本日2回目の更新です。

 

今日は宝塚大劇場で、星組公演

『柳生忍法帖』『モアー・ダンディズム』を観劇しました。

 

実は、私は今日見る予定ではなかったのですが、

どうしても行けなくなったとおっしゃる方から

「代わりに見てきて」とプレゼントしていただいたのです。

ありがたいことですワ。

 

星組には応援していた男役さん 隼玲央さんがおられましたが、

今年5月に退団されました。

今まで星組を見るときは、まず隼くんを探すこと、

隼くんにオペラグラスを合わせることが最優先でした。

今日はそれがないんだわ、と、若干寂しい気持ちが。

 

 

さて、この公演は山田風太郎さんの作品を舞台化、

そしてタイトルが「忍法帖」と聞きかじり、

私は大きな思い込みをしていました。

 

『甲賀忍法帖 バジリスク』の舞台化だと勘違いしたのです。

「あの陰惨な話を宝塚でネェ、一体どんなふうにアレンジするのやら」

そう思って、客席に座りました。

 

開幕してから数分で

「あれ?これは甲賀忍法帖ではない!!」と

気がついた次第。

最初から『柳生忍法帖』って書いてあるじゃないの。

私ってば相変わらず、ボケボケしております。

 

山田風太郎さんの『柳生忍法帖』は、江戸時代の会津が舞台。

会津藩主 加藤明成は悪虐の限りを尽くす愚君で、

ついに家老の堀主水は主君を見限り、

一族を率いて会津を捨てる覚悟を決めた。

堀主水は一族の女たちを生き延びさせるため、

幕府公認の縁切寺へ行くようにと指示した。

 

いくら暴君でも主君に叛くことは、武士として許されない。

暴君 加藤は堀主水らをとらえ、

一族の女たちが匿われている縁切り寺に出向き、

彼女たちの目の前で惨殺したのだった。

 

残された女たちは、なんとしてでも仇を討ちたいと願う。

しかし、手をくだした男たちは「七本槍」と称される

武芸の達人、しかも何やら怪しい術まで使えるらしい。

とても今のままでは敵討ちはできない。

そこで、縁切り寺を庇護してきた天樹院(千姫)は

柳生十兵衛に、力を貸してくれるように頼む。

十兵衛は七人の女性たちが本懐を遂げられるように

軍学を教えるのだった……。

 

一方、藩主加藤明成の背後には、

かつての会津藩主だった芦名一族の復興を目論む

芦名銅伯がいる。

銅伯は自分の娘である ゆらを、女好きの加藤の側室にし、

陰で藩主を操っている。

「七本槍」も実際は芦名銅伯の部下。

 

柳生十兵衛率いる七人の女たちは、

銅伯たちに勝てるのか?!

(私なりにまとめてみました)

 

まずは宝塚歌劇 公式チャンネルの、初日映像をご覧ください。

 

 

来週、もう一度見るので、今日は全体的な感想を。

 

まず『柳生忍法帖』は、スピーティーで非常に面白かったです。

ただ、衣装やカツラなどは、時代劇というより、戦国ゲームの世界。

宝塚歌劇の男役さんですから、時代考証に沿ったリアルな衣装より、

ありえない長羽織やキラキラした飾りが映えるのです。

私もそれを「全然時代考証がなっとらん!けしからん!」とは思いません。

宝塚独自の進化を遂げた時代劇があってもいいんじゃないかな、

と、今日はつくづく思いました。

綺麗で面白ければ、良いのよ。

ただし、リアリティにかける衣装を身につけている分、

歌やお芝居、踊りが今ひとつだと、

とても見ていられないことになります。

 

その点、実力十二分のトップスター礼真琴さん率いる星組は

とてもいい感じに見えました。

礼さんは踊れる人なので、立ち回りもダンスの一種のよう。

見ていて爽快でした。

お芝居も、大きさを感じさせてくれましたし。

 

そして敵討ちに燃える七人の女性が超絶可愛い。

剣に振り回されながら、稽古をしているところなど、

娘役さんが本気で頑張っている姿が健気で、可愛くて、

芝居なのだけれど、私も本気で応援したくなるんです。

 

一方の仇である「七本槍」たち。

美々しく着飾った男役さんが七人揃っている時点で

「ごちそうさまです!」

という感じ。

美少年 銀四郎役の極美慎さんのメイクは

『鬼滅の刃』の煉獄杏寿郎のように、

眉毛が二股に割れているように見えました。

いいわー。

 

妖術使いのような芦名銅伯役の愛月ひかるさんは

これが退団公演。

衣装といい、カツラといい、体の大きな愛ちゃんは

着こなしますねぇ。

セリフの多くが「説明」なので、難しい役なのではないかと思うけれど、

サラッと演じておられます。

さすがですね。

 

これまた妖しい 銅伯の娘 ゆらを演じるのは

トップ娘役の舞空瞳さん。

幕開きの童歌の美しいこと。

物語の最後に、愚君 加藤明成の子を宿しているとわかりまして、

どちらかというと幼い顔立ちの娘役さんなのに、

すでに子供がいるとか、妊娠しているとか、

宝塚のヒロインらしからぬ役を充てられる人なんだなーと。

 

駆け込み寺がわの、千姫を演じる白妙なつさんと、

尼寺の住持 有沙瞳さんは声がよくセリフが聞き取りやすく、

芝居の要所を締めていると思いました。

 

宙組の『シャーロック・ホームズ』を見たときに、

若い男役さんより、中年役の男役さんにときめくようになったと書きましたが、

この公演でも同じことが起こりました。

主役の柳生十兵衛、もちろんカッコいいんです。

ですけど、ワタクシ、十兵衛のパパである

柳生宗矩役の朝水りょうさんに惚れました!!

カッコイイ!美しい!再婚するならこの人がいい。

(完全にアホですね)

 

私は山田風太郎さんの他の作品としては

上に書いた「甲賀忍法帖 バジリスク」と「魔界転生」くらいしか知りませんが、

なんとなく「淫靡」というか「倒錯」が作品の魅力の一つなのかな、と

思っています。

 

まずは、藩主の加藤明成。

そこらじゅうの美女を攫って来させて、

乱暴狼藉を繰り返しているのがヘンタイっぽい。

 

それから物語の終盤で、媚薬を嗅がされた女性たちが、

可愛さ余って憎さ百倍、十兵衛に襲いかかるシーンなどは、

スミレコードギリギリのような気がしました。

 

そしてダメおしは、ゆら。

自分のお腹の中に藩主 明成の子どもが宿っている、

といい出した時、私は心の中で「きしょっ(気色悪い)!!」と

叫んでしまいましたわ。

いくら、懐柔の必要があったとはいえ、あんなヘンタイと……

嫌やわー。

その上、身重の状態で、十兵衛への恋心を打ち明け出すに至って、

「あかん、想像すると気持ちが悪くなってきた。

もうこれ以上は勘弁してくれ!」と思いました。

 

これをリアルな女優さんと俳優さんでやったら、

どれほど薄汚いことでしょうか。

宝塚歌劇ってすごいわ。

ちゃんと浄化して、綺麗な物語に仕立て上げてるんだもの。

 

さて、二本立てのもう一方、『モアー・ダンディズム』。

私が宝塚歌劇にどっぷり浸りきっていた頃に始まった

岡田敬二先生の「ロマンチック・レビュー」シリーズ。

どれほど 楽しませていただいたことか。

今回でシリーズ21作目なのですって。

 

過去にあった場面のピックアップも多く、

幕開きの歌は、みきちゃん(当時のトップスター 真矢みきさん)の

歌声で脳内再生されましたよ。

 

なんといっても嬉しかった再現は南佳孝さんの『Paradiso』の場面。

私は当時、この歌を宝塚歌劇のオリジナルだと思い込んでいました。

歌詞が、宝塚歌劇の男役さんみたいなのだもの。

これまた みきちゃんの声を思い出しつつ拝見しました。

 

ところで、過去の再現となると、振り付けが若干レトロ。

今の振り付けって、キレッキレが良しとされ、

とにかく早いし、とんがっています。

ところが『モアー・ダンディズム』は、

そもそもカウントのピッチがゆるい。

私などはとても懐かしく、嬉しく、そして安定して拝見できたけれど

お若い人たちはどう思っていらっしゃるのかな?

気になってTwitterで検索をかけてみたら、

「すごく素敵」というご意見が多くみられ、嬉しくなりました。

岡田先生が大事にしておられる「陶酔のひととき」を

みなさんが味わっているのだわ。

 

そもそも岡田先生ご自身がダンディー!

スーツに、いつもお帽子をおめしです。

私は観劇以外にも宝塚大橋あたりをうろつくことがあるのですが、

手塚治虫記念館前の信号待ちをしている時などに、

岡田先生が歩いておられるのを見かけることがあるのです。

 

その時にいつも

「きゃー!!岡田先生だ!今日もダンディーでいらっしゃる!!」

と、声をあげ、ぴょんぴょん飛び跳ねたくなるのを

グッと抑えているんですよ。

 

思えば、岡田敬二先生、草野旦先生、正塚晴彦先生、谷正純先生

そして亡き柴田侑宏先生や喜多弘先生は私にとって神様です。

 

そして岡田先生は、このたび退団する愛月ひかるさんが

『うたかたの恋』のルドルフ皇太子を演じたがっていたことを知って、

この公演で愛月さんが白い軍服で登場する場面を作られたんですってね。

やっぱり神様だわ。

 

以上、ざっくりとですが、今日の感想でした。

来週はもっと個人別に掘り下げられるかな。

 

最後に。

チケットにポスター写真が取り入れられていました!

 

 

昭和の頃、チケットには各組フィナーレの写真が印刷されていて、

それが他の商業演劇のチケットと決定的に違っていました。

最近のチケットはただ文字だけで、味気ないと思っていたのです。

これからもこの趣向を続けてほしいです!

 

 

【おまけ】

私は『キャリオカ』も宝塚歌劇オリジナル曲と思っていた時期があります。

こんなの見つけました。

淡谷のり子さんですよ、ビックリ。

 

 

 

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