"のメロディーが聞こえてくる。

蓋の裏に仕込まれたメロディーセンサーは、今回味わってからもう何日も経つのに、台所の灯りを点ける度に変わらぬノー天気な電子音を奏で続ける。

レンジで温めるには、このセンサーを外すのは必須だ。

中は白飯の上に、牛肉だけのすき焼き。傍には色鮮やかな紅生姜。

付け合わせは切干大根にしば漬け。

すき焼きはメリハリの効いた甘辛味で、牛肉の食感にほどよく脂身が絡みあった絶妙な味わい。

器やメロディーの奇抜さにばかり目が行くが、"牛を喰っている"と実感できる、十分満足のいく傑作牛肉弁当だといえる。

 

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神戸鉄板焼き弁当 (神戸駅)(1,480円)

「鉄板焼き」と謳っているので、全然違う例えば野菜炒めみたいなものを想像していたが、中身はずっと上等なステーキメインの弁当である。

焦げ茶色の香ばしいガーリックペッパー炒めご飯に、ビフテキ、カボチャ、じゃが芋素揚げ、アスパラガス、パプリカを煮たものなど多彩な野菜が添えられ、付け合わせも焼きトウモロコシ、茹でたブロッコリーという陣容。

全体の味の統一が果たされ、ビーフステーキもこれならまずまず満足のいく分量。

寧ろこれを"牛肉対決"に持ってきても良かったのに…と思える内容。

 

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新幹線旅グルメ6マス弁当_北海道・東北・山形新幹線編 (2,500円)

もう8回も前になるが、今回「その3」で触れた、「東海道新幹線編」、「東北・上越新幹線編」の姉妹版。

次に挙げる「山陽・九州・西九州新幹線編」共々、時期をずらして後半のみ登場。これも事前予約で調達。

京王限定販売なのも同じで、沿線各駅の目ぼしい駅弁6種類を小型化し、合い盛りにした弁当で、値段もそれなりに高いが、それでもお得感はあるといえる。

「その3」同様に、左上から時計回りに発売駅を記すと、東京駅、宇都宮駅、福島駅、新函館北斗駅、仙台駅、米沢駅となる。

シンプルでありながら、ご飯に混ぜられた昆布、付け合わせのお新香、それぞれの甘辛味が効いた天むすに始まり、優しい味のとりめし、ミニチュア化しても小さじで掬う蒸しウニが楽しみなうに弁当(貝殻はアサリであった)、レンジで温めても半透明の数の子の粒々が損なわれなかった鰊みがき弁当、歯ごたえある牛タンが小型化しても尚存在感ある牛タン弁当("厚切り"と謳うだけのことはある)、細かい肉ながら甘辛味の牛肉と白飯がよく合う安定の美味しさを誇る牛肉どまん中。

海の幸、山の幸がバランスよく配された、なかなか良い組み合わせのオールスター・スペシャル駅弁であった。

 

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新幹線旅グルメ6マス弁当_山陽・九州・西九州新幹線編 (3,000円)

上記同様、新幹線オールスターシリーズ4つめ。

これも左上から時計回りに発売駅を記すと、西明石駅、姫路駅、広島駅、出水駅、長崎駅、博多駅となる。

ミニチュア版ながらくるりんと丸まった蛸の足が嬉しいひっぱりだこ飯。

この容量にして牡蠣2つを奢った"どっさり"の名に恥じないかき飯。

"焼き"でなく煮穴子が敷き詰められた夫婦あなごめし。

一転、厚切豚焼肉が猛々しく存在感を誇る極黒豚めし。

小ぶりながらもちゃんとカツと竜田揚げが入ったながさき鯨カツ弁当。

ほの甘い3種の味のハーモニー・かしわめし。

…こうして書き連ねてみると、「○○めし」の何と多いことか。

こちらも海のものと山のものがバランスよく配され、優しい味や押し出しの強い味が色とりどりである。

折角、西九州新幹線まで入るのなら、武雄温泉の佐賀牛も入れてよ!と思うが、そうすると更に値段が跳ね上がるんだろうな…と思ったり…。

 

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あなごめし (宮島口駅) [うえの] (2,700円)

60回記念ということで、久しぶりに復活した実演販売。

食数も1日あたり1,000食と出血大サービスとなった、言わずと知れた超有名あなご駅弁である。

事前予約で押さえたが、先に記したように、値段のことも忘れ、更に整理券をもらい、もう1つ追加購入。

ご覧の通り経木の器いっぱいに白飯がよそわれ、一口大に切り分けられた焼き穴が所狭しと並ぶ構成。2マス分を費やしたお新香と奈良漬けだけが唯一の例外だ。

経木の容器は時間が経つとご飯粒が水分を吸われて、ガビガビに固まるが、紙やプラスティック容器では決して味わえない良い香りも吸収する。

シンプルなだけに焼き穴の香ばしさが際立つ、幾度食べても魅力が失せない弁当である。

続いて2つめ。実演ブースでは穴子とタレが別売りで売られていた。

タレ(50円)のみ追加。

この2個目のほうは、買ってから相応の日数を置いてから食べることになってしまったので、1個目以上にご飯の硬化が予想された。

「5ちゃんねる」では、蒸し器で蒸すと良いと書かれているが、蒸し器は持っていないし手間なので、少し多めに水をかけ、レンジで温めること2分。

すると容器が経木なだけに、余分な水は下から流れ落ち、少なくともご飯のガビガビは解消した。

そこにタレを投入。鰻のかば焼き用よりも随分サラサラとしたタレのせいか、これも容器を通り抜け、時折下から零れ出る。

食べた感じでは、ご飯がべちゃべちゃというまでにはならなかったとは思うが、炊きたて同等とまではいかない。ガビガビ解消を採るかオリジナルに近いほうを採るか好みの問題であろう。

穴子自体もタレの追加の有無は好みの問題としか言いようがないが、個人的には食べ慣れた追いダレなしの香ばしさのほうに軍配を挙げたい。

 

今回は、1日1,000食という大量投入のせいか、ネット通販や朝イチ以外では、実質的に整理券なしで余裕で買えたようだが、値打ちが下がったなどと言わず、買いやすくなったことを有難く享受すべきであろう。

冷静に考えれば1個3,000円近い駅弁というのは相当いい値段で、4個買えば10,000円の大台を突破してしまう。今回は衝動買い含め2食を奢ったが、このイベントに輸送限定も含めてこの弁当が来る時は、できるだけ1食は食べるようにしている。穴子弁当の変わらぬ王者である。

 

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次回へ続く。

前回の続き。

 

「銀河」一番星 (松江駅[一文字家]) (1,770円)

鉄道寄りの話から始めるが、「銀河」とはJR西日本が2020年に登場させた夜行特急列車の愛称で、正式には「WEST EXPRESS 銀河」という。元は東京ー大阪間を結ぶ伝統的な寝台急行列車の名であったが、同列車は2008年に廃止。新しい夜行列車の設定に際し、嘗ての名列車の名に因んで命名された。12年ぶりの「銀河」復活といえる。

嘗て新快速専用車両として活躍した117系電車を大改造した専用車両が用いられ、豪華個室のみならず、リーゾナブルな座席料金でも利用できる選択肢が設けられているが、所謂クルーズトレインに近い性質のものだと思っている。

本品は、デビュー以来毎年山陰方面にも運行されていることから、島根県の調製元が販売している駅弁である。

幕の内弁当の一種だといってよいだろう。

掛け紙に折角お品書きが書かれているので、転載する。

・境港産紅ズワイガニの島根ワイン寿司

・島根牛の奥出雲天然醸造味噌煮御飯

・出雲そばたたらや蕎麦屋のだしめし

・あご(飛魚)の大葉巻き天ぷら

・あご(飛魚)野焼きの梅肉揚げ

・日本海産鰆の味噌漬け焼き

・大山鶏の岩海苔煮

・松江郷土料理ししみのしぐれ煮

・隠岐アラメ煮

・炊き合わせ(かにしんじょ、野菜)

・玉子焼き(大田市産鶏卵使用)

・頓原漬け

・大根酢漬け

・甘味(おはぎ)

アラメとは昆布みたいなもの、頓原漬けとは「とんばらづけ」と読み、胡瓜、大根、茄子、瓜などの夏野菜を醤油ベースのタレで煮込んだ漬物のことである。

目立つのは牛味噌煮込みご飯、カニ寿司辺りだが、大葉巻き天ぷら、梅肉揚げという2種類ある飛魚の揚げ物が非常に個性的だ。いずれも上品な白身であっさりとした味わい。しじみのしぐれ煮が結構な量あるのも如何にも島根の弁当らしい。

多品目だが、箱庭か盆栽のような小ぶりの箱が9マスに区切られる作りなので、個々のメニュー特にご飯はもう少し量が欲しいが、多くなりすぎると食べ切るのが大変になるのが、この手の弁当の難しいところである。

 

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黒毛和牛と美星たまごカツ弁当 (岡山駅)(1,480駅)

白飯に牛肉しぐれ煮、更に茹でたネギがトッピングされたものがメイン。仕切られたトレイのもう片方には玉子焼きのカツという珍しい副菜が添えられる。

玉子焼きのカツは極めて淡白な味なので、付け合わせの醤油をかけるのは勿論だが、練りワサビも玉子カツのためのものだったのだろうか?

牛しぐれ煮にかけて食べ、そこが個性的に思えたのだが、醤油をかけた程度では変わらなかった玉子カツの淡白さを思えば、ワサビをかける相手を間違えたのかもしれない。

 

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近江蔵元醤油のとり天重 (草津駅) (1,050円)

1/9に一度輸送コーナーで売場のお姉さんに探してもらったが、すんでのところで完売し、入手しそびれてしまった駅弁。

鶏肉の天麩羅という駅弁としては珍しいおかずをメインに、鶏そぼろ、玉子そぼろ、焼き海苔1枚が敷かれ、その下は白飯。赤かぶらの酸味が見た目にも味にも彩りを添える。

前面に押し出した濃口醤油は、甘辛ダレに使われたものか?

鶏天はもっとパサパサした胸肉かと思いきや、ジューシーな柔らかみのある食感だが、原材料表記を見てみると、あららブラジル産ですと。

近江牛のように、"近江鶏"というわけにはいかないようだ。

 

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宮崎牛焼肉と鶏炭火焼き弁当 (博多駅) (1,380円)

チラシには一切紹介されておらず、リストだけ見て購入してみようと思った駅弁。

宮崎牛なのに博多駅弁とは、「こは如何に」という趣きだが、九州の中心地・博多駅に駅弁も集中するということなのであろう。

和風だしの味付けご飯に、牛焼肉と若鶏炭火焼きが半分ずつ乗り、花形に抜いた味付け人参煮のトッピング、きんぴら笹ごぼうが脇を締める。

付け合わせは高菜漬け。付け合わせコーナーの半分を占めるのは「ゆずすこ」の袋。

「ゆずすこ」とは何か?と調べたら、ゆず胡椒を液状にしたもののことだった。タバスコと語感が似ているが、酢と胡椒で"スコ"らしい。(接写右側の緑色がそれ)

濃厚甘辛の牛焼肉と、あっさり味だが炭火焼の焦げが美味しい焼鳥が好対照をなしている。

決して量が多いとは言えないが、なかなか満足のいく味であった。

 

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松阪名物黒毛和牛牛めし (松阪駅)(1,700円)

松阪牛の駅弁といえば、私にとっては「モー太郎弁当」なのだが、こちらは「D-1輸送」売場現地で衝動買いしたもので、ご覧の通りオーソドックスな形態となっている。

容器全体に敷き詰められた白飯に、惜しげもなく牛肉煮込を散りばめ、付け合わせは僅かに梅干しと、トッピングの菜花のみ。

牛煮込みは赤ワイン煮だという。

国産黒毛和牛の煮込みは流石の脂身が適度に混じり合った素晴らしい食感。黒胡椒をかけて食べる関係か、モー太郎よりは甘辛味は抑えられ、割とあっさりとした印象を受けた。

 

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ぶりかまめし (富山駅) [源](1,350円)

訪れた時は毎回欠かさず食べ続けている駅弁。

元々ブリ好きなので食べてみたら美味かったのがきっかけで、決して「5ちゃんねる」に影響されて食べ始めたわけではないのである。

嘗ては実演販売の常連で、姉妹品の「吹雪」と共に売られていたこともあり、会期中はいつでも買える印象だったが、近年は実演販売すらなされないことが増え、北陸新幹線が富山まで通った後は、寧ろ東京駅の方が容易に入手しやすくなっている。

そんな中、60回記念だからか、久しぶりに実演販売が復活したが、特に"○食限定"と謳われてはいなかったものの、材料の用意を絞っているのか、昼12時台には完売してしまうことが多かった。

事前予約した後で、実演なら出来上がったものをすぐ食べた方が良かったかとも思ったが、連日完売の様子を見るにつけ、予約しておいて良かったと思った。

控えめな酢飯に、メインのおかずはぶりかま煮。

傍にわかめを煮たもの、白海老浜焼、刻み甘酢生姜。青菜(わさび菜、京菜、大根菜)は殆ど目立たず。

刻み生姜が実にいい仕事をしている。

ぶりかまは以前に比べ、大分小さくなってしまったが、それでも濃厚な甘辛醤油味に彩られた、肉厚な鰤の身と、所々に感じる柔らかく煮込まれた骨の食感のインパクトは唯一無二の絶大な魅力を発揮する。

山椒をまぶして食べれば、食感こそ違えども、鰻に相通ずる味わい。

 

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岩手短角和牛やわらか煮弁当 [肉のふがね] (1,680円)

これもほぼ毎回食べている弁当。

数回前にも記したが、以前は専ら前半のみの出店だったが、近年は逆に後半のみ。

そして今回はやはり60回記念だからか、こんなに各種牛肉弁当が一堂に会したのは初めてではなかろうか。

そんな中、本品はこの調製元の代名詞的存在の定番弁当である。

「和製コンビーフ」とも言われる、ホロホロと舌先で崩れるほど柔らかく煮込まれた、脂身少なめの繊維質の醤油味の牛赤身肉がメイン食材。

たっぷりの牛肉の下にはきんぴらごぼうが敷かれ、食感にも味にも変化を与えている。いつも感じることだが、ベースの白飯自体も美味しい。

付け合わせは、蕗、人参、椎茸の煮物。いずれも優しい素朴な味で、濃厚な牛肉&金平牛蒡と好対照をなす。唯一の甘味である栗も甘さ控えめで自己主張しすぎず、逆に真っ赤な色合いが美しい梅干しは、強い酸味でありながら醤油煮込みの牛肉とよく合い、絶妙な箸休めとなる。

副菜たちがどれも実に良い仕事をしており、一切の隙が無い。

今回も前半でクローズアップされた"牛肉対決"の、どの駅弁にも勝るとも劣らない、牛肉弁当の隠れた大傑作である。

 

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次回へ続く。

更新がなかなか出来ない内に、今年の駅弁大会も終わってしまったが、あと数回は続ける積りです。

 

では早速前回の続き。

家に持ち帰った弁当のレビューである。

 

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ビーフシチューカツサンド ハーフ

   (小淵沢駅)(1,200円)

フルサイズだと馬鹿にならない高値なので、お試し用にハーフサイズを選択。

ビーフシチューで煮込んだ豚カツを食パンで挟んだもの。決してビフカツではない。

デミグラスソース味の豚カツは、深い甘みが合わさった、しっとりとした衣の食感が楽しめる味わいだが、パンに塗られたマーガリンの塩味が悪目立ちし、期待したほどには思えなかった。

 

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ひたち牛至福のステーキ弁当(水戸駅)(2,450円)

前半の"ミルフィーユ"が、私には"ご飯多すぎ"と思えたが、いわばリベンジのつもりで本品を購入。

弁当箱全体にぎっしりと敷き詰められた白飯の上には、ご覧のようにひたすら赤身ステーキの肉、肉、肉‼︎

不用意に全体をレンジで温めて、折角の赤が損なわれてしまうのはあまりに勿体無い。家で食べる強みで、別皿に一旦牛肉を全て避難させ、ご飯だけを温める作戦をとることにする。

具材を全て取り除くと、見事なまでに真っ赤な血の滴った白飯が姿を現した。

ご飯だけチンして、牛肉を元通り乗せ、再現する。

菜っ葉の煮物、栗の甘露煮、茹で玉子も元通り乗せる。
茹で玉子は感心なことに、偽卵ではなく、本物である。
冷めたとはいえ柔らかみは残った半生の赤身ステーキが、"これでもか"というくらい味わえる。ご飯は決して少なくないが、肉の方がたっぷり余り、持て余すほどという幸せ‼︎
 
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りゅうぐうの舞(指宿駅)(1,600円)

JR九州の「指宿のたまて箱」という観光特急列車の車内で食べることができる弁当。(正面を縦に白黒に塗り分け、それが側面に及ぶ珍しいデザインで、さながら"ジキルとハイド"。ご興味持たれた方は是非検索してみて下さい。)

実演販売だが、売切・遅延リストを見ていると、途中で品切れになってしまうこともあった各日300食限定の品。買いに行った時は、出来上がりまでに15分ほど時間がかかると言われたが、売り切れてしまうのも嫌なので、先にお金を払い、少し後で受け取りに行った。

うなぎご飯、ひじき、レッドキャベツ、梅干、柴漬け、高菜、玉子焼きなどが乗った手鞠寿司や白飯、鮭フレークが乗った黒米など、色鮮やかなご飯類をメインに、おかずはカンパチの焼き魚、だし巻き玉子、ゴボウを豚肉で巻いたもの、薩摩揚げなど。

ご飯に対し、おかずの量が少なく、おかずとご飯を一緒に食べ進めると、必ずご飯が余る。

全体的に優しい味付けで、高めの年齢層の夫婦をターゲットにしているように感じた。

 

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黒豚げんこつ角煮と黒牛ロースステーキ重

   (出水駅)(1,980円)

昨年だったかに食べた、実演で売られていた「げんこつ黒豚角煮重」を彷彿とさせる豚の角煮メインの弁当。

角煮が丸ごとデーン!と乗った「げんこつ黒豚角煮重」に比べると、角煮は食べやすい大きさに切られてはいるが、もう一つの主役といえる牛ロースステーキよりも、豚の角煮の方が目立っている。

高菜の炒め物、味付けゆで玉子が添えられている。

牛ロースステーキは、切り口の赤色が食欲をそそり、頬張るとじゅわっと肉汁が口腔中に広がるのが心地よい。脂身が多いためか、肉質は柔らかい。

豚の角煮の、ホロホロと崩れる繊維質。間をつなぐ、これまた脂身。

豚と牛、異なる肉の脂の競演。脇を引き締めるピリ辛高菜炒めもたっぷりと盛られ、味にも食感にも良いアクセントを与えている。

味付けゆで玉子も本物の玉子。多めの黄身のもったりとした食感も、肉肉しいおかずの中にあって良いアクセントとなっている。

 

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次回に続く。