危険な〝ダブル炭水化物〟を止めよう

1.ラーメン・半チャーハンセットは男性更年期障害の敵 バランスよい「定食」にしましょう。国内では、40~74歳の男性の2人に1人が、メタボリックシンドロームの該当者もしくは予備軍と推定されている。メタボは、腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上に加え、①血圧130/85以上、②空腹時血糖110mg/dl以上、③脂質異常症(中性脂肪150mg/dlかつ、またはHDLコレステロール40mg/dl未満)の3項目のうち、2項目以上が当てはまると診断される。

 

2.「メタボであっても自覚症状に乏しく、健康診断で指摘されても放置している人がいます。しかしこれは、心筋梗塞などの心臓病や脳卒中のリスクが上がるだけでなく、男性更年期障害、LOH症候群にもつながります」。こう指摘するのは、新古賀病院(福岡県久留米市)糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師。日本メンズヘルス医学会の理事で、『LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き』(医学図書出版)の作成委員でもある。「メタボと男性更年期障害は、ニワトリと卵のように関係性が深く、食生活や運動の見直しを行うことで、どちらも改善できる可能性があります」メタボを改善するには、適量の食事を1日3食、間食は止め、ウオーキングなどの運動習慣を増やすことが重要になる。だが、男性更年期障害に陥ると、食生活の改善や運動に取り組む気力も失せてしまう。メタボ状態が続いたまま、男性更年期障害の症状も次第に悪化することになる。

 

3.「運動はとても重要です。駅から自宅まで歩くなど、少しずつ活動量を上げましょう。食事では、〝ダブル炭水化物〟を止めて、定食を心がけていただきたいと思います」。ダブル炭水化物とは、ラーメンに半チャーハンが付いた〝半チャンセット〟や焼きそば定食のような組み合わせのこと。麺とライスが炭水化物のダブルになる。このようなメニューで油をたっぷり使っていれば、脂質も多くなる一方、タンパク質は不足しがちだ。体を動かすために不可欠な三大栄養素は、炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質で、このバランスが崩れるのは危険なサインだ。「定食であれば、魚や肉などの主菜、みそ汁や野菜などの副菜、ご飯の主食がバランスよくとれます。定食に変更して、食習慣を変えることにつながった患者さんは少なくありません」

 

4.明比医師は、新古賀クリニックで糖尿病診療を行い、肥満外来・男性更年期外来も開設している。そこでは、患者にスマートフォンのカメラで食事内容を撮影してもらっているという。「盛りそばと炊き込みご飯は、ヘルシーメニューのように思う人もいますが、ダブル炭水化物です。(食事撮影は)そんな気づきの一助になります」

妻の協力を得て、1カ月半で食習慣をガラリと変えて減量につなげ、メタボも男性更年期障害も改善した人がいるそうだ。運動習慣+バランスの良い食事はやはり効果がある。

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