サッカーダイジェストにFC東京の浅利のインタビューが載っていた。
マガジン派の僕でも浅利のインタビューとなれば珍しさに買いたくなる。が、まだ買わない。
マガジンにたてた操、それほどまでということだ。

浅利は古い選手で、東京ガスの最初の頃から東京にいる。背番号は7。いい番号だ。
昔からつけていて、チームに不要と言われることなく残り続けているうちにすっかり定着した。
枠組みはよくわからないが、プロではなく東京ガスからの出向社員という立場をとり続けている。
元々プロのクラブじゃなかった東京には初期は社員選手がごろごろいた。
…って言うかそれしかいなかった。東京ガスサッカー部、だったのだから仕方ない。
選手たちはガスの検針にも行ったし資料作りもしたし、ガス展なんかで風船を配ったりしていたかも
しれない。いやきっとそうだ。そんな浅利がサポーターからもらった愛称は、ズバリ『社員』。
呼び名はもっぱら『サリ』だけど。

守備的ミッドフィルダーという立場から想起される通り、派手なゴールやドリブルで見せるタイプ
ではない。むしろ淡々と、相手の攻撃を邪魔して味方へパスをつなぐ、地味な役回りが浅利の本業。
J1昇格以来10年間で、ひとつもゴールを決めたことがない(その前はある!)。記録にも記憶にも
残りづらい浅利は、しかし気がつくと毎年チームの集合写真におさまり、監督が変わってもひとしく
チーム内で重宝され続けてきた。ドイツまでで抜群の実績を誇った福西ですら去ったのに、
浅利はまたもチームに残っている。ここにチーム作りの真髄を見る思いだ。

浅利の言葉に、これからも周りのやつらのいいところを引き出していきたい、とあった。
チームには、きっとこういう人材が必要なのではないか。スターばかりでは、チームは成り立たないに
違いない。オシムが言う、水を運ぶ選手が必要なんだと思う。もちろん、スターを目指すことは
大前提としてあるだろうが、スターになれない、ならなくてもいいと思ったら、ひたすらに
“水を運ぶ”ことを念頭に置くべきだろう。それがチームのためになる。血となり、体を作り
動かしていく。だから頑張るやつにはスターと同じだけの価値があるのだと思う。水を運ぶことの
大事さに気付いているやつならば、スターがいなかったら自分がスターになることも目指せるはず。
それが、周りのやつらの良さを引き出すことと一体だからである。自分以外の何かのために、という
気持ちがなければ人間の限界は早くくるんじゃないか。一人よりも一足す一、二、三…の方が
大きな力を生めるはず。ひとりぼっちで手に入る幸せもあるだろうが、別の幸せも、ある。
もとより、サッカーは一人ではできない。チームスポーツなんだから。

…そういうことを体言している浅利がいる今の東京とすごせる時間も貴重だと思う。
もっとも そんなことは僕が東京ファンだから思うことで、弟に言わせれば、なんでいまだに浅利
なんかが試合に出てるのか訳分からん、になるんだそうだ(笑)。そういうときは
『君、サッカーをよく見たまえよ』と言うのだが何も伝わるまい(笑)。そうだよね…わざわざ
ブラジル人のブルーノだって獲得しているしね…。

そうは言ってもいつまでもいて欲しいわけでもない。こりゃサリさんダメだぁ!なんていう
選手層になったら、つまりプロとして東京の試合に出場できなくなってしまったら、その時は誇り高く
チームを去ってほしい。あっさりと(笑)。……さ、さむい。

ちなみにこの話をすると、背番号8、自称ミスター東京ことディフェンダー藤山竜仁が思い浮かぶ
のだが、それはまた別の機会にしますかね…。