2017年8月12日の日記より

 

 

風を喰らいたいが為に散策に出る。葉月の始めの霧雨は一向に止む気配無く、乙姫の哀しみは竜王の嘆きとなりて、海の水は風に舞い上げられ何時しか秋の涙となりて地に落つる。日和下駄にてそぞろ歩けば思いは津々浦々に乱れては消えて行く。市電に乗りて辺り見渡せば、人びと軽き服にてしばしの休息を楽しみに出かけたり、世間は盆の休み。

 

 

 

図書館にて数冊書物を借りる。瓢(ひさご)に関する書物の中に興味深き一節あり。瓢の創生説話。下半身蛇なる身体を持つ男女、洪水の後に生き延び、人類の祖先となる神話伝説は中国に住む苗族の伝承也。吾この伝え知りたるが先に書きたる蛇の文に通づる物也。また図書館にて在る人の名、度々意外な場にて遭遇す。奇妙也。神威なる現象と受ける。

 

 

 

 

 

図書館を抜け次に向かいし社、海事に関する神を祀りたり。参拝後にて境内を散策する。紫陽花を行燈仕立てにすると云う趣ある風情に心和む。その場にも彼の人の名在りき。不可思議な事を超え吾が身に起りたることの重さに心少し痛むる。境内では幼き娘が父と遊ぶ。その姿に目を細めつつも吾が心の中の曇り、いつしか霧雨に混じり涙する。

 

 

 

 

 

散策の途中にて見つけた喫茶(カフェエ)に立ち寄る。薄暗き店内から見る霧雨の町。煙る雨の中に際立つ緑陰の傍を家族連れ、学生が通る。給仕の娘の白き横顔、美しきかりき。珈琲とサンドヰッチを注文、食す。店の客は吾ひとり也。ママと女給の話を聞くと話題に上るは金蛇。呆れ驚く吾が身にはあの日以来蛇の呪詛が取り憑きたる。ニョロロ~也。

 

 

 

 

 

拙宅へ戻る。亀吉の前にも吾が座卓の上にも冷菓あり。誠かたじけなき事。独り身に時に酷なる他人の優しさ。恩義なすこともままならぬ。風を喰らうが如く、この身に抜ける諸行無常の哀しみ。自らよしとすること、真の意味での自由也。選びて進みたる道険しくも、その充足感たるもの、他者追随無き物也。今宵筆記したる吾が名は壮吉。

 

 

 

 

 

2017年8月27日の日記より

 

 

顔色は若き頃に留まらず、鶴髪淋しく我が身の秋を知る。刎頸の交わりなる誓いを立ててみたものの、いつしか日々の流れに沈みて薄情となりぬ。人を乞う日々もまた記憶の底に沈みゆく。恋もまた四季の移りの如くなり。変わらぬ他人の心を求むるが其は実は吾が心なり。秘かなる思いは常に吾が身に内在す。気高き思いは巖となり神籬(ヒモロギ)と化すや。

 

 

 

 

 

稲穂頭垂れる谷戸にて書物を開く。風は竹林を抜け、八重葎を揺らしては桑の木を撫で回す。その姿、かつて誰ぞが見た光景なり。吾が心のタマシヒの疼きは遥かなる昔の恋人たちの過ごした日々を憧憬す。稲の穂先ひとつにも神宿り、露の一粒にも恵みを思う心あり。知への旅路は自由を生み我が裸の足先に寄せる風優しく、この世の幸せを噛み締める。

 

******************************************************

 

以上、2017年8月12日と8月27日の日記より

 

いやー、今、アメーバピグの中にある日記を一生懸命選んでコピーしていますが、なにしろ量があるので、もういいやと(苦笑)。

画像は残るようなので、とにかく文章だけPC内にストックしている最中。でも時折、「あはは、こんな遊びしていたんだ!」と手が止まってじっくり読んだりして、また時間が掛かってのループ。終わらなーい!

 

その中で見つけたのが文芸・文豪シリーズ。作家や作品の登場人物に成りきる遊びです。

 

今回のブログに出て来た『壮吉』、御存知の方もおありでしょうが、明治大正昭和を生き抜いた文豪『永井荷風』に扮しています。

 

実際にこの日記は、私自身がこの日に隣の区の図書館に行った様子を文語調で表現しています。

 

現代風に要約すれば

 

「霧雨降ってるわ、世間はお盆休みだし、図書館でヒョウタンの本借りたわ、神社行ったわ、喫茶店寄ったわ、給仕の子可愛いなあ、ママとバイトの子が蛇の話してるわ、帰って来てピグ来たらアイスあったわ、ありがとう」

 

「人の心って移り気だよなー、でも俺の心は変わんないぜベイベー、な、俺ってすげーだろ?読書してたらさー、風吹いて来て、昔の人も見たんだろうなーって景色が広がっていてさー、そうゆーのってなんかカミサマいるような感じすんだろ?それってフリーダム!あんどハッピー!」

 

という感じの内容です(たいしたこと綴っていないのよ)。

 

ただこの月の初めに、当方のブログにある石川淳『狂風記』と宇賀神ー蛇神信仰 鎌倉市銭洗弁財天宇賀福神社にてで蛇神信仰について書いてから、なぜかこの現在ブログ書いている今の今まで蛇神様に憑かれているんですよね。実際に、喫茶店でママとウェイトレスの子が延々と蛇の話をしていたのを横で聞いていて「ひぇぇぇぇー」となった思い出。