9月9日から11日までの三日間、エチオピアの病院経営者ティベブ氏の一行が来日し、IMSアカデミー短期研修コースに参加されました。これは、病院の運営で困難に直面している途上国の医療関係者に、日本で運営手法の教育をする「IMSアカデミー」を初めて試行的に行うものでした。
研修はイムス三芳総合病院の訪問からスタートし、研修の狙いと病院概要の説明を受けてから、総合受付、手術室、検査室、リハビリ室、病室等を順に見て回りました。受付の方法に色々質問されたり、施設内の清潔さに感心しているようでした。
昼食後場所を移してから、第一回目のディスカッションを行いました。ここでは、IMSグループがどのように多数の施設を統括しているか渡辺IIMA代表理事からの説明の後、ティベブ氏が運営してきた病院の実態についてヒアリングを行い、基本的な情報の共有を図りました。
二日目は、患者の視点からフローを見てもらうため、ティベブ氏に人間ドック(池袋ロイヤルクリニック)を受診してもらいまし。番号でお客様が次から次へ流れるように検査室に入っていく様をみて、「Good!」と称賛していました。この後、人間ドックについての説明、受診結果の説明を聞いてから、脳ドック・リラクゼーションルーム等の見学を行いました。そして、病院のシステムの説明の後、エチオピアにおける医療の実情を確認しながら、ディスカッションを進めました。
最終日三日目の午前中は板橋中央総合病院の見学を行いました。院長とエチオピア一行との挨拶の交換、病院側の概要説明の後、ティベブ氏に昨日の健診の結果に基づいて診察を受けてもらいました。単なる見学ではなく、患者になって病院を見てもらえたので、病院の流れについてよく理解して頂けたと思います。診察が一通り済んでから、病院のシステムの様子、すなわち、電子カルテが院内で共有されている様子や、アンプルピッカー等自動化・効率化されている様子を見学しました。
午後は、中村IMSグループ理事長、渡辺IIMA代表理事とエチオピアの一行とで「友好の証」の調印を行いました。これは、お互いの交流を深めることができた記念と、将来の協力関係を願ってのものです。調印後の懇談の中で、ティベブ氏は、「今回こうした素晴らしい機会を頂いたことに心から感謝申し上げたい」と発言されました。
そして、三日間の研修を踏まえた上で、エチオピアで建設中の病院をどのように運営していくか具体的な議論を行いました。エチオピア一行から、建設予定の病院の具体的な数値計画について説明が行われ、そのプランの検証などを行いました。この日のディスカッションはこの短期研修の内容を総括するものでしたが、これまで全くイメージのつかなかったエチオピアでの病院運営について基本的認識を共有することができました。
こうして三日間の短期研修を無事終えて、エチオピアの状況がよく理解できたうえ、何よりも共にやっていけそうだと実感できた意義は大きいものでした。ただ、この研修はあくまで本格的なIMSアカデミーの出発点であり、これからその中味を作っていかなければなりません。大変難しいプロジェクトだとは思いますが、エチオピアの医療のために、このプロジェクトが成功できるよう、引き続き努力していきたいと思います。