こんにちは。

 

今回は有馬記念振り返りです。激動の今年を締めくくるにふさわしい、素晴らしいレースでした。

 

GⅠ馬8頭が1~8着。前有利でも後ろ有利でもなく、内有利でも外有利でもない、真に馬と騎手の力のぶつかり合いが見られた清々しさが気持ちよかった。

 

前段階からまともではなく、阪神9R・10Rに出走するドゥラ産駒の単勝500円を握って応援しておりました。9R出走のドゥラレジリエントはまさかの発走除外。一緒に見に行った先輩Aは返還を受け取りに行く私を見ながら至極嬉しそうに「可哀そうに」と声掛けをしてくれました。これがシャーデンフロイデかあ、と自分を慰めるしかなかった。

 

いや、ドゥラレジリエントが無事だったことがまずは良かったです。無理に走らせるよかよっぽどマシです。今年の競馬は悲しいニュースも多かったですし。

 

そんな私を励ましてくれたのが阪神10Rに出走したセントカメリア。ガイアフォースに勝利した経験があり、去年のローズステークス(9着)においては本命にしていました。5番人気からの快勝で有馬への資金を確保。北村友一騎手も大けがから復帰してフルシーズン戦うのは久しぶり。重賞勝利こそありませんでしたが、ダノンザキッドはじめ、印象的なレースはいくつも見せてくれました。

 

今回、先のシャーデンフロイデ先輩とは別の先輩Bとも一緒だったのですが、どうやら私がドゥラ産駒を買う時に先輩Bがいると相性がいいらしく、今年8月の関谷記念にてアヴェラーレ単勝を射止めたのも先輩Bと一緒の時。そんな先輩Bは中山10Rにてフェイトが沈み悲しそうな顔をしておりました。運気を吸ってしまったかもしれない。

 

資金がばっちり確保できた有馬記念。パドックや返し馬を見るまでもなく、買う馬券はすでに選定済みでした。グランプリの時には、応援馬券と共にテーマを決めた三連単を10点前後購入するのが常なのですが、今回はこんな感じ。

 

1. タイトルホルダーの相棒

3-4-10, 4-8-10

タイトルホルダー・ジャスティンパレス・ホウオウエミーズorライラック。

=横山和生・横山武史・田辺裕信or戸崎圭太。これまでのタイトルホルダーの鞍上4人です。

 

2. 三世代のダービー馬

2-5-13

シャフリヤール・ドウデュース・タスティエーラ。

=2021・2022・2023ダービー馬。2年前のジャパンカップで4世代のダービー馬そろい踏みなんてことがありましたが、有馬記念でこんなことめったにない。

 

3. 凱旋門に挑みし者たち

4-5-6, 4-6-15

タイトルホルダー・ディープボンド・ドウデュースorスルーセブンシーズ。

感動、期待、失意、憧れ、浪漫。色々なものを感じさせてくれた凱旋門への挑戦者たち。タイトルホルダーの横にいつもいてくれたプボ君を少しひいき目に買ってます。

 

4. 日経賞を走った仲間たち

4-8-9

タイトルホルダー・ライラック・ヒートオンビート。

連覇、今年の3着馬、去年の3着馬。ボッケリーニもいてくれたらなあ……

 

5. 春の天皇賞を走った仲間たち

4-6-10

タイトルホルダー・ディープボンド・ジャスティンパレス。

去年と今年の優勝馬、そして3年連続2着馬。ステイヤーの復権をかけて。

 

6. ジャパンカップ掲示板組

4-5-16

タイトルホルダー・ドウデュース・スターズオンアース。

秋3戦してくれた2頭。使い分けせずに出走してくれた1頭。

 

(写真にないですが、三連単も1点)

7. リーディングジョッキー

16>1>10

スターズオンアース→ソールオリエンス→ジャスティンパレス

=ルメール→川田→横山武。リーディング1~3位。

 

9点になったので、一番オッズが低い4-5-16だけ200円。

 

そして、応援馬券はタイトルホルダー単勝、スターズオンアース単勝。タイトル・スターズの馬単2点、タイトル軸の相手シャフリ・プボ・マリリンの馬連。そして、セントカメリアのおかげで買い足せたタイトル頭の三連単12点。全部合わせて大体4000円くらい。

 

しかしながら、楽しんで買ったそんな馬券をすっかり忘れるくらいに興奮してしまいました。

 

スターズの抜群のスタート。タイトルのハナ主張。2番手に付けたスターズ。引き離して逃げるタイトル。後続馬群を引き連れるスターズ。2頭のドゥラメンテ産駒に引き寄せられる私の視線。ドゥラの子供が、有馬記念を1番手・2番手で走っている光景。ここは現か幻か。

 

前半1000メートルは60秒4。私は「ここでペース落して!」と叫び、ビジョンに映されたタイトルホルダーを見て、4歳春のときの素軽さの影をみました。多少力んでいるように感じられたものの、マイペースで走ろうと心掛けているような姿にぐっと来ないはずがない。2番手のスターズは極限までリラックスした走り。前に出しつつフォームは崩さず。ルメールがトップパフォーマンスを崩さない理由がよくわかる道中です。

 

3コーナーではドウデュース、そしてジャスティンパレスの仕掛け。4コーナー終わるまでには捲り切っていないと、有馬記念で勝利することは難しい。そんなことは名手たちにとっては分かり切っていたこと。

 

それでも前方のタイトルホルダーのリードはまだある。青嶋アナの「16頭ぎゅっと固まる、いや、15頭だ。1頭は前を走っている」という実況を何回もリピートしたいくらい。もちろんテレビ中継は見ていないのでリアルタイムでは聞けませんでしたが、青嶋アナらしさ全開の素晴らしい実況でした。

 

4コーナーに入った瞬間、私は全力で叫びました。「タイトル、逃げろーっ!」

 

菊花賞の時、1度目の春天の時、宝塚の時、2度目の日経賞の時、私は一度も「逃げろー!」と声援を送ったことはありませんでした。というのも、4コーナーを回り、首をぐっと下げるタイミングで勝利を確信できるため、「いける!」とか「大丈夫!」とかそういった声しか出なかった。逃げ馬を応援するうえでは珍しいですが、タイトルホルダーの勝ち方は本当に盤石で、「逃げろー!」という言葉が出てこないくらいだった。1度目の日経賞やオールカマーですら「粘れ!」だった。

 

そんな私が今回、タイトルホルダーに向けては初めて「逃げろー!」と応援をしたのは、後ろから来る2頭の脚色、全盛期とは違うタイトルホルダーの走り、4コーナーで差をつけているのにいつも感じていた盤石さがないことの裏返しだったのかもしれません。精一杯の声援を送らないと、という気持ちの表れだったのかも。

 

残り200。やってきたのはドウデュースと武豊。内で抵抗するのはスターズオンアースとクリストフ・ルメール。懸命に粘るタイトルホルダー、懸命に手綱を押す横山和生。

 

残り100で交わされながらも意地の粘りを見せ突き放されることはなかったタイトルホルダー。大外枠のジンクスを打ち破り最後まで追いすがったスターズオンアース。そんな2頭を完璧な競馬で捉えたのは、ダービー馬ドウデュース。武豊は有馬記念4勝目。GⅠ3勝馬を捉えて火の出るような叩きあいを見せた同世代のダービー馬とオークス馬。なんてレースでしょう。

 

3着争いが若干際どくなりましたが、上り2位で突っ込んだジャスティンパレスを最内でタイトルホルダーが凌ぎ切り、みごと入着。スターズオンアースも複勝率0%の最強ジンクスを打ち破った最初の馬となりました。そして、やはり最後は武豊。競馬と言えば武豊。主人公のダービー馬とともに見事な復活劇を完遂しました。もう言うことない。もちろん悔しい。けれども清々しい。武豊に勝たれたなら、勝ったのがドウデュースならしょうがない。

 

思えば、上位3頭はすべて今年挫折を経験した馬でした。ドウデュースはドバイターフで、スターズオンアースは天皇賞秋で、そしてタイトルホルダーは天皇賞春で、それぞれ悔しい思いをしました。それを踏まえると、今回のレースを通して困難に打ち勝ち、あきらめずに挑み続けたものに道が開ける、そんなメッセージを贈られた気分になります。

 

4着ジャスティンパレスも外を回す展開になりながら猛烈な末脚をくりだし、5着シャフリヤールもダービー馬の意地を見せました。3歳馬も決して自分の競馬ができたとは言い難い中健闘。ラストランのウインマリリンも凱旋門賞ジョッキーが絶賛する根性を見せました。スルーセブンシーズは外枠、ディープボンドは行き脚の悪さに泣いた印象。

 

レース後、拍手を贈りながら自分が何といったかは覚えていません。「おめでとう!」か「頑張った!」か「よくやった!」か、はたまた「すごい!」か。いずれにせよ、いいレースを見れた喜びと、ラストランの寂しさと、届かなかった悔しさとで気分は高揚しきりでした。

 

芝生まで下りて前で見ていた(私は席についてみていました)先輩Aが帰ってきて、「誰も万馬券取れなかったみたいで」と声をかけたときに、私はようやく自分の馬券のことを思い出しました。タイトルが連対しておらず、スターズが頭でないなら、応援馬券は当たっているはずもなく。あとは三連複テーマ馬券に託すしか……

 

6. ジャパンカップ掲示板組

4-5-16

タイトルホルダー・ドウデュース・スターズオンアース。

秋3戦してくれた2頭。使い分けせずに出走してくれた1頭。

 

あったああああああああ!

 

ということで、いいレースを見た挙句お金までもらってしまいました。こんなおいしい話があってたまるか。

 

思えば、タイトルホルダーの馬券を初めて買ったのは菊花賞。その時も当てたのは3連複。その時の払い戻しは1万6000円くらい。今回も大体払い戻しは同じくらいでした。ここまでタイトルホルダーを応援し続けた私へのクリスマスプレゼントだと思って、なにかしらグッズでも買おうと思います。

 

タイトルホルダーの引退式を見たのは電車の中。席が4列シートで、しかも空いていてよかった。隣の人が馬の映像見ながら目をウルウルさせていたらぎょっとするでしょうし。

 

やっぱり個人馬主(実際は共同所有らしいですが)だと、言葉に熱がこもっている感じがして清々しい。クラブの代表の人たちの物言いってどこか政治家みたいに思ってしまう時がありまして。

 

「その名は、タイトルホルダー!」と叫んだ山田オーナーは楽しそうでした。クラブ馬でもなく、生産が安平でも千歳でもなく、ルメール騎手でも川田騎手でもなく、リーディングに絡むような有力厩舎ではなく、血統表にディープが入っておらず、逃げて強い馬で、長距離馬のはずなのに中距離をレコードで勝ってしまう馬。現代の強い馬が生まれるサイクルはある程度決まっていますが、たまにはそこから外れた馬がいたっていいですよね。「凱旋門賞は、当然和生で行きます」という発言もあるようにチーム・タイトルホルダーの結束の固さも特筆したい。そしてなにより、ドゥラメンテの初年度産駒にして、父が亡きあとに忘れ物を一つ一つ拾っていく馬。強くてかわいいお姉ちゃんがいる馬。

 

こんな特別な馬、忘れるわけないじゃないですか。

 

今回の有馬記念を経て、ドゥラメンテはリーディングサイアーほぼ当確。最後に特大の親孝行を1世代下の二冠牝馬と共に天へ届け、彼はターフを去ります。父のように良い仔をたくさん設けてほしい。そして、ここが一番重要なことですが、父に似ることなくいつまでも長生きしてください。

 

宝石緑宝物宝石緑

 

最後に、ドウデュースのジョッキーカメラが今年のベストドキュメンタリーだったので共有しておきます。

 

 

最後、映画かよ。やっぱり主人公じゃないか。来年、楽しみですね。あと、神様はスターズオンアースにもそろそろタイトルを上げてください。今年の裏MVPは間違いなく彼女ですから。

 

今年の競馬も楽しかったなあ、と言いたいところですが、まだホープフルと東京大賞典が残っています。ホープフルの開催は有馬の前日にした方がいいと思います。気分的に。

 

ホープフルの登録馬は現在出ておりません。普段ならこの時間には出るのに。ミスタージーティーが11/14の抽選を突破できることを記念して、今回は終わりとしたいと思います。

 

それではまた。