こんにちは。血液内科スタッフKです。

早いもので飯塚病院に赴任して3ヶ月が経ち、飯塚もずいぶん夏らしくなってきました。血液内科は病棟も外来も相変わらず忙しい日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。

今回は少~し変わった文献をご紹介したいと思います。

The therapeutic value of laughter in medicine.
Mora-Ripoll R et al, Altern Ther Health Med. 2010 Nov-Dec;16(6):56-64.

これは様々な医療分野において、笑いがどのような影響を与えたか調べた研究をまとめたレビューです。世の中にはいろんなことをしている人がいるものですね。

笑いもいろいろな種類がありますが、外部からの刺激や前向きな感情から出てくる「自然に起こる」笑いだけでなく、刺激を伴わない「自分の意志で行う」笑いでもプラスの効果がある可能性があるそうです。

笑うような楽しいことがなくても、例えばエクササイズや訓練のようなものを通して笑う体験をすると、患者さんは笑うことを妨げるものがなくなったと感じるようになり、笑うことによるいろいろな利益を経験するようになります。脳はこれら二つの笑いを区別することはできないため("motion creates emotion" theory)、両者の笑いがおよぼす影響は同等なのだそうです。

笑いは精神的だけでなく、身体的にも様々なよい効果があります。血液内科的なところでは、免疫力を上げ(NK細胞活性化、免疫グロブリン増加、白血球増加作用)、痛みの閾値を上げる効果もあるそうですよ。副作用や禁忌もほとんどなく、手術直後・心疾患・呼吸器疾患・緑内障の患者さんに用心するくらいです。

研究の質という意味ではまだまだこれからの分野ですが、お金もかかりませんし、今日からの診療にすぐ生かせることなので、出来るところから取り入れていきたいと思います。

また患者さんと共に笑うことは、患者さんやそのご家族だけでなく、医療スタッフのストレスを和らげ、医療者の「燃え尽き症候群」を防ぐという側面もあります。

なかなか厳しい昨今の医療状況ですが、患者さんにもスタッフにも一つでも多くの笑顔を届けられる血液内科医になりたいものです。