「遺言書」・「遺言」に限らず、被相続人の遺品についても重要であると思います。実は、この

点について、私(飯嶋真一)も実経験があるのです。私の父親(飯嶋眞)がくも膜下出血で急死

した平成12年4月20日の後、亡祖父(飯嶋丙午郎)の遺品であった海軍の短剣(亡祖父は

旧海軍の軍人)が発見されたのです。亡父は元千葉県警察官でしたが、生前この短剣の事に

ついては何も話していませんでした。その他に刀剣類3点(合計4点)が発見されました。私は

すぐに刀剣審査会の審査を受け、4点中1点(江戸時代作成と判定された物)を除く3点は美

術品としての価値の無い物と判定されてしまいました。短剣も鋳造刀だった事から廃棄品とな

る事になりました。廃棄判断された3点の刀身を警察署へ提出し、1点を刀剣研磨に出しまし

た。その際、亡祖父遺品の海軍短剣の拵に合わせて海軍短剣(約七寸の短刀)の作成を依

頼しました。ここまでは遺品に対する私なりの対応です。問題はこの短刀完成から先の対応

についてです。刀匠は「短刀の出来栄えが素晴らしいから短刀に合わせて拵を改造する。」

と言うのです。私は正直びっくりしました。「亡祖父の遺品である海軍短剣の拵に合わせて短

刀を作成して欲しい。」と言うのが私の依頼であり、真逆に短刀に合わせて拵を改造するなど

というのは思ってもみなかった事だからです。これはやはり意識の違いであると考えていま

す。遺族とそうで無い者との認識では遺品に対する意識にも相当の差があるという事です。

遺族で無い者にとっては「遺品」という物もたんなる物であって、特別「遺品」であるという認識

が弱いからだと理解しています。さっそく担当に合わせて拵を改造するのはお断りし、短刀は

白鞘にし、拵とは別にいたしました。何とも悲しい経験になってしまいましたが、相続発生後の

さまざまな対応についても大事なことはずいぶんあるという事なのです。何かの参考にしてい

ただければ幸いです。