本気の大人とまっすぐな子どもの物語。手元に残したい、素敵な作品でした。
『みんなの学校』は、大阪市にある大空小学校の生徒と先生たちの春夏秋冬を追ったドキュメンタリー作品です。
この日の二本立てドキュメンタリー映画でぼくが観たかったのは、もう一本の方のフランスの映画でした。だから『みんなの学校』はオマケもオマケ、ほとんどノーマーク、まったく興味がありませんでした。二本立てだから仕方なく…そんな最悪の出会いでした。
それなのに、フランスの方の内容はほとんど覚えてない!あれだけ楽しみにしていたのに、待ちに待って観に行ったのに、覚えているのは退屈だなぁと思って観ていたことくらい。それだけ『みんなの学校』に衝撃を受け、共感していたってことなんです(フランスの方も本当はいい作品のはず、きっと、たぶん…いや、ほんとうに!)。
ネタバレなしでちょっとだけ『みんなの学校』を観て感じたことを書いてみますね。
それでは…
映画の主人公は、特別支援が必要な子どもたちと学校の先生たち。自閉症児を取り巻く環境を、生徒の成長と先生の愛情(奮闘!)を通じて描いた作品でした。自閉症児と書きましたが、映画の中では「自閉症」といったような診断名は一度も出てきません。先生たちは子どもたちを診断名ではなく、目の前にいるひとりの生徒として見守り接していました。これは、大空小学校に通う子どもたちみんなに対しても同じです。
多くの学校では普通学級と特別支援学級にクラスが分かれています。クラスが分かれて友だちが身近な存在じゃなくなると、子どもたちの間に差別が生まれてしまいます。学校で差別を学ぶことになってしまいます。
大空小学校は、みんな一緒の教室で学びます。先生たちは生徒一人ひとりのペースや理解度、性格などに寄り添います。脱走する生徒を追いかけることだってあります。喧嘩だって起こります。でも先生は、割って入って積極的な仲裁はしません。まずは当の本人たちに考えさせます。何が起きてどうなったのかを。そしてどうすればよかったのかを。
『みんなの学校』というタイトル、これはまさに大空小学校に通う子どもたちみんなの学校だってこと。そして先生たちや地域で見守ってくれるボランティアの方たちみんなの学校。
木村泰子校長先生は子どもたちに…
「大空小学校は、みんなで作る学校です。あなたがつくる学校です。」
…と、常に子どもたちに考えさせる問いかけをしています。子どもたちは喧嘩をします。感情をコントロールできないのは、すべての子ども共通の試練です。先生たちも試されます。若い先生が感情に任せて「指導」する場面も出てきます。大空小学校では、大人にとっても永遠の課題である感情のコントロールを、日々起きる出来事のなかでぶつかり合いながら学んでいました。
そして子どもたちは、ただ勉強をする場ではなく、この『みんなの学校』を自分でつくる学校として、悩みに悩んで、考え抜いて毎日笑顔で通ってきています。
どこへ行っても問題行動のある児童として弾かれ続けてきた子どもたち。もう行く場所がないと諦めかけた時に出会って、大空小学校の校区に引越しを決めたお母さんたち。大空小学校の子どもたちは、問題行動という先入観をまったく持たずに、ニコニコしながら新しい友だちを迎え入れていました。
世の中には自分とは違う考えや違う格好をした人がいるってことを、みんなの学校を通して身につけているんですね。
大空小学校には、大空に向けられた笑顔の花が咲いていました。
*東京品川にある「キネカ大森」は、名画座2本立てを観ることができる映画館です。あー観たかったのに!アレ?終わってた…なんていう作品でも、いい作品は名画座で復活してくれます。東京でも数少なくなってしまった名画座。閉館する映画館も後を絶ちませんが、みなさんにも名画座のふらっと立ち寄りたくなるあの感覚を、味わってほしいなぁと思っています。きっと、素敵な出会いが待っていますよ♪
『みんなの学校』公式HP↓
http://minna-movie.com/school.php


