第2目 旧商法における商事質
旧商法典(明治23年4月26日法律第32号)は法律慣習が不十分不分明なことに起因する不便を商事法の統一によって改め、これによって商業を振興し、殖産興業、富国強兵を実現する国策の一環で制定された。その起草はドイツから招聘された御雇外国人ヘルマン・ロエスレルHermann Roesler(1834年-1894年)による[1]。この旧商法典が商事質を初めて近代法において定めた(第1編「商ノ通則」第367条「質権」以下)。民法上の質とは概念上も法律上も別のものとして商事質を定めた法律は現在においては旧商法が初めで最後である。以下では旧商法における商事質の内容を一瞥する。


[1]ロェスレル・上巻・後掲・1-2頁、福井(淳)・後掲・自序。