本日2回目の更新です。

 

昨日、兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて、宝塚歌劇OGによる朗読劇『忠臣蔵』の初日を拝見しました。

 

 

まず、感想を簡潔に述べますと「素晴らしい」のひとこと。

 

1992年に旧宝塚大劇場で拝見した故・柴田侑宏先生の作品『忠臣蔵』が思い起こされ、感無量。

あれは雪組トップスター杜けあきさんのサヨナラ公演であるとともに、旧宝塚大劇場が取り壊される直前、旧宝塚大劇場へのサヨナラ公演でもありました。

そんなWサヨナラに相応しい名作『忠臣蔵』。

 

宝塚歌劇団では、財産ともなる名作は度々再演され、新しい息吹を吹き込まれ次世代に引き継がれていくものですが、『忠臣蔵』は名作ながら、これまで再演されることがありませんでした。

大石内蔵助を演じられる(大石内蔵助が似合う)トップスターがこれまでいなかったからか、他に理由があるのかわかりませんが、あの舞台はもう再現不可能なのだなと諦め、だからこそ自分の中で伝説のようになっていたのです。

それをOGによる朗読劇で復活とは。

そういう方法があったのかと目から鱗でした。

主演はもちろん、元雪組トップスター杜けあきさん。セルフ再演ということになります。

 

カリンチョさん(杜けあき)以外の出演メンバーは以下の通り。(敬称略、学年順)

 

立ともみ、小乙女幸、紫とも、香寿たつき、朱未知留、渚あき、

はやせ翔馬、寿つかさ、成瀬こうき、彩吹真央

 

以上、総勢11名ということで、それぞれが何役かこなし、時には娘役さんも赤穂浪士を演じていらっしゃいました。

 

脚本演出は、今は宝塚歌劇を離れてご活躍中の荻田浩一先生。

音楽監督は吉田優子先生で、舞台ではピアノ演奏も担当されていました。

朗読劇と言いながら、歌もあり、背景に時に初演雪組の舞台写真が映し出されます。

 

スライドにはなかったけれど、緞帳が開いた瞬間、大階段に居並ぶ赤穂浪士の姿までもが脳裏に甦ってきて、目の前で進行する朗読劇『忠臣蔵』と記憶の中の『忠臣蔵』が入り混じった、なんとも言えない感激・感動がありました。

今と過去がオーバーラップする原因はキャストのお顔ぶれによるものが大きいと思いました。何せ、出演者11名全員、雪組に所属していたことがあるか、あるいは初演に出演しているかのいずれか。初演の空気感、雪組のカラーをまとっておられるのです。

それは観客が感じるだけでなく、出演者の皆さんが「このメンバーでできるのが嬉しい」とおっしゃっていました。

 

ところで私は、昨年映画館で上映され日本アカデミー賞の優秀作品賞を受賞した『侍タイムスリッパー』を、映画館で2度、画面で1度見たのですが、その時に感じたことと同じことをこの舞台から感じました。

「私はもう長い間、充実した時代劇を見ていなかったんだワ」

映画館、テレビ、そして宝塚歌劇、どのジャンルでも日本物・和物ふうの作品は見てきたけれど「時代劇」をもう何十年も見ていなかったことに気づかされました。

 

私は以前、今回の出演者のお一人である立ともみさんのストレッチレッスンを受けさせていただいたご縁でこの公演を知り、観劇することができたのですが、そうでなかったら見逃してしまっていたかも。

こんな名作を見逃さずに済んで本当に嬉しいです。

 

 

  個々の感想

 

ここからは一部敬称略で失礼します。

必ずしも学年順になっていない点はご容赦ください。

 

⚫︎大石内蔵助:杜けあき

かりんちょさん(杜けあき)の大石内蔵助は、初演の時より一層人間的な深みが増していました。

特に、主人の仇うちを決意した後、愛する妻を実家に帰らせるシーン、自分を討つために遣わされている間者 蘭が自分に味方してくれたことを知り蘭の命を心配するシーンにはグッとくるものがありました。

 主題歌「花に散り雪に散り」は心の中で一緒に歌わせていただきましたし、もはや伝説の領域に入っている名セリフ「もはやこれで思い残すことはござらん!」には心の中で「待ってましたぁー!!」と大向こうのような声をあげてしまいました。(心の中で)

 私、宝塚大劇場で『忠臣蔵』を見た時、お席が下手側だったんです。内蔵助のこのセリフを結構近くで見た記憶があり、あの旧大劇場の空気まで蘇ってきましたわ。

 

⚫︎浅野内匠頭/岡野金右衛門:香寿たつき

ターちんといえば、『忠臣蔵』の新人公演で大石内蔵助を演じ、緞帳が降りた後、大泣きしている映像を見た記憶があります。

確かに新人にとってあまりにも難しく大きな役だったことでしょう。

あれから歳月は流れ、星組トップスターとなったターちん。どちらの役も危なげなく演じていましたが、終演後見るからに「下級生」っぽい表情になっているのが印象的でした。

きっとすごく新鮮な気持ちで舞台に臨んでいるのだろうなと推測しましたよ。

今回、朗読劇の出演者は黒とゴールドを基調にした着物風のパンツスーツで統一されていました。ターちんは長い髪の毛を後ろで一本にまとめていて、それがなんだか髷に見えて、日本物にピッタリ。ビジュアルも大切だなぁと感じました。

 

⚫︎阿久里(瑤泉院)/お蘭:紫とも

 紫ともさんは1992年と同じ役を演じたことになります。

 失礼ながら私は初演でのお蘭の印象が全くなかったのですけど、今回、もしかしたら一番共感できた役かもしれません。命を奪うために追いかけていた大石内蔵助の人間性に惹かれ恋をしてしまうお蘭の気持ちが伝わってきて、思わず泣いてしまいました。いい役だなぁ。

 

⚫︎吉良上野介/綿屋喜左衛門:立ともみ

 冒頭、「松の廊下」に至るまでのターちん内匠頭をいたぶる上野介の憎ったらしいこと!!思わず手がグーになってしまいました。

 ともみ先生は、大袈裟な声は出さず、慇懃無礼というのでしょうか、普通のことを言うかのように内匠頭をいたぶる、そこがまた憎たらしい! ここで上野介が嫌味であればあるほど、赤穂浪士たちを応援する気持ちが昂るので、大事な場面です。

 私は悪役が好きなので、後半の綿屋喜左衛門より上野介の方が好きになりましたワ。

 

⚫︎色部又四郎ほか:成瀬こうき

 上杉家の家老。お仕えする主人の父親が吉良上野介であり、赤穂浪士の討ち入りを阻止しようとする役。成瀬さんの色部は若く見えたけれど沈着冷静なキレものといった風格があり、とても印象的でした。

 11人しかいないので、コロスのような存在など他の役割も担っていましたが、現役時代、成瀬さんは地声が大きいと言われていたことを思い出しました。やっぱり声が大きいです。

 

⚫︎大石主税/讀賣卯之助ほか:彩吹真央

 彩吹さんはこの公演の最下級生なんですね。とにかく若々しく、そして心から舞台を楽しんでいるように見えました。

 元々歌の上手い方でしたが、讀賣卯之助の歌は表情も歌声も最高でした。

 

⚫︎りく/おばば他:小乙女幸

 りくも初演と同じ小乙女さんが演じました。

 豊岡の実家に帰るよう内蔵助に言い含められる場面、お客さんの涙腺決壊してました。

 その後のおばば役では小乙女さんが「あい〜(はい)」と言うたびに笑いが起きていて、涙と笑いの両方を引き出しておられたことになります。

 

⚫︎おきく 他:渚あき

 私、舞台上の渚あきさんがグンちゃん(月影瞳)に見えて仕方なかったです。

 実は開演前にロビーでグンちゃんらしき人をお見かけしたばかりだったので「え?!開演直前までロビーにいらしたのに?!」と混乱してしまいましたよ。

 渚さんは新人公演でおきくを演じていたんですね。

 討ち入りが成功した裏側にひっそりと存在した恋心と義侠心。

 泣けました。

 

⚫︎朱未知留

 最初に思ったこと。「普通のお顔やん!」

 どう言うことかと申しますと、私の中の朱さんはずっとゾフィーのイメージのまま。

 あの、独特なメイク顔の印象が深すぎて「普通やん」と思ったのでした。

 芸舞妓など、いろいろな役を演じ、美声を聞かせてくれました。

 だけどやっぱり、今目をつぶるとゾフィーのメイクしか思い出せないワ。

 

⚫︎寿つかさ

 すっしぃさんは新人公演で色部又四郎を演じていらっしゃるんですね。

 宙組組長のイメージが強いけれど、そうか、雪組っ子だったんだ、と思い出しました。

 ターちん同様、時々下級生の表情が垣間見えて、微笑ましかったです。

  

⚫︎はやせ翔馬 

 ダンサー、振付家として大活躍されているのは存じていましたが、舞台で拝見するのは本当に久しぶりでした。ものすごい存在感に圧倒されました。自分たちを裏切ったお蘭を、助けてやるかに見せかけてやっぱり殺してしまう、その怖さよ。

 

11人というわずかな人数で実現させた朗読劇『忠臣蔵』は、適材適所、11人全員がピタッと役柄にハマって、ジグソーパズルが完成した感じです。

素晴らしい。

 

 

  アフタートーク

 

 昨日(3/28)はアフタートークが付いていました。

 私はそれを知らなかったので、驚き、大喜びしちゃいました。

 司会はりんごちゃん(小乙女幸)、トークメンバーはかりんちょさん(杜けあき)、紫とも、ターちん(香寿たつき)の3人。

 

 かりんちょさんが中心となって、初演の時の思い出を語ってくれました。

 

 私が最もびっくりしたのは、脚本・演出を手掛けられた柴田侑宏先生が当時還暦だった、と言うこと。

 かりんちょさん「当時、柴田先生がボク還暦なんだとおっしゃっていたんです。退団後自分が年齢を経て、今思うと先生はなんてお若かったんだろうってびっくりしています」

 全く同感です。

 当時の柴田先生が今の私より年下だなんて!!

 

 3人が共通して話していたのは「当時も精一杯頑張っていたのだけれど、今だから役の気持ちが理解できる」ということ。

 20代や30代前半の感性で捉えた感覚と、実際の人生経験を積んだ後では全く違うことでしょう。嬉しいこと、悲しいこと、辛いこと、悔しいこと、またそれを上回る感激など、色々経験して今がある。

 その、今、このメンバーで『忠臣蔵』をこういった形で再演できたことに感謝していると、これも3人が共通してお話ししていたことでした。

 かりんちょさんの「良い作品は宝塚歌劇でも再演されているけれど、この『忠臣蔵』は一度も再演されていない。だけど埋もれさせるにはあまりにも惜しい。次の世代に受け継がれるべきだと思う」という言葉に、客席でうなづきまくりましたわ。

そして、かりんちょさんは「退団後35年、こうして舞台の仕事をさせていただくたびに、宝塚歌劇団に入団して良かったと思います。あそこで育てていただいた。そしてOGと仕事をするたびに、分かり合えるものがある。大先輩の浜木綿子さんがよく『私たち、一緒よ。(学年が違って)同じ舞台に立ったことがなくても、同じ経験をしてきたの』とおっしゃいます。本当にそうなんです。楽しかったこと、嬉しかったこと、厳しかったこと、みんな同じ経験をしています。宝塚歌劇って本当に素晴らしいところです!」

その横で、ターちんが目にいっぱい涙を溜めながらうなずいているのをみて私ももらい泣きしてしまいました。

 

 このトークショーの受け答えを見ていて、紫ともさんへのイメージが変わりました。

 私は紫さんっていつもニコニコ、ふわっとした娘役さんみたいに感じていたのですが、トークを聴いていると、とても冷静で論理的な感じなんです。知性的。

 役者さんは舞台が全てなんだけれど、こういう「素」の部分を垣間見られるアフタートークって良いですね。

 

 ああ、大満足の朗読劇『忠臣蔵』でした。

 

 

ブログランキングに挑戦中

 

もし記事を気に入っていただけたなら、

ポチッとクリックよろしくお願いします。

   ↓


エンターテインメントランキング