相互協力協定・・「軽トラ(・)りあがらす」のあとがきから | 素人短編小説

相互協力協定・・「軽トラ(・)りあがらす」のあとがきから

 私、連載小説を完結させた際に、僭越ながらあとがき(テーマは「ひとこと」です)を書いているわけですが、45作目あたりからその前文としてショートショートを載せております。

 昨年、そのショートショートを遡って読んでみましたら、私的にそこそこ興味深いモノもありましたので、切り抜いて再掲載してみようと思い立ち、すでに何編か独立のテーマで再掲載しております…アップ数も増えますし(笑)

クックックッ…よろしければどうぞ。(前作から複写)

 

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 新聞の地元話題欄にちょくちょく目を通す。

 

 これがなかなか面白い。ひやかし半分で編集している週刊誌もそこそこ興味を惹くが、やはり新聞の方が、洒落っ気がない分だけ面白さでは優っているように思う。


 数ある新聞記事のなかでも、おれのお気に入りの一つは、自治体と何処かとの協力協定を結ぶってヤツだ。

 

 地域のまちおこしや商店街活性化、観光施策の推進といった協定なら少しは納得するが、介護福祉施設を経営している社福法人なんかを相手に指名し、緊急時に要援護者を収容するてな協定ぐらいは軽い方で、こと災害時の相互協力を約束する協定を地元警察署と結んだというのを読んだ折にはさすがに失笑を禁じ得なかったし感心もした。

 

 きっとごく近いうちに、火災時の鎮火出動に関する協定を地元の消防署と結ぶとか、公立総合病院と治療・入院に関する協定を結ぶんじゃあないかと心待ちしているところだ。


 さて、不真面目に茶化してしまった後で、こんなことを切り出すのもなんだが・・・なんでもアリなら、我々だって人間界と協定を結んでもいいんじゃないかと真剣に考えている。

 

 国とか自治体とか、そんな大それた単位を考えているんじゃない。

 

 まあ、個人、個人とはあんまりだし、効果も少ないように思えるから、小さな規模の地域住民とか、ある程度の人数を揃えた有志諸君とか・・・そういった方々を想定しているところだ。


 時代が進めば、我々も人間界と永く界を接してきたわけだから、大歓迎というわけでもないだろうが、理由を話せばそこそこわかってもらえるんじゃないだろうか。


 協定の趣旨は、たった一つだ。互いの環境に関して少々の配慮を持ち、四六時中、のべつ幕なしに干渉し合うことをやめていきましょうということだ。

 

 これは決して、人間界からの一方的な行為を批判しているのではない。我々の近年における行動についても反省し、執拗で疎ましく嫌われるような演出とならぬよう深く自戒し、平成初期までのような“共存”をめざすことを約するというものなのだが・・・どうだろう。


 あ、いや・・・まだ機が熟していないと言われればそれまでだが・・・。

 う~ん、もう少し慎重になるべきだろうか?

 

                                      -了-