勤務先との契約が終了するのは7月末日だったが、有給休暇の消化のため最終出勤日はその1ヶ月以上前だった。また、残っていた有給休暇には「半日」という端数があったので最終出勤日は午前で勤務終了となるが、私の場合は1時間の早出勤務をしていることからその日は11時で勤務終了だった。

 

やらなければならないことは前日までに全て終えていたので、最終出勤日はやることが無い…。なんとか頑張って10時頃までパソコンと睨めっこをしてキーボードを叩いて時間を潰し、最後の1時間は最近の仕事で連絡をとっていた10名程度の方達にお礼のメールを書き、それらが11時ちょうどに送信されるようにセットした。そして11時にメールが送信されたことを確認してパソコンの電源をOFFにした。

 

前日までは11時になったら沢山の人達にお礼のメールを送ろうと考えていたのだが、最終出勤日の朝礼で上司から「11時に私のためセレモニーがある」との報告があったので、そのセレモニーで私が感謝の言葉を(もしかしたら泣きながら?)述べた後で席に戻ってカタカタとキーボードを叩いてメールを送るのも何だか雰囲気を壊してしまうような気がしたので、それは止めることにしていた。

 

都内にある本社から取締役が来てくれた。宮城に本社がある頃、会社の事務系と現場系を彼と私の二人で管理していた時代もあった。そして彼とは良く遊び、公私ともに本当に世話になった。取締役にまで上り詰める程のキレ者だから仕事に於いては私が彼にアドバイスをしたりする必要は無かったが、プライベートでは色々と話し相手(と言うか、ほぼ聞き役)になってあげたことを彼はとても感謝しているようだった。そして彼の今の奥様も「飲む時のメンバーの中に私が居れば彼が飲むことを快く許してくれる」らしい。そのため証拠として私とのツーショット写真を飲んでいる最中に奥様へ送ることが度々あった。私が退職して福岡への転居後、次に彼と会えるのはいつになるだろう…。

その鍼灸院へは合計4回通った。最初の3回はその専門学校の卒業予定者である3年生による施術だったが、最後の1回は運良く先生による施術を受けることができた。その場合は、その先生が私を取り囲んでいる2年生達に説明をしながら施術を進める。流石にそれまでとは違って先生は私への細かい問診や実際に私の脚を入念に触って何処が痛いのかをいろいろと確認した結果、最終的に「鵞足炎(がそくえん)」である可能性が高い、と診断してくれた。

 

その先生も「鵞足炎」の患者を担当するのは初めてのことであり、今後の施術でそれがどのように改善するのか或いはしないのか、自分の経験にもなるのでとても有難い症例だと言ってくれたが、私が「実は来週引っ越すので、ここへ来られるのは今日が最後です…」と言うととても残念な表情をしていた。

 

結局この最後の施術を終えても左膝の状況は改善しなかった。暫くの間、全く走って無いにもかかわらず更に右膝もおかしくなってきた…。引越し荷造りで右手にも違和感が…、これが老化というものなのかもしれない。嘆いていてもどうにもならないので、転居後には通い易いジムを探して、先ずは筋トレに励むことにしよう。…とは言っても、その転居先は家内の母方の親類の家に一時的に間借りするような感じで「仮」であることから、本当に落ち着くのはいつになることやら…。

暇なので、うつ伏せの時には見ることができなかった「刺されている針の分布状況」を思い切って見てみることにした。但し、針の移動による痛みを出来るだけ早く感じることができるように、頭を起こす動作を可能な限りゆっくりとすることにした。少しずつ…少しずつ…頭を起こしてみると「痛ッ!」、頭の針では無く首の両側に刺されている部分からの痛みだった。でも、我慢できる程度の痛みだったので、もう少し頭を起こしてみると…おぉ~これはまるで小学校の時に見た「昆虫の標本」のようであり、モンシロチョウの気持ちが分かったような気がした(なんてことは有り得ない)。

 

すると「すみませ~ん」と言ってみなさんが部屋に戻ってきた。まだ出て行って2分前後しか経過して無いのに…。「肝心なところを忘れていました」。道理で膝の周りが何も無いと思った。「最後にやろうと思って忘れてしまいました」。頭に針を刺してもらったことで結構な満足感に浸っていたとは言え、本来の目的が行われないのでは来た意味が無いので思い出してくれて助かった、と思った。こっちは全くの素人であり、膝痛の針治療というものは膝の周りには針を刺さないものなのかもしれない…と思っているのだから。

 

膝の周りに針を刺した時は急いでいたのか、痛いと感じたのが2~3本あった。そして「電気治療もします」と言って、部屋の隅に置いてあったその治療をするための設備をガラガラと移動し始めた。その設備には赤と黒の沢山のコードが繋がっていて、設備と反対側の各コードの先端にはワニ口(わにぐち)クリップのようなものがついていた。電気は身体へペタリを貼りつくパッドを介して供給されるものと思っていたが、そうでは無くそのワニ口を針へ噛ませる方法だった。針に余計な負荷がかからないのか、そのコードに誰かが誤って足を引っ掛けたりしないのか等の心配は取り越し苦労で、左右の各2ヶ所(ワニ口の電極として合計8か所)にワニ口が取り付けられた。結構な量の治療を忘れていたことが分かった…。