こんにちは
今日は,漢方の煎じ薬の飲み方について,ご紹介します
漢方薬は飲んだことがあるけれど,
エキス製剤しか飲んだことが無いという方,多いのではないかと思います。
煎じ薬というものを処方してもらったら,
一体どんなものを薬局で受け取って,どんな風に作って飲むのでしょうか??
煎じ薬は,生薬(しょうやく)を煮出して作ります。
生薬とは,漢方薬の原料となる植物・動物・鉱物に,
使いやすいように乾燥・粉粋などの加工を加えたものです
当院では,煎じ薬を一日分ずつパックしてお出しします。
これを鍋に開けて,水を加えて,煎じます。
本当は写真のように土瓶で煎じるのがベストです
金属だとイオンが溶け出して影響するという説もあります・・・
でも,普通の鍋でも,かまいません
当院では蓋はしないで煎じます
熱源は,当院では600Wの電気こんろを用いています。
火力が一定なので,出来上がりのバラつきが少ないんです。
600mLの水を入れ,40分煎じると,600mLがおよそ300mLになります。
これが標準的な煎じ方で,常煎法(じょうせんぽう)と呼んでいます。
(※ちなみに中煎法は500mLを煎じて200mLに,小煎法は450mLを煎じて150mLにします。
また,烏頭(うず)という生薬が入る場合は,始めの水の量が,常煎法・中煎法・小煎法それぞれ800mL・700mL・650mLとなり,60分煎じます。)
今は,電気こんろを使っているお宅は少ないと思われますので,
ガスコンロでも,IHでもOKです
出来上がりの規定量が同じになるように煎じてください。
また,市販の煎じ器具もあり,とても便利ですが,
加熱が弱かったり,コンセントが抜けてタイマーだけ動いてた,
なんていう事件があったりするので,注意して使用して下さい
煎じ終わった漢方は,茶こしなどで濾して,
3回~4回(医師の指示通り)に分けて飲みます。
十分に作用を発揮させるには,他の飲食物と胃の中で混ざらない方が良いので,
食事の30分以上前か,食間に飲むのが望ましいです。
煎じたものは,なるべく冷蔵庫に入れて保存し,
飲むときに,レンジでチンでも,火にかけても良いので,
再び温めて飲んでください。
冷蔵庫での保存期限は,煎じてから72時間(3日)です。
これを過ぎたものは,廃棄して下さい
こうやって書くと,なんだか煎じ薬って面倒だな~って思う方もいるかもしれません
しかし,やはりエキス製剤と比較すると,効果は煎じ薬の方が優れています
また,生薬1つ1つを加えたり減らしたり,個々の患者さんの状態で調整することができます
個人に合わせて,言わばオーダーメイドの処方ができるんです
煎じ薬による治療を受けられることが,漢方診療科を受診する醍醐味なんじゃないかと思います。
朝の40分,あるいは前日の夜でも構いません。
煎じる時間がありそうなら,ぜひ,煎じ薬にチャレンジしてみて下さい
写真の出典:飯塚病院漢方診療科ホームページ
飯塚病院漢方診療科ホームページ
http://aih-net.com/medical/depart/kanpo/