Hです。
寒い日が続きますね。漢方医学では冷えは体調を崩す大きな原因の一つと考えます。今回は、体の冷えが睡眠に影響していた方の入院治療をご紹介します。
10代の女性。元来、めまいや朝起きられないなどの症状で通院していました。水分代謝を良くする漢方薬で落ち着いていましたが、ある年の冬に再び症状が出て薬が効かなくなりました。夜早く寝ても翌日は昼まで昏睡状態のように寝るため登校できません。午後からは動けるので登校して授業を受け部活動にも励んでいました。入院に際して冷えの検査をすると、自覚症状はないけれども体の芯が冷えきっているという結果でした。また、睡眠検査では浅い睡眠が続いていることがわかりました。
睡眠の研究では、夜更かしだけではなく、体温の変化も睡眠障害の原因になると考えられています。この方は体の芯の冷えと睡眠障害に関連があると考えて、烏頭(うず)という生薬を含む体を強力に温める漢方薬を選びました。副作用が出ないよう細かく量を調整しながら飲んでいただいたところ、次のような経過でよくなりました。
入院当初 看護師さんに起こされて2,3時間は動けませんでした。
1週間後 起こされて1時間程度で動けるようになりました。
睡眠検査では深い睡眠がとれていました。
2週間後 起こされて30分以内に活動できるようになり退院しました。
冷えの検査では正常近くまで改善していました。
漢方治療では、冷えや熱を重要視して治療を組み立てます。今回の例では、体の芯の冷えによって睡眠異常が起きていたと考えられました。これを温めることで、深い睡眠を得て朝起きられるようになり、通学もできるようになりました。