Jリーグはチャンピオンシップと、J2・J3など各カテゴリーの昇格プレーオフなどを終えました。
先週末は一挙にこれらの試合があって、一発勝負でしかも懸かるものの大きさによって起こる劇的な
シーンの数々、勝者敗者の涙に心打たれた人も多かったのではないでしょうか。自分は私ごとながら、
チャンピオンシップ出場を逃したFC東京のことを思うと、これらの試合を見ることが出来ませんでした。
なんだか縁起が悪いというか、負けて溜まったマグマはしっかりと溜めておこうとか、そういう気持ちに
なってしまったからです。他所は他所、ウチはウチ。今は静かに砂を噛み締めるのが良い気がしました。
 
今は選手たちと思いをひとつにして、気を練りたいと思います。
そんなことを考えていたら、鳥栖戦の数日後に、東京仲間と話したネタを思い起こしました。それは、
鳥栖戦のあと、ゴール裏から「カップを奪い取れ~!」とはやらなかった、やれなかったという話です。
通常であれば、シーズン終盤で優勝の可能性が潰えた試合のあとには「まだ天皇杯があるぞ!!」と
言うがごとく、「カップを奪い取れ~♪掲げろ東京~♪」というチャントが流れたりしますよね。それが
今シーズン、最終戦でチャンピオンシップを逃したときには、起きなかった。出来なかったというのです。
 
ただ、私もあの瞬間のことを思い出すと、あの時は「何も言わなくて正解」だったと心から思います。
ゴール裏はそれこそ、水を打ったように沈黙していました。ヤジもありませんでした。サポーターは、ただ
選手たちを見つめていました。「気にするな!!」「前を向け!!」とも、言えなかったですよね。
「バカ野郎!!」「なにやってんだ!!」なんて、論外です。選手たちは目の前の試合に勝つべく、90分、
それこそシーズン通して必死でやってきました。鳥栖戦の前には、クラブをあげて「最高の瞬間を!」と
宣言していたんです。それが無くなってしまった瞬間において、何をかいわんや、です。
 
あの時の沈黙は、まだ続いていると思っています。ピッチで受けた悔しさは、ピッチでしか返せません。
選手もサポーターも、クラブに関わる全員、同じ気持ちでいるのではないでしょうか。天皇杯は間違いなく、
「リベンジ」の場だと思います。長崎で対戦するのはリーグチャンピオンの広島ですが、今の東京は
とんでもないマグマをたぎらせて、はらわた煮えくり返っていますよ。クラブワールドカップでいい思いを
して、キラキラした気持ちでかかってくるようならば、とことん泥臭くやってたろうじゃないですか。
今はそんな気持ちで、砂を噛み締めてやります。あ、苦々しいこの味を覚えておくということですが(笑)。

チャンピオンシップ第1戦が昨日、ガンバのホームである万博競技場で行われました。
…ただし一秒も見ていないのです。面白い試合なのは明白です。これ以上ない真剣勝負、シーズン締めの

一戦ですから。それでも、なんだか見るのは縁起が悪い気がして。テレビに向かなかったです。3-2とは、

いいスコアですね。

さて、明けて今日のスポーツニュースに、そのチャンピオンシップの一場面が切り取られて記事に

なっていました。後半、広島の決勝点が生まれるきっかけになった広島のボール奪取は、その前の

今野のスローインが原因だと。今野が、「なぜあの場面で焦ってスローインしてしまったのか、自分でも

分析できない」と語っています。
 

一人退場して不利になったガンバ、勢いづいて同点、さらに前に出るサンフレッチェ。試合の流れを断ち、

クローズするためにはあの場面では極力ボールをゆっくりピッチに戻すのが当たり前だったと。
それが出来なかったというのです。それだけ興奮状態にあった、そうさせる試合の流れだったという

わけですが、そういった些細なワンプレーを味わうのも、サッカーの醍醐味です。


現地でこれに気付いたサポーターがいたでしょうか。いたとしたら、冷静だなあと感心します。90分の

最後の局面で、あとは何が何でもしのぎ切れと祈るような気持ちで、目に見えない力に運を委ねてしまう

のも楽しくて。冷静に、そこは違うだろう!?と同時に、同じ場所で思った人もいたはずです。

小さなプレーを見るもよし、大きな流れに身をまかせるもよし。そこに惹かれてサッカーを見に行くんだと

思います。たったひとつのスローイン、たった一本のパス・ランに注目するのも面白い。いいニュースだな

と思いました。
FC東京の監督人事が報道されたのは、最初は浦和戦の翌日でした。
ホームで負けられない試合に負けたあと。来季、マッシモ・フィッカデンティ監督とは契約を更新しないと。
リーグ戦も佳境、その時点でのすっぱ抜きに、フロントの情報管理に対する批判の声が多数を占めました。
当のマッシモ監督も、後になって「あのタイミングでああいった情報をリークする意図を理解しかねる」といった
声明を発表しました(試合後の会見?で)。
 
マッシモの評価についてはさまざまあるでしょうが、クラブが課していたミッションに未達であったということ
ならば、ポポビッチの時のようにはっきり解任、ということでいいと思います。クラブのビジョンは明確に
アナウンスされており、城福さん以降つながれてきたパスサッカーの系譜に、マッシモ監督になってイタリア
式の守備をベースにした戦い方と勝負に対するリアリズム(1-0でOKといった)が加わったと。そして
それらは監督が変わったからといって選手の中からは消えない。少しずつでも、選手やクラブにそれらは
積み重ねられていくんだということです。「ここらでいいかな」という判断はそれはそれでアリだと思います。
 
また、マッシモ監督も、意外とクセがある監督なんだろうと思わせるニュースがチラホラ見受けられます。
昨年在籍していたブラジル人ストライカーのエドゥーが、マッシモに嫌われていた(信頼されていなかった)
と感じていたというのを、中国で激白したのです。いまさら?と思いますが、ブラダの起用に関しても
なぜ?と思っていたので、なんとなくつながるところを感じてしまいました。昨シーズンオフに羽生と吉本の
トークショーで聞いたチーム内の雰囲気やマッシモに対する評価はポジティブなものでしたが、しかし
一旦マッシモの「枠」から外れた選手は、冷遇される向きもあるのかもしれません。ただしそれは、
カルチョの国の常識かもしれず…。などと、色々な考えがめぐります。
 
いずれにしろクラブとしてそこに折り合いをつけることができなかったということならば、その後の城福さんの
起用に関しても、「逃げ」?「甘え」?とうがった見方をされてしまいそうです。城福さんの起用に関しては、
クラブとして不退転の決意を感じます。一度J2に降格させてしまった監督ですから、ファンは当然厳しい
目で見るでしょうし、今年以上の成績は必須になります。選手たちもプレッシャーにさらされるわけで、
これは明確な来季の優勝宣言と取って差し支えないでしょう。そんな気持ちを、選手たちが天皇杯で
どこまで表現してくれるのか、期待したいと思います。来季の編成を考えていく上でも、この時期での
リリースだったとしても、それが好結果に結びつくものと信じて応援します。