大方、今日でワールドカップ出場が決まると踏んでいたのでしょう。そうはいかないのがサッカー、まして
ワールドカップ予選。世界中で、サッカー大国と呼ばれる国々が、時に涙を飲んできた歴史があるのです。
何が起こるか、分からないということです。
ヨルダンのスタジアムは2万人のほとんどがヨルダンサポーター。中東のあの独特な統一した応援、
観客席にも男が多いのでしょう、ヨーロッパのリーグ戦のような野太い声援がワーッ、ワーッと波打つような
感じでした。そこにいるだけで飲み込まれてしまいそうな雰囲気が、テレビ越しにも伝わってきました。
今日ブラジル行きが決まるなんてもんじゃない、これは簡単じゃないぞ…。テレビをつけて現地の様子を
見たとき、最初にそう思いました。
しかし試合に入ると、日本代表の選手たちは意外に落ち着いている様子でした。パスを受けても、相手よりも
早い出足で、かわす余裕も見せていました。また、相手とのコンタクトでも負けていませんし、イーブンボール
の競り合いや走り合いでも先手を取って優位に立っていました。気負った様子もなく、これならば大丈夫だ、
と思わせてくれました。
攻撃にかかっても、惜しいシュートを連発します。香川・清武の左サイドに加え、前田と岡崎も自由に
ポジションを変えて動きます。立ち上がりから20分くらいまでで、流れの中で、あわやというシュートが何回も
ありましたが、枠を捉え切れませんでした。優位に立ちながら決定的なシュートを外す…そうなると、
サッカーでは試合の流れ、運は押されている方に移ってしまうものです。決められないから大事にいく、大事に
いき過ぎてシュートが打てない、判断が遅れる…日本はだんだんと負の循環に陥っていってしまいました。
芝も荒れているのでしょう、走りづらそうですし、パスも出しづらそうです。
ヨルダンも決して良くはなかったと思いますが、ホームの圧倒的な大歓声の中、必死な姿勢を崩しません
でした。彼らだって、負けられないのです。前半残りわずかになって、ヨルダンが選手交代。出場していた
FWを代えてきます。本来FWの選手を右サイドバックにしていて、中盤にいた選手を本職の右サイドバックに
下げ、FWを入れ替えると。なんとも不思議な采配です。この交代が試合の流れを動かしたのか、迎えた前半
終了間際、ヨルダンのコーナーキックを中央で合わせられて、日本が先制されてしまいます。
爆発するスタジアムの雰囲気には、抗いがたいものがあるように感じられました。
ヨルダンはその後も決して“ドン引き”することなく、日本と互角に渡り合い、時折カウンターを繰り出して
追加点を狙ってきました。日本がますます攻めあぐむ中、そんなカウンターからヨルダンが追加点を
奪いました。0-2、日本はもう攻めるしかありません。シュートが打てない攻撃陣にテコ入れ、ハーフナーを
投入すると試合が動きます。香川が1点を返し、さらに内田が相手にファウルを受け、これがPK判定。
しかし遠藤がこのPKを外してしまいます。この間、運命のサイコロがめまぐるしく動き回るようでした。
これこそが最終予選…!天国と地獄…!久々に、身の毛がよだつような戦慄に近い高揚感を感じました。
結果及ばず、1-2で日本が敗戦。ヨルダンは格上を相手に、ホームの利も活かしきって見事な勝利。
グループ2位に浮上しました。日本は本大会出場決定は6月4日のホーム・オーストラリア戦に持ち越しと
なりました。残る最終予選は2試合。オーストラリア戦の後は、アウェーのイラク戦。いずれのチームもまだ
本大会出場の可能性を残しており、本気でぶつかってくることは間違いないと思われます。それでも、
競合国の大量得点&日本の大量失点が重ならなければ、本大会出場は成るわけで、優位な状況に違い
ありません。本田と長友を欠いて、厳しいアウェーで之敗北となり、チームの底上げに、本大会のための
テスト期間は短くなってしまいますが、苦労すればこそ、本大会出場の喜びは増すというものです。
苦労すれば、強くなると、信じます。
忘れられない試合になりましたね。本大会が始まっても、思い出すのだろうと思います。
フランス大会予選の、全ての試合のように。