たまに、電車の中でモノを食べるときがある。
僕の会社は郊外にあるので行きは下り電車、帰りは上り電車で新宿へ(そこからは千葉方面へ下る)と
いうことになる。午前中の早い時間でも、結構空いていて片道1時間は貴重な睡眠時間にもなる。

たまに小腹が空いて、駅のキオスクでお菓子と牛乳を買って食べる時がある。車両の一番端の優先席、
さらに一番端には窓があって、ちょうど出窓のような格好になりモノを置けるスペースもある。
この位置を確保できれば片道1時間は至福のプライベート・小旅行となるので重要だ。
もっとも優先席であれば優先すべき人たちが来れば席を譲らなければならないし、またモノを食うには
周囲の目を気にしてしまうので誰もいないことが望ましい。せめて対面する正面の座席には誰もいない
か、座っていたとしてもその人が眠っていることが条件となる。

“車内でモノを食う”という行為は日本人にとっては“みっともない”行為と考えられている。
外国の人たちはそうでもないらしい。むしろ日本で一般的な雑誌やマンガ、文庫本の類を読む行為の
方が珍しいらしく、さすが勤勉な日本人だと二宮金次郎さながらに見られると聞いたことがある。
たしかにロンドンでもドイツでも、ニューヨークでも外国人は電車の中でモノを食っていた。
特にヨーロッパではドイツでリンゴを丸かじりする小学生の女の子、さらにロンドンではプラムの
ようなけっこう汁気のある果物を朝の通勤時にかじっていた女性が印象的だった。日本ではラッシュの
時間帯、それほどの混雑ではなかったがその女性はシートに座りながら汁がしたたる果物を、親指と
人差し指でつまみながら少しずつかじっていた。下に汁がたれないようにハンカチを当てて。
こういうのは日本では見られない。いると思うけれどもはっきり言ってメーワクでしょう。

さて問題は電車の中でモノが食えるかということだが、今日出勤の電車内、僕の目の前には外国人の
ビジネスマン(40代男性、少々太め)が座っていた。難しい顔をして空を眺めている。
外国人でよかった、と新宿で買ったパックの牛乳と栗まんを取り出して食べた。外国人は相変わらず
難しい顔をして空を眺めていた。こちらに一瞥すらくれない。安心して食べ終わる。

満腹感にちょっとウトウトしてふと目を開けてみると、さっきの前に座っていた外国人がカバンから
ミカンを取り出し、皮をむき始めていた。そして、ミカンを食う。外国人が持つと小さなミカン。
やっぱり外国人だとフレッシュ・フルーツがいい(特に朝には!)んだなあ、と激しく納得。
そしてやっぱりガイジンってチュウチョなく車内でモノ食っているなあ!!と再度納得。
それにしてもミカンか!!気がつかなかった!!電車旅行にはミカンだ…。冷凍ミカンの歌もあったし。

でもミカンってすごく日本的で、コイツなんだか日本人っぽいなあ!とミョーに感心してしまいました。
難しい顔をしていた外国人はそのまま途中駅で僕より先に降りていったが、親しみをもって見つめて
いた僕に彼は気がつかなかったようでした。俺もミカン持っておけばよかった…。気をつけたいです。