最近、旧知の友人からの手紙を読み思った事を投稿します。
1 日本の系図の信頼性について
日本の系図は、中国の族譜や朝鮮半島のチョッポと異なり、
たんなる一族の系統を示すだけではなく、職業世襲の証明的
な使用方法もされてきました。本来ならば真実の血系等にもと
づく系図で証明されればよかったのですが、えてして系不明の
ために偽系図が作成されてしまいました。例えば、自分の系統
がわからないために、近隣の名族・豪族の系図につなげてしま
ったようなものも散見されます。現在となれば、それらの系図に
ついて「系図の残る」などと主張している人達もずいぶんいる
ようで、友人は「閉口している。」と書いていました。
2 系図の真偽の判断方法について
(1) 他の系図との比較
尊卑分脈等の著名な系図と照らし合わせるのもそうですが、
それだけでなく、前述のように近隣の名族・豪族の系図と照合
して整合性があるかどうかを確認するのです。偽系図であれば
本家筋であるはずの名族・豪族の系図には分家等の記載が
存在しないはずです。
(2) 所在・存在地の調査
系図上、所在・存在していた場所に発生できるかどうかの
可能性を調査するのです。例えば、中世館があったとされる
場所が江戸時代の開墾で出来た場所である事もあり、明らか
な矛盾になります。また、地域的名族・豪族のわかれであれば
館はもちろん、菩提寺やお墓も存在していなければ、やはり、
矛盾と評価してよいと思います。
(3) 一般的歴史史料の調査
名のある名族・豪族の分れであれば、当然、近隣で発生した
合戦への参加等、なんらかの痕跡が歴史史料に記載されてい
るのが普通です。何の記載もなければ相当あやしいとみなけ
ればなりません。
(4) 系図の紙質・文字の書体
系図に使われている紙の質や文字の書体が作成された年代
と符合するかどうかをチェックして真偽を判断するのです。
(5) その他
例えば、系図の系統が数百年にわたって一系統のみであり
分家等を出していないとか。年代に比較して世代数が多すぎ
たり少なすぎたりしていないか(通常一世代25~30年程度)
等の確認をするのです。
以上のような調査等をする事によって、かなり系図の真偽を判断
する事ができます。
真実において作成された系図は、いわばその家の宝のようなもの
であり、先祖供養にも役立つものなのです。どうか大切になさって
ください。