ジャニーズ事務所に所属するタレントを起用したCMは大量に存在するが、ジャニー喜多川の数百件にも及ぶという所属タレントへの性加害という犯罪行為が正式に認められて以来、ジャニーズ所属タレントを自社のCMから排除する企業が増えている。そうした企業が次にはジャニーズ所属タレントが出演しているテレビ番組のスポンサーを降りかねないとテレビ局が危惧していると噂されている。
こうした動きに対して、悪いのはジャニー喜多川とその悪行を黙認していた経営陣であり、所属タレントには罪はないのだからとCM打ち切りに対する批判がある。さらに降板させられたタレントが可哀想だとの同情論もあるとか。確かにタレントが性加害に加担したり、類似の行為をしていないのだとしたら「罪はない」だろうが、タレントは芸能プロの商品であり、不祥事にまみれた企業の商品の価値が暴落するのは仕方がない。
CMの契約はタレントが勝手にできるはずもなく、ジャニーズ事務所が仕切っているのだろうから、金は事務所に入る。CMにジャニーズ事務所のタレントを起用した企業が「ジャニーズ事務所が適切な対応を講じないから契約を終了する」という対応を取らなければ、CMを流している企業がジャニーズ事務所を支援している構図になり、CMを流している企業の社会的責任が問われかねない。
CMは新商品の魅力を強調して購買につなげることや企業のイメージアップを狙って展開されるものだ。CMからは商品や企業に対するネガティブな要素は排除され、新商品の利点だけが訴求されたり、企業の明るく清く正しいイメージとか真面目に活動しているイメージなどを演出する。だからCMから不快感を感じさせる要素は排除され、汚れているとか不正があるーなどのイメージは御法度だ。
ジャニー喜多川の犯罪行為が認定され、その実態の断片が多くのメディアに報じられ、人々はジャニーズ事務所に所属するタレントの多くがジャニー喜多川による犯罪行為の被害者になっていたことを知った。数百件にも及ぶという性加害の被害者が何百人いるのか不明だが、企業が流すCMに起用されているタレントが被害者である可能性を否定するジャニーズ事務所からの説明はない。
こうした状況でジャニーズ事務所のタレントが出演しているCMを流していると、「このタレントもジャニー喜多川にやられているのかな」などと興味本位で見る人々もいるかもしれない。それはCMの効果を台無しにする。CMが訴求する新商品の魅力や企業の良きイメージは損なわれ、ジャニー喜多川という少年ばかりを餌食にする同性愛者のイメージがCMによって喚起されかねない。
CMは出演タレントのためにあるのではなく、企業の経済活動の一環であり、CMが企業にとってマイナスイメージしかもたらさないとしたなら、そうしたCMを中止するのは合理的な判断だ。さらにジャニーズ事務所のタレントを使うCMを打ち切ることができない企業には、ジャニーズ事務所との関係など何らかの事情があると勘繰られかねない。