歴史は繰り返す

1.日本神話を学ぶと現代が見えてきたりする。スサノオと大国主といえば、神話の中で有名な存在。スサノオは、幼い頃に泣いてばかりいたけれど、後にヤマタノオロチを退治して、地域の活性化を図り、奥出雲の国一帯の主となられた。このことは、現代風にたとえれば、スサノオは地域国家を成立させた、つまりナショナリズムの先駆けと言うことができる。そうして形成された出雲の国に、スサノオの七世後に登場するのが大国主。大国主は経済を活性化させ、数々の国によって形成されていた葦原の中つ国を最初に統一して、大いなる国を形成した。これは、世界にある様々なローカルな諸国を統一した。つまり現代において経済で世界を統一しようとしているグローバリズムの先駆けといえる。

 

2.グローバリズムは、世界がひとつになるという理想を実現しようとするものだ。目的は、国際的大企業が政治を動かして自分たちの利益を得ることで、結果としてグローバリズムは、ごく一握りの超絶大金持ちと、圧倒的多数の貧民を形成する。特に、末端に行くほど、人々は貧しくなり、ゾンビのような状態になる。我が国の神話は、そうなる前に、天照大御神が大国主に国譲りを迫る。国譲りに際しての御神勅は「天壌無窮の神勅、齋庭の稲穂の神勅、宝鏡奉斎の神勅だ。日本書紀には、それぞれ説明が書かれているが、まとめると、この三つの御神勅の意味するものは、すべて民衆をこそ「おほみたから」とすることにある。それは、民衆が、豊かに安全に安心して暮らせる国を築くことを意味している。

 

3.世界はいま、ナショナリズムとグローバリズムの戦いであるとよく言われる。だが日本が目指すべき道は、ナショナリズムにも、グローバリズムにもない、第三の道、すなわち「民衆こそおほみたからとする社会の構築」にあるのだ。それはこれまでの世界には、全くなかった思想であり、日本神話の持つ思想そのものだ。神話を学ぶということは、ただ、昔語りを楽しむというだけのものではない。神話は民族のアイデンティティそのものであり、繰り返される歴史の姿を浮き彫りにするものだ。まして日本神話は、万年の単位で蓄積された日本民族の知的財産だ。現代が抱える諸問題を解決するには、まず、我々人類社会の本質が何であるかという原点を明らかにする必要がある。その原点が神話なのだ。原点、つまり出発点を明確にすることにより、我々は、これからの時代を築く判断の物差しを得ることができる。

 

4.日本人は、我々日本人が示す土俵を、まず取り戻す。その土俵にあたるものが日本神話だ。大人の学問は、実生活に役立つ、あるいは天下国家を考える上において、その根幹となる知恵を授かるためのものでなければならない。子供が童話を楽しむのとは、訳が違う。日本の神々の思いは、その時代を生きる人々が、平穏に豊かに安心して安全に暮らしていくことにある。戦後の日本は、我が国の経済が発展し、また世界の先進諸国の中で、唯一日本は戦争のない、若者たちを戦地で死なせることのない、平和な国、そして豊かな国でいることができた。戦後日本に神々が求められたものは、平和と繁栄であった。そして日本は未曾有とさえいわれるほどの繁栄を、平和の中に築くことができた。平成以降の不況や、昨今の無国籍型日本人、感謝を知らない日本人、日本人の民度の低下などを見ると、経済的繁栄の次に来るべき、尊敬や感謝の心といった、大切な日本人としての精神性を、今は神々が求められている。

 

5.戦前の日本は、一等国への仲間入りが最大の目標だった。戦後初期は焦土の復興が第一で、高度成長期の頃は経済的繁栄が第一だった。そしてバブル崩壊後、いまいちばん求められていることは、日本人の民度の向上だ。これを実現するために神々は、戦後の体制さえも、いま否定されようとされている。日本は生まれ変わるときにきた。このことを、ひとことでいうなら、「日本を格好よくする」ということだ。これからは、身も心も恰好いい日本人になっていく。真正の日本人的かっこよさは「誠実であること、責任感があること、周りの人に思いやりの心を持つこと、困難に立ち向かう勇気があること、自分の信念を持っていること、知的でユーモアがあること、自分のやるべきことに情熱を持っていること、周囲の人を楽しませることができること、常に努力していること、人の悪口を言わないこと」などにある。

 

6.日本では縄文の昔から、この世は、魂が神様になるための訓練の場だと考えられてきた。だから与えられた宿題を、確り消化していかないと、同じ苦しみを何度でも味合わされることになる。ひとつひとつが人生の試練であり、その試練を乗り越え乗り越えしていくことだ。縄文由来の知恵ということは、万年の単位で熟成された思想であることを意味する。それこそが真実だ。魂の薫陶の場であるこの世界は決して失くなることはない。魂の薫陶の場としての現世には、ときどき「神様昇格特別サービス期間」がある。先の大戦が、まさにそれだ。現代なら重症患者としてICUに入れられるほどの大怪我をしながら、敵弾が飛んでくる中を戦い続けなければならなかったの。それでいて笑顔を絶やさないで生き、そして死んでいく。短期間で神様になるための最大の薫陶を受けることができたのが、大戦中であった。だから英霊のみなさんは、今ではみなさん神様だ。現代日本は、幼い頃からあたりまえと思ってきたことに疑問を持ち、新しい未来を築くという中で薫陶を受ける時代だ。つまり、新しい、そして素晴らしい未来を築くために、どこまで頑張れるかが、今生における最大の使命として、戦後の日本に生まれてきている。これこそが縄文以来の日本人の古くからの思考なのだ。日本を格好よくするために生まれてきたのだ。
参考文献:小名木善行(おなぎぜんこう)著『希望ある日本の再生』

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