隼玲央くんの良いところいっぱい 星組バウホール『龍の宮物語』 | 茶々吉24時 ー着物と歌劇とわんにゃんとー

本日2回目の更新です。

 

星組バウホール公演『龍の宮物語』を見てきました。

最近私は宝塚大劇場公演を欠かさず見ることだけでも手一杯で、

バウホールや他劇場の公演をチェックできずにいます。

でも、私が応援している星組の隼玲央さんが出演しているとあれば

見ないでは済まされないでしょう。

 

どんな作品なのか知らないで見ることを決めた『龍の宮物語』が

『夜叉ヶ池』と『浦島太郎』をミックスした物語と知って狂喜乱舞。

キャー!!

夜叉ヶ池ェェェ!!

叫んでしまいました。

 

あれは1979年。

泉鏡花原作、篠田正浩監督の映画『夜叉ヶ池』を映画館で見たとき、

私は中学生でした。

主演は坂東玉三郎さんと加藤剛さん。

当時日本舞踊を習っていた私は、坂東玉三郎さん見たさに

映画館に足を運んだのでした。

 

ずいぶん昔のことなので、細部は忘れ果てているのですが、

加藤剛さんのキリリと生真面目な二枚目振りと、

玉三郎さんの、夢のようなたおやかさは今でもまぶたに浮かんできます。

 

あの『夜叉ヶ池』を宝塚で!!

しかも、ご贔屓の隼くんが出演する?!

あー、うれしや、ありがたや。

勇んで行ってまいりました。

 

開演数分前には、先日退団された元星組トップコンビ

紅ゆずるさん、綺咲愛里さんを先頭に、

現役星組生が多数お越しになり、

開演前のボルテージは一気に上がったのでした。

紅さん、お肌スベスベで綺麗だったー。

 

さて『龍の宮物語』。

 

その昔。

日照りに苦しんだ村の長者が、夜叉ヶ池の龍神に

自分の娘を生贄として捧げる雨乞いをしたという。

娘は池の底に沈められ、今もなお、池のほとりでは

娘のすすり泣く声が聞こえるという……。

 

伊予部清彦は書生仲間との百物語で、その伝説を知る。

実は清彦は幼い頃、夜叉ヶ池の近くに住んでいたことがあり、

池のほとりで不思議な出会いをしていたのだった。

百物語を聞いた翌日、清彦は夜叉ヶ池のほとりへ出かけ、

山賊に襲われいてる美しい娘を助けることになる。

その娘は夜叉ヶ池のそこに住む龍神の妻 玉姫だった。

お礼にと、龍の宮(たつのみや)に連れていかれた清彦は、

楽しくも妖しい世界で時を過ごすのだった。

自分が何の目的で連れてこられたかも知らずに……。

(『龍の宮物語』の冒頭を私なりに紹介しました。)

 

では覚えている範囲で感想を。

 

●伊予部清彦:瀬央 ゆりあ

映画でいえば加藤剛さんの役どころを せおっち(瀬央ゆりあ)が?!

最初は意外でした。

ここのところ、せおっちといえば、

とにかく元気が良くて調子のいい能天気な男子役が多かったので、

そんな生真面目かつ繊細な役が似合うのだろうかと思ったのです。

結果としていうと、似合ってました。

びっくりしました。

こういう役もできるんだ!と。

(ファンの皆様、見くびっていてすみません)

名は体を表す、で、心の清らかな青年を演じきっていました。

絣の着物に袴姿もよく似合っていましたし。

見せ場の一つは「龍の宮」での”お遊び”のシーン。

祇園のお座敷遊びのような、不思議で雅な遊びをしている時、

自分がはめられているとも知らず、不思議がっているせおっちが

可愛らしかったです。

全編を通して、その純さにホロリとしました。

せおっちの新境地開拓ですね。

 

●玉姫:有沙 瞳

 ここのところ、大劇場公演ではちょっと老けて見える気がしていた

 有沙さん。

 この役は有沙さんの大人びた雰囲気が十二分に生かされていると思います。

 元は人間だった娘が、龍神の寵愛を受け、永遠の命を授かったのでしょう。

 年齢不詳であり、ミステリアスな雰囲気を漂わせていて、美しかったです。

 何しろ歌も芝居もお上手で、安心していられます。

 ある意味、この作品の主役と言っても良い玉姫の存在感は素晴らしく、

 それが虚構部分の多いこの作品のリアリティを保つ要因になっていたと思います。

 衣装とかつらが美しいのも素敵でした。

 玉姫が龍神の妻である本性を現すシーンは、

 影法師たちを竜尾に見立てていて、

 日本舞踊の『娘道成寺』のようでステキでしたわ。

 キャピッとして未熟な娘役さんも良いのかもしれませんが、

 実力十分な娘役さんを大切にしてあげてほしいものです。

 私自身が歳をとったせいでしょうか。

 最近のトップ娘役さんが「かわい子ちゃん」なのがしんどいのです。

 有沙さんに限らず、実力十分な人がトップ娘役になる組があっても

 良いと思うんですけど、いかがでしょうか。

 

 ところで、玉姫が恨みを抱く相手について。

 私なら、自分を生贄に差し出したお父さんを恨むけどなぁ。

 玉姫の恨みの矛先がちょっと理解できないです。

 

●龍神 火照:天寿 光希

 地上の雨をつかさどる、誇り高き龍神を、

 抑えた演技で表していました。

 コスチュームがステキで、惚れる〜!!

 人間の娘に恋してしまった龍神という構図は

 『エリザベート』のトート閣下に似たものがありますね。

 

●黒山椒道:大輝 真琴

●岩鏡:紫月 音寧

●木蓮:紫 りら

 この3人は「龍の宮」である程度地位の高い人(魚?)のよう。

 みんな池の底に住まう生物らしく、カツラやメイクが独特です。

 衣装デザインや色合いなども 面白おかしいのに美しくて、

 「龍の宮」の世界観は素晴らしいの一言!

 好みですわー。

 ここで過ごす1日が何年、何十年に匹敵するのが納得できました。

 

●お滝/多江:澪乃 桜季

 お滝さん役の時には、客席からの笑いをいっぱい受けていました。

 楽しそうに演じているのが伝わります。

 

●松二郎:天路 そら

 書生 松二郎の他、「龍の宮」の家臣役で目を引きました。

 

●金本:遥斗 勇帆

 「龍の宮」で美声を響かせたと思ったら、

 後半はイヤーな村長(?)役。

 ずっとポケットに手を突っ込んで、前かがみで歩く、

 本当に嫌な感じの男でしたわ。

 (うまいってことです)

 

●火遠理:天飛 華音

 龍神の弟です。

 まずはシルバーのロングヘアーにメイクなど、

 ビジュアルがステキで惚れ惚れしました。

 「人間に哀れみをかけるのは良いが、愛してはいけない」と

 兄に警鐘を鳴らす弟。

 龍の一族としての誇りを人間の娘によって乱されているのが

 耐えられない、というのがよく伝わってきました。

 

●百合子:水乃 ゆり

 「龍の宮」の玉姫が伝説のヒロインだとすれば

 百合子は現実世界でのヒロインであるはず。

 書生たちのマドンナにしてはちょっと印象が弱い気がしました。

 でも笑顔が可愛いですね。

 

●龍の宮のメンバー全員

 先ほども書きましたが、龍の宮の住人(?)全員が、

 絵のように美しいのに、面白おかしくて、

 おとぎ話の世界観を醸し出していました。

 こういう世界観、大好き!!

 全員素晴らしかったです!

 

●桂介:隼 玲央

 さて、私のご贔屓 隼くん。

 七三分けで丸メガネをかけた書生さんと聞いていました。

 百物語で登場した瞬間、悶絶。

 「か、可愛い!!!好みだー!!食べてしまいたいくらい可愛い!」

 ええ、完全にヘンタイです。

 とにかくねぇ、顔が細くて小さくて、そのお顔に丸メガネ、

 ずり落ちそうになるのを指で支える仕草、何もかもが可愛いのです。

 そして、思いがけず、百物語で最も重要な怪談を話すのが

 隼くんだったことに大感激。

 お客様に「龍の宮」を紹介する部分、

 聞き取りやすい声でわかりやすく、しかも百物語らしく喋っていましたよ。

 

 少人数のバウホール公演ですから、何役も演じます。

 序盤は「玉水」という白い衣装をまとって踊る役、

 後半は黒い衣装をまとって踊る「影法師」、

 どちらも長い腕、肩から首腕までのラインで

 「あ、隼くん!」とわかります。

 いつも通り、ダンスの美しさにはうっとりなのです。

 そして中盤のカフェの客として現れた時にはヒゲをつけていました。

 ヒゲ部の私にはたまりません!

 しかもヒゲ付き、男同士のタンゴ!

 セクシーでした。

 そしてフィナーレのダンスナンバーと、

 色の違う役をいくつも拝見でき、来てよかったなぁとしみじみ思いました。

 

 ということで、ワタクシ、この作品はもう一度見ます!

 ビジュアル、世界観、そして隼くんの多面性が楽しめるんですもの。

 この作品で宝塚バウホールデビューを果たした演出家・指田珠子先生、

 ありがとうございます!

 次の作品も期待しております。

 

 ところで、幕間休憩の間、後ろに座っておられた

 3人組のおば様のお一人がずーっと

「ねぇねぇ、あの顔が細くて丸メガネの書生は誰?

 なんか、目が離せなかったわー」

 とおっしゃっていました。

 「隼玲央くんですよ!」と教えて差し上げたかったけど、

 言えずじまい。

 おば様、お分かりになったかしら?

 はやと れお です!

 よろしくお願いしますね。

 

 

【おまけ】

坂東玉三郎さんの主演の映画『夜叉ヶ池』。

私はパンフレットも買いました。

読んで印象に残ったエピソードは「えび反り」。

玉三郎さん演じる 娘 百合が捉えられ、

仰向けの状態で馬の背中に乗せられ連れていかれるシーンで、

玉三郎さんは何のトリックも使わず、

えび反りの体制で馬に乗って撮影をしたとのこと。

日本舞踊『鷺娘』でも大きく背中を反らせる振り付けがあり、

玉三郎さんがそれを難なくこなしているのを知っていたので、

「さすが玉三郎!!」と思ったことを今だに覚えています。

DVDが出ていないのが残念です。

ちなみに、宝塚版ではそのシーンはありませんでした。

(ストーリー自体が違いました)

 

 

 

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