こんにちは。

 

今回は、2024年に3歳となる欧州・米国馬の紹介です。

 

海外の2歳戦はなかなか注目が集まらないことも多く、実際当ブログでもあまり触れてきてはいませんでした。本当は、レース一つ一つについて振り返りたいのですが、どんなに絞っても23レースくらい紹介しないといけなくなるので、さすがに現実的ではない。

 

ということで、GⅠ馬を中心とした注目馬を何頭か紹介するにとどめておきます。もちろん、ここから新星が現れたり、2歳戦で敗戦を喫した子が一気に成長することも珍しくはないですが、とりあえずは現時点での趨勢を占ってみます。

 

欧州の牡馬・牝馬、それから米国の牡馬と3つのカテゴリーに分けてのご紹介。米国牝馬まではカバーしきれていないので、余裕があればやります。

 

種牡馬の横に付されている順位は2023年の欧州・米国それぞれの2歳リーディングです。

 

それではスタート。

 

 

  欧州 牡馬

 

「神話の痕」

シティオブトロイ

City Of Troy

3戦3勝(3-0-0-0)。アメリカ生産アイルランド調教馬。

父ジャスティファイ(8位、ストームキャット系)×母父ガリレオ。

カルティエ賞最優秀2歳牡馬。ムーア×オブライエンの黄金コンビ。その名伯楽ですら「限界がどこにあるのか分からない馬など1頭も管理したことがない。我々は管理馬たちを限界まで追い込むものだが、彼の限界は見つけられないかもしれない。こんな馬は初めてだよ」「彼は我々が管理してきた中でベストの2歳馬だね。間違いない。彼はジャスティファイ産駒で、彼らは進み続けるんだ。それがジャスティファイの特性さ」と評するほどの才能をもっています。英GⅡスーパーレイティヴSを6馬身半、英GⅠデュ―ハーストSを3馬身半で圧勝。英2000ギニーの舞台であるニューマーケット競馬場はもはや彼の庭と化しました。英クラシック戦線の主役はこの馬で間違いないでしょう。

 

「炉辺の詩聖」

ヘンリーロングフェロー

Henry Longfellow

3戦3勝(3-0-0-0)。アイルランド生産アイルランド調教馬。

父ドバウィ(7位、ミスプロ系)×母父ガリレオ。

母が英牝馬二冠をはじめGⅠ7勝の名牝マインディング。鬼の良血馬はデビュー3連勝で無敗を継続中です。9月の愛GⅠヴィンセントオブライエンナショナルSでは同厩の無敗馬「神話の痕」シティオブトロイとの直接対決が見込まれていましたが、相手が柔らかめの馬場を嫌い回避。ライバル不在の4頭立てとなったレースを5馬身差で圧勝しました。3歳戦では使い分けされる可能性が高いため、シティオブトロイvsヘンリーロングフェローの対決が見られるのはまだまだ先のことになりそうです。シティオブトロイが英クラシックを目標としているため、大目標は仏ダービーか。

 

「先陣の叡智」

エンシェントウィズダム

Ancient Wisdom

5戦4勝(4-0-1-0)。フランス生産イギリス調教馬。

父ドバウィ(7位、ミスプロ系)×母父ダラカニ。

イギリスの黄金コンビ、ウィリアム・ビュイック騎手とチャーリー・アップルビー調教師が携わります。6月にヘイドックとニューマーケットの7ハロンでデビュー2連勝も、若干疲れを残してしまったか3戦目のLパットエデリーS(アスコット7F)で「秘密の薔薇園」ロサリオンの3着敗戦。休養で立て直し、出世レースであるGⅢオータムステークス(ニューマーケット8F)で快勝し、アップルビー調教師に同レース4連覇、馬主であるゴドルフィンに同レース7連覇の偉業をプレゼントしました。そして中1週で挑んだ英最大の2歳GⅠフューチュリティトロフィーにて、逃げの手を打ち、最終コーナー過ぎてから一度は抜かれるも直線のスパートで巻き返し、2着デヴィルズポイント以下を1馬身3/4突き放してゴールイン。名伯楽は10ハロン向きの馬と評価しつつ、12ハロンも守備範囲内と発言し、ダンテS→英ダービーローテに含みを持たせました。

 

「秘密の薔薇園」

ロサリオン

Rosallion

4戦3勝(3-0-1-0)。アイルランド生産イギリス調教馬。

父ブループリント(2位、ストームキャット系)×母父ニューアプローチ。

半叔父トリプルタイムはGⅠクイーンアンSの勝馬であり、その他牝系に活躍馬が多数います。伝統ある名門リチャード・ハノン厩舎と中堅のシーン・レヴィー騎手のコンビ。6月、ニューベリーでのデビュー戦を鮮やかに飾り、次戦LパットエデリーS(アスコット7F)では「先陣の叡智」エンシェントウィズダムなど相手に4馬身差快勝。3戦目、9月のGⅡシャンペンS(ドンカスター7F)は重馬場で、しかも最終直線で前の馬の鞭が鼻に当たるアクシデントが影響し、初の敗戦(3着)。しかし初遠征となった10月1日の仏GⅠジャンリュックラガルデール賞(ロンシャン7F)では最後方待機から残り300メートルだけで9頭を呑み込み、「疑義なき才覚」アンクエスチョナブル以下を完封してGⅠ初制覇を遂げました。英2000ギニーへと駒を進めることはほぼ確定事項となっています。

 

「ソニックパターン」

ヴァンディーク

Vandeek

4戦4勝(4-0-0-0)。イギリス生産イギリス調教馬。

父ハヴァナグレイ(3位、ガリレオ系)×母父エクシードアンドエクセル。

欧州では(多分)唯一のGⅠ2勝馬。8月の英GⅡリッチモンドS・仏GⅠモルニ賞、9月の英GⅠミドルパークSと、すべて6ハロンのレースで勝利し無配を継続中。10月の英GⅠデュ―ハーストS(7ハロン)に参戦がささやかれましましたが、オーナーであるKHKレーシングのトップ、シェイク・カリド・ビン・ハマド・アル・カリファ(バーレーンの王族)がスプリント戦線に留まることを明言。英クラシックは不出走が濃厚です。今後は5月の英GⅢパヴィリオンSかGⅡサンディーレーンSから始動し、春の大目標は3歳スプリントGⅠコモンウェルスカップとなります。

 

「疑義なき才覚」

アンクエスチョナブル

Unquestionable

6戦2勝(2-2-1-1)。フランス生産アイルランド調教馬。

父ウートンバセット(4位、ゴーンウエスト系)×母父シーザスターズ。

アイルランドの黄金コンビ、ライアン・ムーア主戦でエイダン・オブライエン厩舎所属。すでに愛仏米の3か国でレースを経験し、大崩れはしていません。距離を伸ばして良化しており、8月の愛GⅠフェニックスS(6ハロン)で4着、10月の仏GⅠジャンリュックラガルデール賞(7ハロン)で2着、11月の米GⅠBCジュベナイルターフ(8ハロン)で1着。欧州に舞い戻ってクラシック路線を歩むことが期待されます。

おそらく同厩であるシティオブトロイおよびヘンリーロングフェローとの使い分け(23年度におけるオーギュストロダンとコンティニュアスみたいな)が予想されるため、愛2000ギニーを目指すことになるのでは?

 

  欧州 牝馬

 

「劇場奮わすアリエッタ」

オペラシンガー

Opera Singer

5戦3勝(3-1-0-1)。アメリカ生産アイルランド調教馬。

父ジャスティファイ(8位、ストームキャット系)×母父サドラーズウェルズ。

カルティエ賞最優秀2歳牝馬。半兄にBCジュベナイルターフ勝ち馬ヒットイットアボム、半姉にチェヴァリーパークS勝ち馬ブレイヴアンナを持ち、兄姉と同じエイダン・オブライエン厩舎に所属しています。カラの7ハロンで8着、レパーズタウンの8ハロンで1着、カラの7ハロンで2着という臨戦過程で臨んだ初重賞、出世レースのGⅢフレイムオブタラS(カラ8F)で6馬身半差の大勝を治めて一気にスターダムに。余勢をかってフランス遠征を敢行し、GⅠマルセルブサック賞(ロンシャン8F)でも5馬身差の圧勝をみせた。7ハロンで2戦2敗、8ハロンで3戦3勝と距離延長がプラスになるのは明らかで、英愛1000ギニーおよび英愛オークスの最有力候補といえるでしょう。

 

「幸せを運ぶ少女」

ポルタフォーチュナ

Porta Fortuna

7戦4勝(4-2-1-0)。アイルランド生産アイルランド調教馬。

父カラヴァッジオ(23位、ストームキャット系)×母父ホーリーローマンエンペラー。ドナカ・オブライエン(エイダンの息子)厩舎からデビューし、3戦目のGⅢアルバニーSでは名手デットーリのロイヤルアスコット開催80勝目をアシストしGⅢ連勝。その後に挑んだ牡馬混合戦、8月の愛GⅠフェニックスS(カラ6F)にて「太陽と海の醸造所」ブカネロフエルテに完敗の2着。続いて9月の愛GⅠモイグレアスタッドS(カラ7F)にて「灰色の堕天使」フォールンエンジェルに完敗の3着同着。悔しい連敗を晴らすために再びイギリス遠征を敢行し、英GⅠチェヴァリーパークS(ニューマーケット6F)を勝利し念願の初GⅠをつかみ取りました。11月にはアメリカに飛び、GⅠBCジュベナイルフィリーズターフにてハードトゥジャスティファイと半馬身差の2着。イギリスの堅良馬場であればパフォーマンスが発揮できますが、果たしてイギリスクラシックが堅良馬場になるかというと疑問。ドナカ調教師によると、7ハロンを越えるトライアルを試して、1000ギニーに行くか、スプリント路線に乗るかを検討するとのことです。

 

「灰色の堕天使」

フォールンエンジェル

Fallen Angel

4戦3勝(3-1-0-0)。イギリス生産イギリス調教馬。

父トゥーダーンホット(6位、ミスプロ系)×母父ロウマン。

トゥーダーンホット初年度産駒で、父に初GⅠをプレゼントした孝行娘。自然豊かなスピゴット・ロッジに厩舎を構えるカール・バーク調教師が担当する芦毛の牝馬です。重馬場で2着に敗れたほかは全勝で、英GⅢスイートソレラS(ニューマーケット7F)、愛GⅠモイグレアスタッドS(カラ7F)を連勝してシーズンを終えました。「彼女はとてもタフだ。他の馬がラスト1ハロンで襲い掛かってきても、それを打ちのめしてしまう。乗り味は良かったし、マイルに距離延長しても問題ないだろう。1000ギニーも期待できるよ」とタドホープ騎手も太鼓判を押しており、英1000ギニー制覇へ視界は良好です。

 

 

米国 牡馬 

 

「迅雷風烈」

フィアースネス

Fierceness

3戦2勝(2-0-0-1)。アメリカ生産アメリカ調教馬。

父シティオブライト(8位、ゴーンウエスト系)×母父ステイサースティ。

木曜に発表されるエクリプス賞最優秀2歳牡馬受賞の最右翼。東海岸の名門トッド・プレッチャー厩舎から送り出された優駿は、8月のデビュー戦を11馬身半差で圧勝し格の違いを見せつけるも、10月の米GⅠシャンペンS(ベルモントパーク8F)ではゲートトラブルとウェットな馬場を嫌ったか、7着に惨敗。しかし、人気を下げての参戦となったアメリカ最大の2歳GⅠBCジュベナイル(サンタアニタ1700)でその真価を存分に発揮する番手競馬を披露し6馬身1/4差と雪辱を果たし、「東の侵略者」として「雌伏雄飛」ムースをはじめとする地元勢を打ち負かしました。3歳初戦は2月の米GⅢホーリーブルS(ガルフストリームパーク1700)を予定しており、名伯楽に3つ目の薔薇のレイ(ケンタッキーダービー優勝馬にかけられるレイ)を贈るための路程は順調です。

 

「雌伏雄飛」

ムース

Muth

5戦3勝(3-2-0-0)。アメリカ生産アメリカ調教馬。

父グッドマジック(14位、ミスプロ系)×母父アンクルモー。

西海岸の名門ボブ・バファート厩舎のクラシックホースは盤石の先行押し切りで前哨戦の米GⅠアメリカンファラオS(サンタアニタ1700)を制するも、本番のBCジュベナイル(サンタアニタ1700)では「迅雷風烈」フィアースネスに完敗の2着。すでに3歳緒戦を走っており、バファート厩舎御用達のGⅡサンヴィセンテS(サンタアニタ7F)で三つ巴の争いから抜け出し巻き返しの勝利を収め、西の3歳馬筆頭であることを改めて証明しました。しかしながらこの7ハロン戦はケンタッキーダービー選出のためのポイントに加算されない(BCでの2着もバファート調教師が制裁を受けていたためポイント加算なし)ため、ムースは西海岸最大のステップレース、GⅠサンタアニタダービーを経てケンタッキーを目指すことになりそうです。

 

「赤月の狙撃手」

ロックト

Locked

4戦2勝(2-0-2-0)。アメリカ生産アメリカ調教馬。

父ガンランナー(4位、ファピアノ系)×母父マリブムーン。

東の名門プレッチャー厩舎所属で、「迅雷風烈」フィアースネスと同厩。10月に米GⅠブリーダーズフューチュリティ(キーンランド1700)にて後方からインを突き勝利を収め、1番人気で挑んだBCジュベナイルは同じく後方待機策をとりましたが3着に敗戦。ケンタッキーダービーを目指す過程としては、プレッチャー御用達のフロリダダービー及びその前哨戦GⅡファウンテンオブユースSなどがありますが、「迅雷風烈」フィアースネスとの再戦をプレッチャー調教師が組むのか、それとも使い分けるのか、注目です。

 

「恋多き歌手」

ティンバーレイク

Timberlake

4戦2勝(2-1-0-1)。アメリカ生産アメリカ調教馬。

父イントゥミスチーフ(6位、ストームキャット系)×母父ルッキンアトラッキー。

23年のチャンピオントレーナー、ブラッド・コックス調教師の管理馬。すべてのレースでベテランジョッキーのフローレン・ジェルー騎手が騎乗している。デビュー戦を9馬身1/4で快勝し、3戦目のシャンペンS(ベルモントパーク8F)でGⅠ初制覇。しかしながら次走BCジュベナイルは最後方あたりに置かれキックバックが苦しかったか4着に敗れた。コックス調教師が2連覇中のアーカンソーダービーからケンタッキーダービーに挑むローテーションが濃厚か。

 

ーーーーーー

さて、この辺にしておきます。

 

海外競馬も香港スチュワーズカップなどぼちぼち話題はあるのですが、ある程度溜まってから書こうと思います。とりあえずはサウジ・ドバイに向けて記事を書く準備をしたい。ドバイ登録馬とか見てダラダラ書く記事とか出るかもしれません。

 

それではまた。