菅前総理が選んだ「次の総理候補の名前」

1.衆院補選に続き、地方選も連敗。岸田首相は解散を断念し、内閣改造に着手しようとしている。いまの状況はまさに、'21年の菅政権の末期と酷似している。今度は菅が、総理を引きずり降ろす番だ。情報を聞きつけた報道陣が狭い路地に押し寄せるなか、最初に姿を見せたのは小泉進次郎元環境大臣。続いて加藤勝信元官房長官、菅、武田良太元総務大臣が現れ、最後に萩生田光一前政調会長が店へ入っていった。  萩生田、加藤、武田の閣僚経験者3人は次世代のリーダー候補と目されており、頭文字をとって「HKT」と呼ばれ、定期的に会合を重ねてきた。武田が会の様子を語る。「根底から自民党を変えていかないといけないという議論だった。政治家同士だから、露骨な話はしないものだけど、会うということが大事なんだ。自民党が本当に国民の信頼を勝ち得るためにはどういう総裁選をやるべきかという話にはなった」  総裁選への対応を協議したと認めた武田。5人を集めたのは菅だったという。表立って「次」の話をしたとは言えないだろうが、菅が声を掛けたなら、この会合は重い意味を持つ。  

 

2.菅は'21年に総理の座から引きずり降ろされたときの恨みを忘れていない。非主流派に転じ、さらには「軽い脳梗塞を発症した」(自民党若手議員)として一時は健康不安説も囁かれた。ところが、ここにきて求心力が高まり、菅は「次の総裁を決めるのは俺だ」と言わんばかりに動き始めたのだ。  「裏金事件を受け、麻生派以外の派閥が解散を決めると、以前から派閥解消を主張していた菅さんの存在感が増しました。さらに政治資金規正法の改正案をめぐっては、公明党と日本維新の会にパイプを持つ菅さんがキーマンに。『連立を組んでいる以上、一緒にやるしかないだろ』と迫り、政治資金パーティー券購入者の公開基準額を5万円超に大幅に引き下げる公明案を岸田さんに飲ませました」(全国紙政治部記者)  もはや菅抜きにして政治を動かすことはできない。そう悟った「ポスト岸田」候補の面々は、菅のもとに結集し始めた。  「石破茂さんや加藤さんだけでなく、菅さんが『聖子ちゃん』と呼んで可愛がっている野田聖子さんも、菅さんに推薦人を借りて、総裁選に名乗りを上げようとしている。みんな『菅さん詣で』の状態です。一方、何かと菅さんと意見が対立する麻生さんは、菅さんと歩調を合わせるわけにもいかず、当面は岸田さんを支えるしかない。菅さんのほうが、はるかに手札が多いのです」

 

3.菅の手札で「ポスト岸田」最有力候補は国民人気1位の石破であると見られてきた。ところが、情勢が変わりつつある。「6月6日の北海道新聞で、岸田さんが国会閉会後に内閣改造を検討していると報じられたが、その目玉が『石破幹事長』。しかも、石破さん本人もまんざらでもないようで、打診があれば受けるだろうともっぱらの噂。これを聞いた菅さんは『だからアイツはダメなんだよ』と吐き捨てたと言います」 また石破の党内不人気は相変わらずで、特に旧安倍派からは蛇蝎のごとく嫌われている。いまも鋭い「菅の政局勘」…「安倍派の番頭だった萩生田さんは、旧統一教会との関係が明るみに出た際に、地元選挙区の八王子で菅さんに創価学会とのあいだを取り持ってもらったので、菅さんには頭が上がらない。それでも『石破だけは支持できない』と公言しており、菅さんが石破支持にまわるならば、袂を分かつ」(前出・自民党閣僚経験者)  体が衰えても、政局勘は鋭い菅はこうした空気を感じ取り、石破と距離を置き始めたという。そこで新たに名前が浮上したのが加藤だ。

 

4.6日の会合も「加藤待望論」を押し出すことが目的だったと見る向きもある。「加藤さんは総裁選への意欲を公言しており、岸田派幹部たちも『アイツは本気だ』と警戒している。人格温和で敵がおらず、みんなが乗りやすい。安倍派を束ねる萩生田さんと、二階派を束ねる武田さんが担げば、一気に最有力候補になります」(二階派ベテラン議員)  知名度という点では、小泉進次郎の右に出る者はいない。最近では、一般ドライバーが自家用車を使って乗客を有償で運ぶ「ライドシェア」の全面解禁に向けて活動しており、これに茂木敏充幹事長も賛意を示したことで存在感を見せている。「進次郎推し」を匂わせながら「6月12日に『活力ある地方を創る首長の会』の総会が開催され、菅さんと進次郎が並んで挨拶した。同会は首相だった菅さんを応援するために、'20年に全国の首長で発足した会です。もともとはクローズドで行われていたこの総会が突如、メディアに公開された。菅さんは『進次郎推し』を匂わせて、岸田さんを揺さぶっている」(自民党中堅議員)  過去の総裁選で現職総理大臣が負けたのは、'78年の福田赳夫のみ。岸田がいま縋りつくのは、「歴史の因果」である。その因果を菅が断ち切るのか。手札は十分。どのカードを切ればいいか、菅は9月まで残された時間をたっぷりと使い、情勢を見極めようとしている。 (文中一部敬称略)  「週刊現代」2024年6月22日号より  

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