暑い日が続いている。

 

汗をかきながら

部屋でぼーっとしていたら気がついた。

 

つい最近まで

色々な鳥の鳴き声が

お喋りだったり、

つんざくような叫び(笑)だったりで

あんなにも聴こえていたのに

ここ最近はシーンとした昼間の時間がある。

 

静か過ぎて戸惑ってしまうほど。

 

界隈の鳥たちも

この暑さをしのごうと

あちらこちらの樹の葉の陰や穴の中で

じっとしているのかな・・・。

と思いいたった。

 

というのも

1か月ほど前に

父が掌の中に

何かの鳥のヒナを包んできた。

 

「落ちていた・・・」

という。

 

 

そっとのぞき込むと

掌の中のそのヒナは

まだ「恐怖」という感情を知らないかのように

怯えもせず、父に身体を預けているように見えた。

 

黄緑色っぽいふわっふわの羽が

可愛らしさと

か弱さをあらわしている。

 

頭の大きさの割に幅の広い口ばしは

餌を食べるために必要な要素なんだろう。

 

気付くと親鳥らしき鳥が近くにいる。

 

父は誘拐犯になっているのだ。


 

その親鳥らしき鳥がだんだんと距離を縮めてくる。

 

親鳥の気配を感じとったヒナが鳴いた。

想像よりも低い声。

そして小さい声。

 

「もっと大きく鳴いて。お母さん!って鳴いて」

と声に出して言ってみたけれど

 

私の心配をよそに

その小さい声にしっかりと反応して親鳥も鳴いた。

 

この、鳥たちのやり取りを聞いて

私たちが介入する余地は無い、

とわかった。

 

我が家と隣の家の間の道路に

落ちていたというので

ヒナをその近辺の土の上に置いて

陰から様子をうかがっていたら

 

最初は羽を広げてバタバタしても飛べなかったのに

時間はかかったが

最終的には、飛んで樹の上にのぼった。

 

無力に思えたあの小さなヒナは

私が考えるよりもはるかに生きるための力を持っていた。

 

落ちた、

のではなく

巣立ったばかり、

だったのかもしれない。

 

自分の考えの何もかもが

自然の力、動物達の生きる力に対して

無知で失礼極まりなかった・・・気がする。

 

ごめんなさい。

 

 

親鳥をみてシジュウカラとわかったけれど、

ヒナは全然シジュウカラっぽくないんだね。笑

 

成長したあの子に

いつかまた会えたらいい。

 

暑くて静まりかえる窓の外を眺めながら

ふと、あのヒナを思い出す。

この暑さを頑張ってこえておくれよ。

 

あ、これも余計なお世話かもしれない。