被害者死亡の場合についての不法行為における賠償額算定の仕方については大きく2つの説が対立している。すなわち相続構成説と扶養構成説である。
相続構成説は死亡者に財産損害も精神的損害も瞬時に成立し、遺族がこれを相続する構成。この説は伝統的な構成であり、通説である。
 なお精神損害については死亡時に被害者が「悔しい。残念だ。」とかいったことで請求権が発生し、遺族が相続する。
次に扶養構成説である。これは要するに生きている人を基準に算定する構成であるといえる。例えば親が死亡したとする。そうすると扶養家族が扶養を受けられなくなる。これを損害として構成する。慰謝料も遺族が近親者を失くしたことに対する請求権として構成する。
 このような説がでてきた背景には相続構成の慰謝料相続に対する批判がある。「残念だ」云々をいったかどうかで請求権発生および相続の有無を判断するのはフィクションであると批判される。
そこで検討してみよう。結論として通説でよいと考える。実務でもそうなっている。扶養構成はどうしても相続構成よりも算定額が低くなる。相続構成は死亡者の逸失利益を平均余命中の稼働可能年数×収入とする。扶養構成だとこの全額ではなく、この中から扶養額が算定されるからである。幾ら理論的に筋が通っていても、わざわざ被害者側に不利な説を採用する必要はない。
 またこの説だと子が先に死亡して遺族が扶養者の場合はどうやって算定するのか?

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