世界のリード役としての日本

1.日本はいま、新たな世界のリードオフマンとなれるよう、日本の歴史や伝統文化を根底から見直し、世界に冠たる、そして古くて最も新しい日本の文化を、あらためて取り戻し、発展させ、日本も世界もともに豊かになる道を進むべきときにきている。それはつまり、これまでの、明治以降150年の間にはなかった、全く新たな展開だ。

 

2.日本と西欧では、歴史伝統文化経済の成り立ちが違う。西洋の場合、現代ビジネスの形が始まったのが、14世紀のこと。ユーラシア大陸を席巻したモンゴルの大帝国が崩壊し、それまで使われていたモンゴルの通貨が価値をなくし、その頃までに黄金を蓄えていたオスマントルコが地中海を席巻し、西洋の白人たちはひたすら収奪されるばかりの状況になった。このとき、「俺たちにはギリシャローマの時代から続く歴史があるではないか」ということで始まった運動が、所謂ルネッサンスで、この言葉はフランス語で再生や復活などを意味する用語だ。この時期のルネッサンス運動のことを、「文化の再生運動だ(ルネッサンス運動だ)」と述べたのは、19世紀のフランスの歴史家ジュール・ミシュレで、要するにルネッサンスというのは、そうした思想的運動が起きてから500年も経ってから付けられた名前だ。

 

3.日本には、欧米にあるような投資会社は、ごく僅かしかない。商社などが、その代わりを務めることはあるが、対象となる企業はごく僅かだ。例えば、スターバックスは、いきなり全国展開したビジネスになっているが、それらは外国資本であり、外国資本が日本に進出するにあたり、商社などに声がけをして資金を募っているという形だ。日本人の普通のおばさんがネット通販をして少々の利益を挙げていたとしても、そこに資本参加してくれる投資会社など、日本にはない。日本では、経済の成り立ちや仕組みが、欧米とは全く異なるシステムで運用されてきた。日本では、庶民はみな天子様の「おほみたから」であり、その「おほみたから」が集まって家族を形成する。その家族は、血が繋がっているわけではなくても、一緒に商売をする仲間たちは、みんな家族だ。そして、夫々の家族が互いに切磋琢磨して商売をして、一族を繁栄させる。三井、住友、三菱、鴻池など、皆その形で、千年以上続く企業となる金剛組や西山温泉など、全部、この形だ。

 

4.西欧と日本では、文化の成り立ちが違う。明治以降の日本は、とにもかくにも欧米社会に追いつき追い越せでやってきたし、とりわけ現代の法体系が築かれた明治時代は、日本が不平等条約に苦しんだ時代であり、日本を短期間に欧米と対等な国にするために、欧米のシステムをまるごと日本に導入しようと努力がされてきた時代だ。それは「欧米の政治や社会体制等が素晴らしいものであったから」ではなく、あくまで「欧米と対等に付き合える国」となることを目指したからだ。しかし現代は様子が異なる。日本は現実には米国の「属国」の地位にあるし、それでいて国連では日本は世界の「敵国」だ。そして欧米社会のシステムは、今や完全に破綻が見えてきている状況にある。

 

5.日本はいま、新たな世界のリードオフマンとなれるよう、日本の歴史や伝統文化を根底から見直し、世界に冠たる、そして古くて最も新しい日本の文化を、改めて取り戻し発展させ、日本も世界も共に豊かになる道を進むべきと時にきている。それは、これまでの明治以降150年の間にはなかった、全く新たな展開だ。その展開を考え、新たな日本を構築していくのか、それとも、欧風化を継続することで、欧米とともに沈没していくのか。その選択の時にきている。そしてこの時に最も必要なことは、日本人が改めて日本を学ぶこと。何故ならそれが日本人の根源だからだ。