【お知らせ】
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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今日からいよいよ新年度が始まりました。引き続きブログも重要文献をさらっていけるように頑張って更新していきたいと思います。よろしくお付き合いください。

 

Enhanced dynamic risk stratification of smoldering multiple myeloma

Chabrun F et al, Nat Med 2026, doi: 10.1038/s41591-026-04304-x

 

【要旨】

くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)から活動性多発性骨髄腫(MM)への進行を正確に予測することは、過剰治療のリスクを最小化しつつ早期の個別化治療戦略を行う上で重要である。現在のリスク層別化モデルでは、進行するバイオマーカーの動的変化が考慮されていない。

我々は、7つの国際センターにおける2,344人のSMM患者コホートから縦断的な臨床および生物学的データを収集し、Precursor Asymptomatic Neoplasms by Group Effort Analysis(PANGEA)-SMMモデルを開発し、検証した。

4つの新たなバイオマーカーが短期間での疾患進行と関連していた。すなわち、M蛋白が0.2 g/dL以上上昇すること、血清遊離軽鎖比(異常/正常)の増加が20以上であること、クレアチニンが25%を超えて上昇すること、ヘモグロビンが1.5 g/dL以上低下することである。

PANGEA-SMMは、20/2/20モデルやIMWGモデルを含む既存のモデルを上回り、疾患進行をより正確に予測した(C-statistic = 0.79)。これは、バイオマーカーの既往データや最近の骨髄生検データがない場合でも同様であった(それぞれC-statistic = 0.78、0.78)。

我々は、PANGEA-SMMをSMMのリスク層別化のための簡便でオープンアクセスなツールとして提示する。PANGEA-SMMと既存モデルを比較するための検証ツールも利用可能である。

 

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最近のAQUILA試験などのエビデンスが蓄積し、くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)は治療の対象かも、という見方が広まりつつあり、近年ホットなテーマの一つです。

 

 

ダラツムマブ単剤治療によりSMMから症候性MMへの進展が抑えられるのは確定的な事実ですが、全生存に対するベネフィットはまだ弱く、過剰治療の可能性も懸念されます。このため、介入が必要なSMMをいかに見分けていくか?は今後の多発性骨髄腫における重要な課題と考えられます。

 

そんな中でのPANGEA-SMMですが、このモデルはバイオマーカーの動的変化を取り込んで、より鋭敏に疾患進行する患者群を抽出する、というところに新規性があります。対する今までの20/2/20やIMWGのモデルはその時のバイオマーカーのみで判定する静的なものでした。

 

AQUILA試験の適格基準とは異なるのですが、このモデルによって、既存の基準を参考にしながらも、より自信をもってダラツムマブ介入を検討すべき患者群を抽出できるかもしれません。実臨床での検証が望まれますが、SMM診療に直結しやすい重要な結果であると思います。

 

おまけ

 

 

浮羽稲荷神社に行ってきました!京都の伏見稲荷を彷彿とさせる赤い鳥居が素晴らしく、有名だとは思いますが、福岡近郊から比較的手軽に行けて良い名所だと思いました。

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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はBloodからで、ASC4FIRST試験の続報が出ていましたのでご紹介いたします。

 

Asciminib demonstrates superior efficacy and safety in newly diagnosed chronic myeloid leukemia in the ASC4FIRST trial

Cortes JE et al, Blood 2026, doi: 10.1182/blood.2025029210

 

【要旨】

慢性期の慢性骨髄性白血病(CML-CP)に対してチロシンキナーゼ阻害剤(TKIs)で初回治療を受けた患者の多くは、効果不十分かつ/または生活の質を低下させる有害事象(AEs)を経験する。適切な効果、安全性、耐容性をもたらす治療により、長期間の治療が可能となる。

新規診断CMLに対して、アシミニブと試験参加医師が選択したTKIs(investigator-selected TKIs, IS-TKIs)を比較したランダム化第Ⅲ相試験であるASC4FIRST試験の一次解析では、アシミニブは全てのIS-TKIsに対して、そしてイマチニブに層別化された患者群におけるイマチニブに対して有意に優れた奏効を認め、いずれの主要評価項目にもメットした。

今回の二次解析(追跡期間中央値 2.2年)において、96週時点でのmajor molecular response(MMR)率は、アシミニブで74.1%であったのに対し、IS-TKIsでは52.0%であった(治療群間差 22.4%[95% CI 13.6-31.3];片側 P < 0.001)。また、イマチニブに層別化された群では、アシミニブ76.2%に対し、イマチニブは47.1%であった(治療群間差 29.7%[95% CI 17.6-41.8];片側 P < 0.001)。いずれも主要な副次評価項目にメットした。MMR率は、アシミニブで72.0%に対し、第二世代(2G)TKIsで56.9%であり(治療群間差 15.1%[95% CI 2.3-28.0];片側 P < 0.05)、臨床的利益の可能性が示唆されたが、本試験はこの副次評価項目の統計学的有意差を正式に確認するためにデザインされたものではない。

安全性/耐容性は、IS-TKIsと比較してアシミニブで持続的に良好であった。減量と治療中断はそれぞれ以下の通りであった;アシミニブ(18.5%;46.5%)、イマチニブ(23.2%;47.5%)、2G TKIs(54.9%;63.7%)。2G TKIsに対するアシミニブのAEsによる治療中断のハザード比は0.46(95% CI 0.215-0.997)であった。

さらなる長期追跡により、アシミニブはIS-TKIsおよびイマチニブと比較して持続的に良好なベネフィット-リスクプロファイルを示し、新規診断CML-CPに対する治療選択肢としての可能性が支持された。

 

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ASC4FIRST試験は、以前にブログでもご紹介しています。

 

 

今回はフォローアップ期間を延ばした続報となりますが、概ね引き続きアシミニブの優位性が確認された結果となりました。アシミニブはIS-TKIおよびイマチニブに比較して高いMMR率を示し、毒性は明らかに少ないため、長期間の治療が必要なCMLに有利に働きます。今見えている範囲では非常に欠点の少ない治療薬と言えます。

 

一方で、注意しないといけない側面もあります。CMLはOSに差が出にくい分野でありますが、OSについてのデータは未成熟であること、新しい機序の薬剤であることから長期安全性やTFR(治療を止められるかどうか)については未知数であること、そして最大の問題の一つである薬価が高いことなど、今後も動向を注視していく必要があります。CMLは全例アシミニブ!というよりも、既存のATP競合型TKIとの効率よい使い分けが今後の課題と考えます。

 

おまけ

 

 

冷蔵庫にあるもので発作的に作ったジーローハンです(全然違う)!

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こんにちは。スタッフTです。


今回ご紹介する論文はこちらです。。

CXCL9 as a novel prognostic marker to identify high-risk adults with hemophagocytic lymphohistiocytosis
Rocco JM et al, Blood 2026,  doi: 10.1182/blood.2025030976

血球貪食性リンパ組織球症(HLH)はインターフェロンγによる高炎症状態を特徴とする、致死率の高い疾患です。さまざまな要因によって引き起こされるため、予後予測が困難なことが問題でした。
 

一方、CXCL9はインターフェロンγによる炎症のバイオマーカーとなる物質です。分解が早く測定が困難なインターフェロンγの代替マーカーとして期待されています。本論文はCXCL9がHLHの予後予測マーカーになることを示した後方視的な多施設研究です。

方法:アメリカの4つの大学病院から、HLHと診断され、1回以上CXCL6を測定したことのあるHLH患者のデータを後方視的に収集し、解析した。

結果:171人の患者がレビューされ、126人がHLH基準を満たした。年齢中央値は55歳だった。62%が男性で51%が白人だった。
CXCL6はHLHの患者で著明に上昇していた。
 

unbiased決定木モデリング(機械学習によるモデリングの一種)で、すべての臨床ラボデータを組み込んで解析したところ、CXCL6が16100pg/mLを超えるかどうかが入院患者の死亡率を予測する唯一の因子だった。
 

Cox回帰解析でも、CXCL6>16100pg/mLが有意に90日内の死亡率と関連していた。CXCL6が上昇した患者で早期死亡が多い傾向は、HLHの原因を悪性腫瘍(n=53)か非悪性腫瘍(n=73)かに分解した後も有意だった。

結論:CXCL6上昇が続くことは、明らかに死亡率と関連する。CXCL6は背景疾患が何であろうとも死亡率の高いハイリスクHLHを見つける新たなマーカーであり、将来的にはCXCL6が高い群では早めにアグレッシブな治療を行うというような活用ができるかもしれない。

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HLHは「ステロイドパルスやエトポシドを入れて、あとは効くのを祈るのみ・・・」という展開になりがちな疾患です。そのため、うまくおさまりそうなHLHなのかそうでないHLHなのかを判断できるマーカーが出てきたのは臨床的に意義があるのではないか思いました。

おまけ
 

 

いちごの白和えというおしゃれな一品です。春らしくてとても美味しかったです。