1.人間は120年しか生きられない。
これ見ると分かりますが
人間の寿命は本来20歳そこそこがいいとこで
実際に縄文人は人間本来の寿命だったとされています。
ところが
ワクチン、抗生物質の発明、公衆衛生の改善、医療の発達によって
ヒトの寿命は何倍にも伸びることになりました。
2.人類の平均寿命は現在までほぼ一貫して延びてきましたが、最高寿命も延びてますか?
日本人の生存曲線推移 イングランド・ウェールズのヒトの生存曲線推移 日本人もイギリス人も同様の生存曲線でこれを見るとどうあがいても110歳あたりが限界に見えます。 中には120歳もいますがあくまで全体の分布を眺めた時の話です。 平均寿命は伸びているのに対して最高寿命は伸びません。 これは人間の生殖可能年齢が人類史上不変なのとも似ていますよね。 もともと人間の平均寿命って30歳あたりだったのが ワクチン、抗生物質の発明、公衆衛生の改善、医療の発達によって ヒトの寿命はなんと倍以上に伸びました。 しかし 最高寿命は100歳そこそこでずっと伸びていないのですね。 ところがですよ。
3.最近 哺乳類の種による寿命の違いは何に起因するか調べた研究において 動物種の遺伝子変異率と寿命が反比例することが分かりました。 人間って遺伝子変異を防ぐ仕組みにより寿命を伸ばす凄く武装された生命機械なんですね。 しかし人間って100歳近くまで平均して生きるからこそ 癌による死亡率が高まっています。 40代から80代まで、死因の1位は癌 ここで90代以上は遺伝子変異を起こしにくい体質 遺伝子変異を起こしにくい生活習慣ともに無双人間なのかもしれません。 しかしそれでも限界は長くて110歳や120歳です。 ここを突破するには積極的に、遺伝子変異が起こる仕組みと遺伝子変異を修復する仕組みを知ることで、人為的に人間の遺伝子変異を更に減らすことにより実現が可能なのかもしれませんね。 とは言え90代以降の死因上位は老衰、心不全、肺炎ですよね? ということは遺伝子変異とは別のアプローチも必要だろうと思えます。 加筆 2024.5.10) 以上の表は日本人の死因ランキングですが 【世界の死因(2019年)】 1位 虚血性心疾患 2位 脳卒中 3位 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 4位 下気道感染症 5位 新生児固有の状態 6位 気管・気管支・肺癌 7位 アルツハイマー病を含む認知症 8位 下痢性疾患 9位 糖尿病 10位 腎臓病 と癌による死因が上位に入ってきません。 人種差や貧困さ、文化教育の違いも反映されており癌で亡くなるよりも先に、塩分や脂肪分摂取過多と運動不足など生活習慣により心筋梗塞や脳梗塞など循環器系の疾患で亡くなる人が多いです。実は日本もかつては脳内出血など脳卒中による死因がトップだったのですが、現代では血圧を下げる降圧剤の普及により脳卒中による死亡は癌に取って代わられた経緯があります。 また昔は人間の平均寿命が50歳や30歳という時代もありました。 ただそれにしても 再掲するグラフでみると 寿命と遺伝子変異率は尚、われわれ人間を含めて反比例していますね。 これを見ると人類や動物が創生されてからの共通の敵「感染症」に対する生体の戦闘力についても、遺伝子変異率が低いとメリットがあるのかもしれません。例えば病原性のウイルスや細菌に対して、遺伝子変異が多いと、宿主による対病原の戦闘にバグが生じやすいとか、免疫反応そのものにより宿主が遺伝子変異を受けやすくなることで更なる生体の老化や劣化につながりうる等々可能性もあるのかも 人類の平均寿命は現在までほぼ一貫して延びてきましたが、最高寿命も延びてますか? 延びてません。 ヒトの遺伝子変異を防ぐことで伸ばせる可能性 ”多少くらい”はあるかもしれませんね。
4.人間は120年しか生きられないんですか?
いえ人間は、驚異的なことに120年も生きられるのです。
では多くの動物の中でもなぜ人間だけが特異的に
80歳、100歳、中には120歳も生きることができるのでしょうか?
そこで哺乳類の種による寿命の違いは何に起因するか?
について調べた2022年英国チームの研究において
動物種の遺伝子変異率と寿命が反比例することが分かりました。
Visualizing the Relationship Between Cancer and Lifespan
New research links mutation rates and lifespan. We visualize the data supporting this new framework for understanding cancer.
https://www.visualcapitalist.com/the-relationship-between-cancer-and-lifespan/
人間って遺伝子変異を防ぐ仕組みにより寿命を伸ばす凄く武装された生命機械なんですね。
では人間の寿命が20歳そこそこだったころの突然変異率はもっと高かったのか?
これは重要な問いで、おそらく、遺伝子の突然変異率が低い人間が選択的に生きながらえてきた可能性や、初期のホモ・サピエンスに比べて進化した結果として低下した可能性、あるいは、人間の現代の食生活や、生活習慣、医療の恩恵により突然変異率が低下した可能性など複合的な要因が考えられます。あるいはそもそも上の図の人間のプロットを少々左にずらしてもまだ回帰曲線の誤差範囲にも見えるのです。こればかりは縄文人やネアンデルタール人などの細胞を何らかの方法により再現しないとなかなか解明には至らないかも知れません。
脚注
[1] Somatic mutation rates scale with lifespan across mammals - Nature