自分の手を人様に見せる。

それはとても勇気がいる。笑


いや、ホントに。


可愛らしいトマトを手に乗せて写真をアップしたけれど

自分の手には「コンプレックス」が。


女性らしいすっとした指の薄い手に憧れる。

実に憧れる。


決してデリケートでない私。

今まで生きてきて胃が痛くなったことも

何かに当たってお腹を壊したことも

インフルエンザなどの類のウイルスにやられた事も

ない。全然ない。

自慢だ。


けど、飲食業に従事して料理をするようになって

デリケートとは無縁のわたしの手が、

この手が見事にボロボロになった。

ま、何年か前の話だけど。


手のひらも、甲も、縦に横にひびが割れた。

移動性水ぶくれだらけだった。

お客さんの前でワインを開ける時、ソムリエナイフを握っていた手から

血が、したたり落ちて慌てて拭ったことも忘れない。

手が強かった男性シェフが「できることなら変わってあげたい」と言った。

その言葉も忘れない。

そのシェフの奥さんは、これが手荒れに利く!と言っては

色々な物を私の手に塗ってくれた。

痒くて痒くて、一人で誰もいない厨房で取りあえず泣いたこともあった。

朝起きると、鼻血?と思うほど

枕もシーツも血だらけだったこともあった。

手を洗うのが嫌いだった。

だって、痛い。


コンビニではお金を払う時、「美容師さん?」って

何度か聞かれたこともある。

そんなあなたの手もささくれだって、痛々しいのに。


小さかった姪っ子には

なんでそんなにざらざらしてるの?と聞かれた。


でも、友人達も

お店に来るお客さんたちも

みんな、私の手を好きだと言ってくれた。


おお。思い出すだけで泣けてくる。笑

私、自分の手があんなになって良かったって思う。

数えきれないほどの優しい温かい言葉を頂いた。


人間捨てたもんじゃない。

心の底からすっごい底から感謝している。


自分が料理をする。その現場から離れたのは、手のせいじゃない。

ちょっとした方向転換。笑


離れて数年。

なんと手のひび割れも水膨れも治った。

おそらく人より硬い皮だしシワは多いけど良し。と思う。


だけど正直に言う。

この手はコンプレックスだ。


だからこそこの手がとても愛おしい。


だから、毎晩ハンドクリームを塗る。

普通か・・。笑


もうひとつ言う。

自分の手はコンプレックスだけど


だけど以前の私の手よりも

もっとひどい状況の方はいる。

きっと沢山いる。


スーパーのレジや、美容室や

ちょっと類は違うけど仕事で真っ黒になった男性の手。

たまに見かけるそんな手を

私は尊敬のまなざしで見つめてしまう。

何もしてあげられないけど

頑張れよって思う。


偉そうだな、私・・。