昔(江戸時代以前)の遺言書ないし遺言状を見ると、家訓的なものが多く、財産贈与を目的

としたものは、あまりありません。もっとも、隠居等にともなう生前贈与が多く、遺言書等で書き

残す必要があまりなかったからかもしれません。家督制度がなった今日において、遺言書の

意義は財産贈与に関するものが主流になり、家訓的な事を書き残すものは少なくなったもの

と思われます。しかし、私はどちらかといえば、むしろ、家訓的ないし訓示的内容があって良い

のではないかと考えています。それは、最近の人と人とのつながりを重視した考え方とも符合

するのではないかと思われるからです。人生の最終段階における。自分自身の終着点にお

ける思いを述べる。その時、財産の事だけが書かれたものより、もっと大事なことがあるので

はないかと考えられるのです。