財政破綻論者は姿を変える

1.24年3月末時点の日銀資金循環統計が公開された。史上初めて、借方・貸方の総計が1京円を越えた。貸方における、純資産を除いた「負債総額」は、9514兆円! 日本は9000兆円を超える「借金」を抱えていることになるが、これで問題ではなく、当たり前のことだ。貨幣とは「貸し借り」だけで増える。GDPが成長していないが、実質賃金が下がり続けようが、貸し借りの「関係」が成立すれば、貨幣は増加していく。

 

2.財務省は、右上の一般政府の負債1443兆円のみをクローズアップさせ「国の借金で破綻する」と、煽り続けているが、「国の借金」とやらが増えれば増えるほど、民間の資産も増えていく。当たり前のこと。特別定額給付金を例にとれば、
①政府が国債を12兆円発行し、日銀当座預金を借り入れる
②政府が民間銀行に家計の銀行預金残高を、一人10万円増やすように指示
③銀行が自らの負債である銀行預金(=家計の資産)を一人10万円増やす
④政府が借りた資産(日銀当座預金)が銀行に移り、清算される
 というプロセスになる。その場合、
家計:バランスシートの借方が一人10万円(銀行預金)、総計12兆円増える
政府:バランスシートの貸方が12兆円(国債)増える
民間銀行:バランスシートの借方で国債が、貸方で銀行預金が12兆円増える
 ことになり、国家のバランスシートの借方、貸方はそれぞれ24兆円(※12兆円ではない)増えることになるわけだ。

 

3.家計の金融資産を見ると、対前年比で投資信託が31.5兆円、株式等が33.7兆円増えています。実は、一年前まで、投資信託・株式は対前年比で減り続けていたのですが、23年4-6月期以降はプラスに転じました。

逆に言えば、今後、株価が下がった場合、家計の金融資産がマイナスに転じる可能性はあります。実際、22年10-12月期は株価下落等により全体の金融資産が対前年比でマイナスになりました。

それはともかく、かつて財務省は、
「今はまだ家計の金融資産が十分にあるため、国債を発行できるが、そのうち政府の借金が家計の金融資産を越えて破綻する」
 という、荒唐無稽というか、頭おかしいというレベルにすら達していない、幼稚な理論を振りかざしていました。今は知りませんが、当時は伊藤元重や竹中平蔵(※三橋が突っ込んだシーンの映像記録残っています)らがこの説を堂々と披露し、石破茂などがモロに騙されていました

アホか! 政府が国債を発行し、支出すると、国民の銀行預金(金融資産)が増えちゃうだろ! 抜くとか、ありえないから!

何というか、バカバカしいというか、哀しいほどにレベルが低い。

さすがに、↑この手の説を言い出す人はいなくなったと思いますが、国民が貨幣について理解を深めない限り、すぐに別の荒唐無稽レトリックを叫ぶ破綻論者が出現するでしょう。「財政破綻論者を駆逐せよ!」

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