
タイトルが…『崖の上のポニョ公開記念~久石譲in武道館~宮崎アニメと共にあゆんだ25年間~』。
要するにジブリ音楽だけの2時間の演奏会なわけである。2時間、生ジブリ!久石譲!!
いやもう行くっしょ。ポニョは嵐と共にやってくるが、今日も東京は嵐になった。
追加公演の夜の部は19時開演で18時開場。あっという間に入らないと始まりそうな気がしてしまう。
始まればもう、ジブリ一色で。舞台中央の上にスクリーンがあって、映画の映像が流れる。
『風の谷のナウシカ』のオープニング、全ての始まりに相応しい画面がドーンと出て、久石譲が
ピアノを鳴らす。来ている人たちはみんな作品が好きなわけで、特別な雰囲気に包まれる。
年代順にやっていくのかと思ったらそうではなかった。ナウシカの次は『もののけ姫』。
アシタカせっき(漢字出ない!)。低い和太鼓の音が一気に作品の中、観ていた頃の自分の気持ちを
呼び覚ます。音楽ってそういうところ、スゴイよなあ。
印象的だったのが2つ。1つは『崖の上のポニョ』。オープニングはソプラノの独唱で海の荘厳さや
童話・神話的な雰囲気がよく表れているのが印象的だったのだが、ポニョの楽曲はコーラスが多い。
それとディズニー映画の音楽にとても似ていて、海の中のキラキラ感や物語全体に与えられている
神秘的なイメージが際立っていた。音楽もゴージャスだったんだなあ…ポニョ。
また登場人物フジモトとひまわりの家(老人施設)のテーマ。歌詞つき。フジモトは人間と世の中が
イヤになって「神はたくさん生まれたが誰も導かない、俺はどこへ帰ればいいのか?女よりも美しく
物言わぬサンゴを守る♪」という歌詞(正確じゃないけど)がキャラクターにいっそう深みを与える。
一方ひまわりの家のおばあちゃんは「もう一度歩けたら、お掃除をしてお洗濯をしてお料理をして、
お散歩に出かけよう。お迎えはまだこない、その間にちょっと歩かせて。ちょっとだけ風になって
踊りたい」と歌うのでもう泣けてしょうがない。世の中にそんなことを考える老人がどれほどだけ
いることだろう。だからやっぱり作品中の、水の中で嬉しそうにかけっこをするおばあちゃんたちの
シーンはものすごく感動的に見える。曲を聴くと尚更そう見える。
このへんのくだりは、宮崎駿が最近発行した『折り返し点』という著書のポニョの制作メモにも
書いてある。『折り返し点』の前に『出発点』という氏の著書があり、これは僕が高校を卒業する年、
もののけ姫公開の97年に買った気がするがとにかく宮崎駿のルーツ、モノ作りへの根本的な姿勢を
すべて読み取れるので好きな人は絶対オススメ。
もうひとつ良かった!と思ったのは『魔女の宅急便』。とかくユーミンの歌によってまぎれがちな
劇中の音楽が、ものすごくいい。このコンサートではキキがスランプに陥って飛べなくなった時、
ウルスラ(絵描きのお姉さん)やニシンのパイのおばあちゃんにお誕生日ケーキを焼いてもらったり
して、そしてクライマックスでトンボをデッキブラシで助けるまでが映し出されていたのだが、
それに合わせて流れるキキのテーマがものすごく良かった。魔女の宅急便は女の子が自立する話で、
今の20代、30代の女の子と重ねて見ても再評価されるべきだとあらためて思った、と久石譲も
プログラムに書いているけれどホントにそうだと思う。あれ、こんなによかったっけ??と思うような
映画。僕もてっきり女の子のための映画だと思っていたが、キキが思いがけずお誕生日ケーキを
もらうという優しさに触れるシーン(二度目だな…)では、ジワッときてしまった。うう。
『天空の城 ラピュタ』もいまさらながら「君をのせて」の歌詞、あれはサン・テグジュペリの
夜間飛行をモチーフにしたもので、一人で夜間飛行を続ける飛行士が、遠くの街の明かりを見て、
あの中のどれかが君だと思うからあの街が懐かしい。あの光がいとおしいと一人空の上で思う(想う)
孤独感と、少年が冒険にさあ出かけよう!という時の悲壮なまでの決意というか小さな覚悟の感じが
本当に素晴らしい。トトロは無条件に泣ける。何なんだいったい。
で、武道館には最終日の最終公演(といっても3回しかないけど)ということで宮崎駿も来ていて、
最後に久石譲に花束を渡していた。みんな拍手だった。監督と、この音楽家とが出会ってあの作品たちを
生み出し、その時代をリアルタイムに生きていることはラッキーだと思う。
どの時代にもものすごい芸術があって、それを目の当りにした人はみんなそう思っていたかもしれない
が、映画は時代の空気や上映される時代がすごく重要でもあり、後から見ると意外と違った感じを
受けたり伝わらなかったりということもあるから現代的であり、本当のことを言えばその時代の人たちの
ためのものであると思う。漫画もそうだろうけど。だから最後まで、感謝、感謝なのであった。
一度映画の中に入ってみたい、裏側を見てみたい、もっと世界にはまりたい!!と思っていた
僕らにとって、この日のこのコンサートは本当に幸せな人生の一大イベントのひとつだったように思う。
もし今後ジブリだけの久石譲コンサートって増えるかもしれないけど、そうなればそうなったで
また行きたい。宮崎駿は毎回最後と言うけれども、いつも映画を観たいと思う。