本日2回目の更新です。

 

OSK日本歌劇団『春のおどり』の初日に行ってまいりました。

あいにくの雨模様で、京都南座は少し暗く、けむって見えます。

 

どんよりした空模様にもかかわらず、

初日を観劇に来られたお客様や京都観光の人々で、

南座の前はごった返しておりました。

 

正面から撮影した写真には人が多く写り込んでしまいましたので、

鴨川サイドから撮影した一枚だけにとどめておきますね。

 

それにしても南座は素敵な劇場ですねぇ。

最近では、国宝のロケ地にもなり、人気を増しているようです。

 

『春のおどり』は今年100周年。

記念すべき年に、このような素晴らしい劇場で公演があるとは。

客席に座っただけで、すでに満足感がじんわりと湧いてくるのでした。

 

さて、公演はミュージカル(お芝居)とショーの二本立て。

それをひっくるめて「春のおどり」と呼ぶことに、

OSKを見始めた当初は戸惑いましたが、ようやく慣れてきました。

 

ミュージカルは、ウィリアム・シェイクスピア『ロミオとジュリエット』を

古代ヤマトに移した和物。

とはいえ登場人物の名前はロミオにジュリエット…そのままです。

和洋折衷、良いところ取りの『たまきはる』と言えるでしょう。

 

  たまきはる 命の雫

 

感想を述べるにあたり、芸名は基本的には敬称略で失礼いたします。

 

『ロミオとジュリエット』という古典がベースのため、余計な説明がいらず、

とてもコンパクトで納得感のあるストーリーにまとまっています。

これは演出の北林佐和子さんの手腕によるものだと思います。

(少々上から目線に聞こえたらすみません)

 

時代設定だけでなく、人物設定や性別なども原作とは異なった部分があります。

例えばパリス、マキューシオ、ベンボーリオなどにアレンジが加えられていますが、

不思議と違和感はありません。

 

一言で言うなら、トップスター翼和希さんが君臨するワンマン作品ではなく、

劇団員それぞれの魅力が集結した総力戦の作品だと感じました。

 

開幕はお芝居本編とは別に、和物のプロローグから。

場所は南座ですからね、

「はーるーのー おどりはー よーいや…キャー!!」で照明が一気に入る、

いわゆる“チョンパ”で始まります。

本来は「よーいやさー」なのは承知していますが、

高音で思い切り声を張るので、私には子どもの頃から

「キャー!!」に聞こえてしまうのです。

もちろん貶める意図はありません。

 

華やかなプロローグの後、キャピュレット家とモンタギュー家の確執が簡潔に示され、

仮面舞踏会での出会いへ。

ロミオとマキューシオ vs ティボルトの対立も印象的に描かれます。

 

その後は「ああ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの」で有名な

バルコニーの場面やロレンス神父による結婚式など、テンポよく進行します。

 

ロミオ(翼和希)とジュリエット(千咲えみ)の恋の裏で、

激しくぶつかり合うのがティボルト(天輝レオ)とマキューシオ(椿りょう)。

私には、前半はこの二人こそが主役に見えました。

 

天輝さんのティボルトは、冒頭から目の光が尋常ではありません。

思わず「特別な目薬でも?」と思うほど、冷たく煌めく瞳。

実に魅力的です。

 

一方、椿さんのマキューシオは従来の”粗忽者”のイメージとは異なり、

むしろ冷静で控えめな感じ。

その彼がなぜティボルトに剣を振りかざすまでに激昂するのか…と見ていると、

まさかの設定に驚きました。

ロミオへの秘めた想い——プラトニックな片想いのボーイズラブだったのです。

 

その、自分の中に閉じ込めてある秘めた想いをティボルトに嘲笑され、

穏やかそうだったマキューシオがついに剣を取る。

この流れには「なるほど」と深く納得できました。

 

ティボルトとマキューシオ、二人の対決は緊迫感に満ち、

激しく剣を振りかざし合いながら戦う姿に、思わず息を詰めてしまいました。

そして決着の後、ティボルトの目に浮かぶ動揺と葛藤のゆらめき。

「殺すつもりなどなかった」という思いと、

そんな自分の弱さを人に見せるわけにはいかない、という思いの中で

激しく揺れているのが瞳のゆらめきに込められていました。

この繊細な表現が実に見事でした。

 

ここから物語は一気にロミオとジュリエットへ。

 

墓所での場面は怒涛のように展開していきます。

ジュリエットが死んだと思い込み毒をあおるロミオの様子が凄まじい。

服毒から死に至るまでの過程が生々しく、苦しく、

単なる「お話」ではない現実味を帯びていて、

翼さんの演技にただただ圧倒されました。

 

続くジュリエットの場面も圧巻。

隣にロミオを発見した時の喜び→動かないロミオへの違和感→

死を確認して絶望→決意→自ら死を選ぶ。

千咲さんが感情を一気に吐き出し、泣き崩れる様子に、

思わずもらい泣きしてしまいました。

 

ジュリエットが自らの胸に剣を突き通す際の

「剣よ、これがお前の鞘なのよ!」

おそらく原作通りの台詞ですよね。

改めて、シェイクスピアの言葉の選び方の素晴らしさに感服です。

 

この霊廟の場面は、まさにトップコンビの真骨頂でした。

シビれました。

 

その後は登場する人が皆、涙、涙となります。

例えば、ロレンス神父(登堂結斗)と

ジュリエットの召使マリア(唯城ありす)はどちらも、

自分が二人を死に追いやってしまった、と後悔して泣くのですが、

静かな涙と、大号泣、それぞれ役の個性にあった涙を流しているのが印象的でした。

 

舞台上の全ての人物の涙、悲しみの深さがあるからこそ、

ラストシーンの天国でのロミオとジュリエットの美しさが際立つのでしょう。

 

 

細かな点で少し気になったのは、

・ロレンス神父の手紙が届かない理由

・ロミオの毒薬入手の経緯

このあたりがやや分かりにくかったことでしょうか。

 

また、ベンボーリオ(琴海沙羅)が女性設定だった点には少し驚きました。

最初登場した時、ボブヘアがとてもキュートで、

もしかしたら少年役なのかなと思っていたのですが、

パンフレットでベンボーリオだとわかった次第。

ベンボーリオがロミオに恋するマキューシオに対して

「人を思うのに性別は関係ない」というセリフは

個人的には少々説明的に感じました。

このセリフは時代の流れとして配慮として入れなくてはいけないのかな、と、

一瞬芝居から離れて考えてしまったのもので。

でもこれは好みの問題かもしれません。

 

 

  Silenphony

 

Silence(静寂)とSymphony(交響曲)を合体させたタイトルです。

 

幕が開くとすぐに

「え?!この状態でダンスがビシッと揃うなんて凄すぎる!!」

という趣向があります。

いくらネタバレありと言っても、これは言わずにおきましょう。

ぜひ劇場で体験していただきたいところです。

 

ショパンの「革命のエチュード」が随所で使われていたのも嬉しいポイントでした。

好きなのですよ。

 

ターバン姿の男役さんたちの楽しさ、

特にターバンに髭まで蓄え、真顔で”おじさん”を演じる

翼さんが非常に楽しい!

 

そして桐生麻耶さんの圧倒的存在感!

スーツ姿の肩、胸板、そして足先まで、男役さんの全てが詰まっている感じ。

また、桐生さんがセンターにいるときに、トップスター翼和希さんが下級生の顔で

笑っているように見えるのがまた初々しくて素敵なのです。

 

登堂さんの水墨画のような場面は、

ビジュアルがこれまた私の中の登堂さんのイメージにピッタリでした。

(『たまきはる』のロレンス神父も登堂さんにピッタリと思いましたよ)

黒と白のシンプルな場面なのに、ダンスの振り付けが先鋭的で、

そのアンバランスも素敵でした。

 

タップダンスの場面は、前半と後半に分かれて二度ある意図が気になるところ。

何度も見たら、そのあたりの演出家の狙いにハッと気がつくことができるのかも。

 

102期の初舞台さんが5人。

トップスター翼和希さんによる一人一人の名前紹介が

とても温かく心に残りました。

 

「たまきはる」で感動しすぎて、ショーの記憶がやや曖昧ですみません。

 

朝香櫻子さんの堂々たる舞台姿、

私の憧れ、城月れい姐さん(私の方がずっと年上ですが)の

ソロの歌声が素晴らしかったこと、

奏叶はるくんの将来性のある立ち姿、

そして大好きな唯城ありすちゃんに加えて、

花鹿愛ちゃんのかわいさが印象に残ったことを書き加えておきますね。

 

最後に。

南座の舞台いっぱいに揃った出演者の皆様を拝見して、

大きな感動をいただきました。

 

ブルックリンパーラーのような小空間には、近さゆえの魅力があります。

一方、南座のような大劇場には、奥行きと厚みのある、美の洪水があります。

 

舞台って、本当に素敵ですね。

 

そう実感させてくれた、OSK日本歌劇団『春のおどり』でした。

 

 

 

ブログランキングに挑戦中

 

もし記事を気に入っていただけたなら、

ポチッとクリックよろしくお願いします。

   ↓


エンターテインメントランキング