ジャズベーシスト 池田 聡 のブログ
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以前、「ジャズピアノを学ぶ際に先ず心がけるべきこと」
では、
速弾きに頼らない、ペダルに頼らない、
といった技術的なことを指摘しました。
今回はまた視点を変えて考えてジャズピアノを始める時に気をつけることを考えてみます。
いろいろな楽器にそれぞれの難しさがあり、
ピアノにはピアノならではの難しさもあります。
その内のひとつは、
合奏をする、という環境に慣れていない、
ということが挙げられます。
これはピアノという楽器の機能上の話というより、
ピアノを学習してきた人の経験上の話です。
他の楽器は、概ね合奏をするという前提の上で学びますが、
ピアノは独奏を前提に練習を進めます。
ピアニストの多くは、子供の頃にピアノを始めて、
連弾、合唱の伴奏などを除いて、
基本的に、ずっとソロピアノを学んでいる、と言えます。
幼少のころから積み重ねてきたそのような経験の上で、
ジャズを始めることとなった時に、
初めて本格的に、アンサンブルをする、という練習することになります。
(クラシックでもアンサンブルのトレーニングがあるとは思いますが、
私にほとんど経験がなく、解説することが出来ません。すみません(^▽^;))
そこでいろいろな戸惑いが生まれます。
それは周りの音を「異物」と思ってしまうことです。
独奏では自分の奏でる音しか存在していませんが、
合奏では他の音が混在しています。
そこで、まるでアレルギーのように、他人の音を「異物」と感じて誤った「免疫応答」をしてしまいがちです。
それは、自分の音を過剰に強くしようとしたり、たくさん弾いたりする、という状態です。
やや詳しく申しますと、以下の通り↓
<(1)力んで弾いてしまう>
周りの音量に打ち勝とうとして、力一杯弾いてしまうことになりがちです。
確かに、特にアマチュアレベルでは、ドラムの音が強すぎる傾向にあるので、
ピアノがかき消されてしまうことはあります。
これにはドラムが適切な音量で弾くようにすることが最善ですが、
次善の策としては、可能であればモニターを使うことで対処するのが良いでしょう。
ただ、ドラムの騒々しさを割り引いても、ピアノを弾く際の力の使い方が過剰であるケースが多いです。
力む習慣がついてしまうことで、
音色への配慮、ダイナミクスのコントロールなど
クラシックで培った良い習慣を忘れてしまいがちです。
<(2)右ペダルを必要以上に使ってしまう>
右ペダルを必要以上に使ってしまうこと
には、いくつか要因が考えられますが、
音量も要因のひとつと思われます。
右ペダルを踏むことで、ダンパーが上がって、弾いている音の弦以外の音も響くことになりますので、
確かに数値的には音量は上がります。
しかし、音量が上がっても、弾いているフレーズは明瞭でなくなるので、かえって聴こえづらくなり、逆効果です。
<(3)不必要な速弾きをしてしまう>
力んでしまうことに関係しますが、不必要な速弾きをしてしまうこと
も、周りへの音への対抗する意識が原因のひとつと考えられます。
適切なタイミングで音が鳴らないと、周りには音が聴こえづらい、というのが事実です。
速弾きをすることで、音の「総数」は増えますが、明瞭さに欠けることになってしまいがちです。
以上、
音の数を増やしても、強くしても、
必ずしも良い結果をもたらさないこと
(むしろ逆効果であることが多い)
を感じ取って頂ければ幸いです。
アンサンブルに慣れるためには、
少し、周りの音に注意すること
(周りの音を聴くことができる瞬間をつくり、それを増やすこと)
メンバーに委ねること
(頼り切ってしまうのも良くないので、兼ね合いが難しいですが)
まずがここから始めてみましょう。
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