夏 | 飯塚病院 漢方診療科のブログ

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Gです。

 

ブログを更新しないまま夏から秋に移ろうとしています。

 

今年の夏は暑かったですね。

飯塚も暑かったですが、日中は院内にいたので、一番暑い時間帯は涼しく過ごしました。

 

夏にも関わらず、入院患者さんは冷えている方がおられました。

・病室の温度は寒いと感じて廊下で日向ぼっこ

・体温が35度台で寒い、布団をかけても温まらない

・憂うつ

など。

 

漢方薬で内部から温め、ある治療器で外部から温め、何とか冷えを去りました。

 

伊藤隆先生によると、冷えの原因には

・気の上衝

・お血

・裏寒

があるようです。(漢方治療二頁の秘訣 金原出版)

 

私は裏寒(内臓、消化管の冷え)については温度感受性TRPチャネルのTRPV1とTRPA1が

関与しているのではないかと考えています。

裏寒に対してはショウガを加熱処理して乾燥させた乾姜(かんきょう)が有効で、飲むと

じんわりと温まってきます。裏寒がない人には辛くて飲めない乾姜量でも、裏寒がある人は

甘くて飲みやすい。治療の効果が出てくると、同じ人でも辛味を感じるという変化があります。

温まるという点についてはTRPV1やTRPA1を介した血流増加が報告されています。

辛味については、まだわかっていません。これに関しては今後の研究課題です。

(9月3日に第35回和漢医薬学会学術大会で、このテーマについて発表してきました。)

 

冷えという概念は西洋医学にはないと言われてきましたが、今は科学的に解明されはじめています。

富永真琴先生が温度生物学という分野を牽引されていて、研究の世界ではとても注目されているところです。

 

漢方では昔から冷えの概念を持ち、それに対して治療してきました。その現代医学的な病態生理と薬理に

ついて、その仕組みが解明されることを楽しみにしています。

 

さて、7月の終わりのことですが、久しぶりに虹を見ました。

二重のものは初めて。

インターネットで調べると「幸運が訪れる」とか、「悪いことの前兆」だとか言われるようです。

意見が分かれたときは良いほうを信じるようにしています。

そのせいか、私はこれまで運が良かった。

 

 

また、お盆が過ぎてから、ある水生植物が花を咲かせました。

 

この根っこは生薬として使用されます。

治打撲一方に含まれるコウホネ(生薬は川骨)です。

 

治打撲一方はとても良い薬です。

全国的にはマイナーなようですが、飯塚では頻用されています。

例をあげたらキリがありませんが、何にでも効きます。