ファースト・トリップ⑦ | 徒然ブログ

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好きな事書いています。

鑑真号の船の中で一番ホットな話題は、

 

「どこの宿がいいのか?」

 

という話だった。

 

私が止まった浦江飯店(アスター・ハウス)は最初の数日間しか予約がなかったので、その後はどこかに行かなくちゃいけなかった。私は上海にいた時はずっと浦江飯店にいたけど、これは結構すごい事で多くの日本人(特に女性)は、

 

「耐えられない!」

 

と言って別のホテルに移った。人気があったのは花園飯店だった。JALのホテルだったので私も鑑真号で一緒になった人が泊まっていたので夕食だけ食べに行った。かつ丼を食べた。いくらだったか忘れたけど、

 

「日本と同じ」

 

だったのは覚えている。部屋も見せてもらったけど日本と同じ普通のホテルだった。これは今の中国じゃそんなすごい事じゃないけど当時は信じられない事だった。私がいた浦江飯店は今は改装されて全く別のホテルに生まれ変わったらしいけど当時は、

 

「寝ていると顔の上までゴキブリがやってくる。」

 

とか、

 

「シャワー室のはじ、水が流れるところはゴキブリだとか、鼠の死体が浮いている。」

 

と鑑真号で多くの人が言っていた。

 

「うそー!そんな事あるわけない!」

 

と初めて中国に旅行に行く人は酒を飲みながら騒いでいた。でもその後みんな本当だったとわかったと思う(苦笑)夏の上海は厚いのでゴキブリとか鼠だけじゃなくて蚊もいたし、体中はとにかくいつも痒かった。寝台列車に乗った時布団の上に防虫シートをひいて寝ていた白人の男の子がいたけど、

 

「大正解!」

 

と思った。浦江飯店だけじゃなくて、どこのホテルでも当時は布団を一枚めくるとミミズがハローしているなんて普通だった。

 

「普通に清潔でゴキブリの出ないホテル」

 

というのは花園飯店ぐらいのクラスにならないと当時上海では無理な話だったと思う。三ツ星ぐらいだと大きなゴキブリは絶対にいた。そういう中で佐藤君は、

 

「一か月前に行った上海で前の晩の飲みすぎたせいか、夜にうぜーと思った手をバタバタやったら、朝になったらシーツの上でゴキつぶしていたの発見した。」

 

という男の子で面白かった。

 

私も後から行ったけど雲南省のシーサンバンナまで行ってきた人だった。彼の話を聞いて行くことに決めた。大体私の一人旅はそんな感じで旅行中に会った人の話を聞いて、

 

「面白そう。じゃあ、行ってみよう。」

 

と思って行き先を決めていた。地球の歩き方は持っていたけど、行き先は一日前に決めていた。大理のかつ丼はおいしいという話も面白かった。

 

「花園よりおいしい?」

 

と聞いたら、

 

「絶対うまい。」

 

と言われた。

 

「大理で夜に大理ビール飲みながら、かつ丼食べて、その後足裏マッサージやってもらって寝ると八時間ぐっすり寝られるよ。東京にいた時何やっても五時間以上寝られなかった俺がだよ!ここは天国かと思ったよ。」

 

と言っていた。