ワシントン・レッドスキンズのチアリーダーとして３年目を迎えている森下昌子さん
最も有名なチアレブリティと称されるマニングさん（右から２人目）。写真共有アプリなどでの情報発信で支持を集めている
「すごくキレイ」「そのドレスはどこで買ったの？」。オクラホマ州立大学のチアリーダー、カーリー・マニングさんが１１月のある日、写真共有アプリ「インスタグラム」で夕食会に参加した写真をアップすると、フォロワーたちから２万４千件の「いいね！」と称賛のコメントが続々と集まった。
１７歳のマニングさんは「最も有名なチアレブリティ」とも称され、インスタグラムのフォロワー数は５６万人。テキサス・クリスチャン大のペイトン・マーブリーさんやオクラホマ大のジェイミー・アンドリースさんらと並ぶ人気者だ。
チアレブリティの存在感はインターネット上だけに留まらない。米ＡＢＣテレビは２０１４年、ニュース番組でマニングさんらが家族ぐるみのサポートを受けてチアリーディングに打ち込む姿を放送して知名度アップに一役買った。ファッションブランドやスポーツウェアのメーカーはチアレブリティをモデルに起用し、化粧品やヘアスタイリング用品のメーカーが報酬を払って製品を推奨してもらったり、チアレブリティたちにスポンサーとして製品を提供したりするケースもある。
最も有名なチアレブリティと称されるマニングさん
最も有名なチアレブリティと称されるカーリー・マニングさん。
人気チアレブリティのペイトン・マーブリーさん
チアレブリティたちはいずれもチアリーディングの世界大会で優勝などの好成績を収めた実績があり、優れた身体能力でアクロバティックな演技をこなすアスリートでもある。華やかさと実力を兼ね備えた存在感で女性たちの関心を引きつけ、米メディアは「インターネット世代の若い女性は学生生活の花形であるだけでは満足しない」と指摘する。
こうした若いチアリーダーたちの視線の先にあるのがチアリーディングの最高峰の舞台である米フットボールＮＦＬだ。各チームのチアリーダーたちは、多くの女優やタレントを輩出してきたタレントの宝庫。スタジアムを埋め尽くす数万人の観客の前でのパフォーマンスだけでなく、チームの関連イベントや公式カレンダーの撮影でも注目を集め、米軍関連施設や病院の慰問といった社会貢献も手がける米国人の「ロールモデル」としての役割も担っている。
人気チアレブリティのペイトン・マーブリーさん（中央）。
ワシントン・レッドスキンズのチアリーダーとして３シーズン目を迎えている森下昌子さんは「９万人の大観衆からスタジアムを揺るがすような歓声を受けて演技する機会はＮＦＬにしかない。アドレナリンが出るなんていうものじゃないほどの高揚感がある。初めての試合が終わったあとは、しばらくは放心状態でした」と話す。
ワシントン・レッドスキンズのチアリーダーとして３シーズン目を迎えている森下昌子さん
ワシントン・レッドスキンズのチアリーダーとして３シーズン目を迎えている森下昌子さん（左から２人目）
華やかなだけの世界ではない。各チームのオーディションは毎年数百人が参加する狭き門。試合当日は４時間以上も踊りっぱなしという過酷さに耐えるため、チームからは採用後も厳しいトレーニングが課せられ、容姿の面でも髪の色や日焼けの度合い、爪の手入れまで細かくチェックされる。また金銭的な待遇が恵まれているとはいえず、多くはチアリーディング以外の仕事を掛け持ちしている。
それでも百年を超える歴史がある米国のチアリーディングの参加人口は年間３００万人以上と人気は根強い。スマートフォンの普及で個人による情報発信がより気軽になるなか、今後も新たなチアレブリティが生まれそうだ。
人気チアレブリティのペイトン・マーブリーさん
最も有名なチアレブリティと称されるカーリー・マニングさん。アスリートとしての実力も人気を裏付けている＝マニングさんのインスタグラムサイト（ｈｔｔｐｓ：／／ｗｗｗ．ｉｎｓｔａｇｒａｍ．ｃｏｍ／ｃａｒｌｙｍａｎｎｉｎｇ１０／）