昭和歌謡あれこれ Vol.83 麻丘めぐみ『アルプスの少女』 | 茶々吉24時 ー着物と歌劇とわんにゃんとー

私がパーソナリティを務めさせていただいている

エフエムあまがさきの番組

「昭和通二丁目ラジオ」木曜日。

昭和の歌をお送りする番組です。

 

今この歳になって聞くと面白い「昭和の歌詞」を

番組内で深堀りするコーナ。

時には、この頃めったに聞くことがないけれど、

個人的に大好きな曲、名曲と思っている歌に

スポットを当てる時間です。

 

昨日は麻丘めぐみ『アルプスの少女』を深掘りしました。

 

麻丘めぐみさんのデビューは1972年。

デビュー曲『芽ばえ』については、

『本当は怖いグリム童話』なんじゃないかと、

以前深掘りしました。

昭和歌謡あれこれ Vol.59 麻丘めぐみ『芽ばえ』

(茶々吉24時 2019年6月7日)

 

『アルプスの少女』はデビュー翌年10月15日リリースで、

3ヶ月前に発表された『わたしの彼は左きき』のヒットの余韻が

冷めていないタイミングで発表されました。

6枚目のシングルです。

 

千家和也さん作詞、筒美京平さん作曲のペアは、

麻丘めぐみさんのデビュー以来ほぼ全ての曲を担当しています。

 

明るい曲調で恋する少女の心を歌った『アルプスの少女』ですが、

大人になってから聞くと、先に不安がよぎる歌なのですよ。

 

では歌詞を見ていきましょう。

 

 

『アルプスの少女』

作詞:千家和也  作曲・編曲:筒美京平

 

朝もやの牧場を

吹く風に スカートの裾が

ひるがえる

駄目よあの人に 見られたら

恥ずかしいわ 恋してるアルプスの少女

 

ちぎれ雲 見てたら

足もとのほし草が 膝をくすぐるの

駄目よあの人に 知られたら

照れくさいわ 恋してるアルプスの少女

 

お昼になったら 馬車が来る馬車が来る

私と話しに 彼が来る

 

※倖せになろうと

 とりかえたおそろいの指輪 薬指

 駄目よあの人の指でなきゃ

 はずせないわ 恋してるアルプスの少女

 

駄目よあの人に 逢えないと泣いてしまう

恋してるアルプスの少女

日暮れになったら 馬車が来る馬車が来る

私を迎えに 彼が来る

 

※くりかえし

 

ララララ……

 

 

 

まず、この曲の冒頭はアルプホルン(アルペンホルン)から始まります。

おそらく昭和世代の人だったら続けて

『アルプスの少女 ハイジ』の前奏が頭の中で鳴り響き、

「ララララ ラリホー ラリホレヤホッホー」と歌ってしまうのではないでしょうか。

(上の部分、子供の頃耳で覚えたものをカタカナ表記しています。 

 本当は全く違うかも)

1973年当時、アルプスの少女といえばハイジ、だったのです。

今は某教育系CMで全く違う世界観が展開されてはいますが、

当時は、素朴、純朴な女の子のイメージです。

 

しかし麻丘めぐみさんのアルプスの少女はハイジとは別人ですね。

風が吹いてスカートの裾がひるがえったら

「いやん、彼に見られたら恥ずかしいわ」などと言っております。

また、膝丈まであるほし草に触れても、

「あの人が知ったらどうしましょ」

ってなことも言っております。

 

ちょっと待てい!

この少女、純朴を装いながら、

うっすらとしたセクシーアピールをしていませんか?

吹く風に「髪がなびく」でもいいし、

「吹く風が頬を撫でる」でもいいはず。

なのになぜスカート?

なぜ膝?

下品にならない程度に、

やんわりアピールしているように思う私はヘンタイか?

それともいじわるバアさんなのか?

どちらも正解かもしれない。

 

まぁそこは大目にみるとして、びっくりするのは次です。

 

お昼になったら馬車が来る馬車が来る

私と話しに彼が来る

 

えっ?!彼が馬車に乗ってやってくるの?

彼とはペーターではないのね。

どこかの御曹司なのかしら?!

 

驚いたことに、彼とはすでに指輪の交換をしております。

プロポーズの言葉は「君を幸せにするよ」ではなく、

「倖せになろうね」なんですね。

昭和っぽくないわ。

あ、アルプスだからこれは外国の男女なのかも。

 

そしてちょっと不吉なことを言っています。

彼の指でしか、この指輪は外せない、と。

どうして指輪を外す必要があるの?

リングの交換をしたのなら、

永遠の愛を誓ったということでしょう?

仮の話とはいえ、それを「はずす」なんて、不吉だわ。


 

その予感をますます強めるのが、これ。

 

日暮れになったら馬車が来る馬車が来る

私を迎えに彼が来る

 

彼が馬車でお迎えに来てくれるそうだけど、

いったいどこへ連れて行ってくれるのかしら。

彼のお屋敷?

もしかして舞踏会とか?

 

そこでアルプスの少女は自分と彼との境遇の差を

思い知ることになるんじゃないかと、

オバチャマ(私)心配。


もしかしたらすでに、

身分違いの恋を諦めるよう周りの人から言われているのかも。

だからこそ、お揃いの指輪を外せるのは彼だけよ!

他の誰がなんと言おうと私は彼を信じている、と

歌っているのかもね。


 

この少女が『アルト・ハイデルベルク』のケーティ、

もしくは『舞姫』のエリスのようになってしまわないか、

未来を案じてしまいます。



ところで、この歌は常に「私」の視点です。

つまり一人称の歌。

ということは、この少女は自分で自分のことを

「恋してるアルプスの少女」と言っているのですね。

結構自意識過剰なお嬢さんで、

たくましいものがあるのかも。

そういうことなら、周囲の心配をものともせず、

シンデレラになる可能性も否定はできません。


 

 

それではご一緒に。

YouTubeからお借りします。

アップ主様、ありがとうございます。

  ↓

【YouTube】麻丘めぐみ「アルプスの少女」 6thシングル 1973年10月

 

 

 

 

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