すこしだけ、でも確実に、人生を変えてくれる。
アルジャーノンに花束を。
ダニエル・キイス。
この世界に、こんなに素晴らしい物語が存在しているのであれば、
生きているうちに読まずには死ねない。
そして、こんな素晴らしい物語を読むことができるということは、
なんて幸せなことなんだろう。
名作と呼ばれるものを、
すべて読むことはできないのだろう。
でも、機会をみて、素晴らしい名作に触れ続けたい。
そう思わせてくれた2016年ナンバーワンの一冊。
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わたしたちが見るもの、聞くもの、触れるもの。
そうした感覚は、知性というフィルターを通じて経験され記憶される。
人間の本性である道徳心と、枝葉である知性という存在。
知性という光が強く輝くほど、道徳心というすべてを包み込む暗がりは消えていく。
知能の発達が遅い主人公チャーリーは、いつも周りから愛され、周りを愛していた。
そして、彼は「賢く」なることを求め、手術を受ける。
チャーリーの知性は発達し、わからなかったことが急速にわかるようになる。
知性を手にし、その後、彼はなにを経験するのか。
ぼくにとっては過去・現在・未来が内省される時間でした。
池田貴将