その方たちに続いて4畳程の細長い部屋に入ると、その後から「本日、一緒に見学させていただくメンバーです」と5人の生徒さんを紹介されたが、その人達は予想に反して全員が20才前後の若い人たちで女性が4人と男性が1人だった。みんな昼間は仕事をして、それが終わってからこの学校に通って頑張っている苦学生なのか、と思うと彼等のために少しでも力になることができれば自分の膝が治らなくてもそれで良いとさえ思った。

 

着替えた後にみんなの前に立って、言われるがままにその場で身体を捻ったり前屈をしたりして身体を動かした後は、私からこれまでの膝の状況をひと通り説明した。次に担当の女性から様々な質問があったが、初回であり授業の一環であることからか、膝には直接関係が無いと思われるようなものもありそこまでで既に30分弱が経過した。「他に何か悩んでいることはありませんか?」と聞かれたので、恥ずかしかったが意を決して「薄毛」と答えた。すると私のその雰囲気に気付いたのか「恥ずかしいことではありませんよ。”育毛”のツボもありますので、それをやってみましょう」と言ってくれた。おぉ~、言ってみるものだなぁ!と心の中で控えめなガッツッポースをした。

 

先ずうつ伏せになって、(見えないので感覚的ではあるが)アキレス腱の上辺りからふくらはぎと太腿部の裏側、そして腰から背中の中心付近まで何針か刺したと思う。針が細いのか(膝からの水抜きと違って)刺す時の痛みは殆ど感じない。刺してから、それをある程度の深さまで押し込むのであるが、その時に押し込み過ぎるとズーンというような痛みを感じる。担当者は私がその痛みを感じたことを察知してその針を若干戻すようである。慣れた先生であれば、恐らくこの戻し量が殆ど無く絶妙の深さで針を止めるのだろう。

 

このまま10分程放置します。私たちは外で打ち合わせをしてきますので、痛くなったとか何かあったら声を上げてください、と言って部屋には私一人になった。