こんにちは。
いやあ、まさか、個人的好きなレース五指に入る、2015年皐月賞をウマ娘とリンクして取り扱えるなんて。
ウマ娘仕様の特別版名実況列伝は過去にも2本上げていますので、下に貼っておきます。興味ある方は是非どうぞ。
さて、それでは2015年皐月賞のレース背景から。
オッズ気配は3強+3といったところ。
メンバーレベルの高い前哨戦弥生賞を王道の競馬で完勝した無敗馬サトノクラウンとクリストフ・ルメールが1番人気。
共同通信杯勝者、スプリングSを上がり最速で追い込み2着惜敗のリアルスティールと福永祐一が2番人気。
4戦2勝ながら未知の爆発力を存分に感じさせる超良血ドゥラメンテとミルコ・デムーロが3番人気。
ルメール騎手とデムーロ騎手はこの年にJRA通年免許を取得しています。取得した初年度にクラシックの中心にいるのがさすがですね。
それに続くのが、前哨戦スプリングSを番手競馬で粘り切った無敗馬キタサンブラック、スプリングS3着の2歳王者ダノンプラチナ、弥生賞で出遅れながら鋭く差し込み2着に入ったブライトエンブレム。
無敗のマルジュ産駒か、安定のディープ産駒か、未知のキンカメ産駒か、はたまた。
実況はフジテレビの吉田伸男アナ。皐月賞実況は3年目にして最終年。2013天皇賞秋の実況「この破壊力!」が印象強い、力強い声のアナウンサーです。本記事では太文字+下線で表記します。
ウマ娘実況はおなじみ赤坂美聡もとい明坂さん。本記事では黄網掛+下線で表記します。今回は3コーナー手前から声が入りますので、序盤はお休み。
字幕などの確認をしていないので、聞き間違い(特に偽名ウマ娘)などあるかもしれませんが、ご容赦ください。
それではスタートです。
(↓放送後、再生回数が5,6万ほど増えてました。さすがの宣伝効果)
(勝負服画像はnetkeiba様からの引用です)
第75回皐月賞GⅠ、芝2000メートル態勢完了。ゲート開いてスタート切られました。揃った。15頭綺麗にそろったスタート。サトノクラウンがちょっと出負けの形。
綺麗にそろったスタートかと言われると、実はそうでもないゲートの出でしたが、サトノクラウンの出負けには言及しましたね。ドゥラメンテとベルラップも若干出遅れ気味。アオった馬などはいないので、まあ、「揃ったスタート」という表現が間違いというわけではないのですが。
さあ正面スタンド前、先行争い。キタサンブラックが出るのか、内からワンダーアツレッタ。3番のスピリッツミノルは行かない、行けない。スピリッツミノル行けない。
逃げて3連勝中のスピリッツミノルが2枠3番を引いた時点で、誰もがスピリッツミノルが逃げることを前提に予想を立てたでしょう。しかしながら、スタートの出が案外悪く、ドゥラメンテに寄られ、さらにワンダーアツレッタが前に切り込んだことで逃げの手を打てず。鞍上の酒井学騎手は出ムチまで打ったのですが、結局引かざるを得なくなりました。吉田アナも驚きをもって伝えています。「行かない」を「行けない」に言い直したのは非常にこまやかな意識。実際、行きたかったのに行けない状態でしたから、「行けない」が正解です。
キタサンブラック、それから外から、なんとなんと、14番のクラリティスカイ。クラリティスカイ横山典弘の逃げ。これは意外な展開になりました。2番手にキタサンブラックです。なんとなんと、横山典弘クラリティスカイの逃げという波乱の幕開け。
サトノクラウンを映すようなカメラワークだったのですが、そこに言及できなかったのは前方で波乱があったから。スピリッツミノルが行けないかわりに、それまで逃げたこともないピンク帽のクラリティスカイが先頭に立ってしまったのですからさあ大変。ノリさんの前ポツンが炸裂です。明らかに促していかせていますので、「横山典弘」というワードを入れることは必須でしたが見事にクリア。なんか、ノリさんが逃げさせたってだけで、ああしょうがないか、みたいな気持ちになるのなんなんですかね。
クラリティスカイの逃げになりました、2馬身のリードを取っています。キタサンブラック浜中俊が2番手、そしてワンダーアツレッタ3番手、スピリッツミノル行けませんでした酒井学。そして、赤い帽子がリアルスティール、外からコメートです、並んでいます。そして中団の前あたり、ダノンプラチナ芦毛の馬体、9番ミュゼエイリアンです、タガノエスプレッソ、外からはベルラップが上がっていこうというところ、内から1番のブライトエンブレム田辺裕信。そして8番のサトノクラウン、サトノクラウン、クリストフ・ルメール。ゼッケン2番のドゥラメンテ、ミルコ・デムーロ。
2コーナーから向こう正面にかけての馬読みです。騎手や馬番、帽子などを挟みつつ、澱みない進行。主に人気馬には騎手の名前をあてがっていますが、リアルスティール福永祐一のみ言及がありませんでしたね。個人的な好きポイントは「サトノクラウン、クリストフ・ルメール。……ドゥラメンテ、ミルコ・デムーロ」の並列読み。当年に通年免許を取得した二人と人気馬二頭を対にして読み上げるの、いいですよね。「ルメール」と「デムーロ」はアクセント位置が同じで子音も似ているので対比させやすいですし、実は「クリストフ」と「ミルコ」も音節数は近いのです。「クリストフ」はもともと5音節ではなく3音節。「ミルコ」はカタカナ読みすれば3音節。「クリストフ」を速く「ミルコ」ははっきりと発音するようにして、並べて読み上げたら案外並列関係がしっかり成立します。
そしてグリーンの帽子です。1000メートル59秒2というペース。11番、ダノンリバティとベルーフが並んで行っています。全部で15頭、やや縦長というか少し塊加減で3,4コーナー中間地点。なんと逃げたクラリティスカイ横山典弘、1馬身のリード。キタサンブラック2番手、スピリッツミノル、さあ外から、赤い帽子外に出したリアルスティール、ワンダーアツレッタ、ミュゼエイリアン、内内ブライトエンブレム。
馬読みの最終盤にて、ペースに言及。「グリーンの帽子です」と「11番」は本来並べて言うべきなので、かなり無理やり入れ込んだ感じがありますが、同じような実況は結構あります。頭数や距離によって1000メートルの通過タイムは違うので、型を作ることも難しい。中途半端なタイミングでペースが表示された場合、今回みたいに馬読みに読み込む場合もあれば、覚えておいて後から読む場合、そもそも読まない場合、1000メートルではなく800もしくは1200の通過タイムを読む場合などなど、対応は多岐にわたります。今回は、前の隊列が予想外の展開になっているため、ペース言及は必須だという判断で読み込んだのでしょう。隊列の予想外さは「やや縦長というか少し塊加減で」という言及にも表れているように感じます。
大外を回って、大外を回って、クリストフ・ルメール。おーっとっと、ぶつかったぶつかった。弾き飛ばされたのはドゥラメンテ、不利がありました。
スピリッツミノルの逃げ失敗、そしてクラリティスカイの逃げ敢行。想定を超える出来事が続く三冠レースの第1戦において、それらを霞ませるほどの大事件がおきます。さすがに想定を超えすぎていて、吉田アナも正確な描写ができませんでした。そりゃまあ、あれだけ外にぶっ飛んだのをみたら、誰もドゥラメンテが勝手にやったなんて思いません。不可抗力でああなったと思うのが普通です。そもそも、サトノクラウンが満を持して伸びようとしていたところを描写していたのですから、サトノクラウンを中心とする絵にいきなりドゥラメンテが入り込むような感覚になっているはず。ドゥラメンテの行動を間違えずに描写しろなんて、レース結果が分かっていないと無理な話です。
まあこの実況によって、いまだにドゥラメンテが皐月賞にて不利をうけたと思っている人もいるでしょうから、実況の力というのはそれほど強いのだな、と思うのですが。
さあ、各ウマ娘向こう正面から第3コーナーへと差し掛かる。クラシック三冠の初戦、皐月賞は誰が勝ち取るのか。ここで1番人気サトノクラウンが上がってきた。久方ぶりの無敗の皐月賞ウマ娘誕生なるか。サトノ家の悲願、この上ない形で達成することができるのか。おーっとととと、ドゥラメンテ、はじかれるように大きく外に回ってしまった。
というわけで、明坂実況も開始。もちろん吉田実況リスペクトであり、比較が楽しいです。ドゥラメンテのドリフトシーンは、さすがに実情が分かっているため若干の手直し。「はじきとばされたのは」と断定の形であった吉田実況を、「はじかれるように」とマイルドに直しています。これなら誤解は生まない。ドリフトの瞬間のカメラアングルも一致していましたね。早速比較動画が作られていました。
さあクラリティスカイ、外からリアルスティール、外からリアルスティール、200を切った、内で懸命にキタサンブラック、キタサンブラック、リアルスティール、
速いペースだったわりに前残り気味で、実況の描写は比較的やりやすかったでしょう。注目するのは基本3頭だけでよく、途中からは2頭で良かった。このセンテンスのあとには、もしかしたら、完璧な競馬を披露したリアルスティールの勝利実況が待っていたのかもしれません。しかしながら、とんでもないことが起こり続けた皐月賞のフィナーレにふさわしい光景が飛び込んでくることとなるのです。
最終直線に入って、後方も一気に追ってきた。内の先行勢も粘っている。サトノクラウンはまだ中団、果たして届くかどうか。中山の直線は短いぞ。最後の坂に入ったところで、外からゲンジツスチール、200を切った。内で懸命に粘るキタサンブラック、キタサンブラック、内はキタサンブラック、外からゲンジツスチールだ。キタサンブラックを交わすか、交わした、僅かに先頭、ゲンジツスチール。
明坂実況は若干尺長め。まあ、中盤まで声入りしていないですし、終盤を濃厚に描いていましたし。「中山の直線は短いぞ」いうとりますが、アニメウマ娘の中山直線はいつも若干長い。それにしても「ゲンジツスチール」ですか……。ちょっと不満。もちろん実名で出してほしかったのもありますが(固有キャラデザが非常に良い仕上がりなだけに)、変えるにしてももっとこう、かっこよく変えてほしかった。ディクタストライカとかダイサンゲンとかめちゃくちゃセンスあったのに、どうしてしまったんでしょう。「内で懸命に」はシンクロしてましたね。
外からドゥラメンテ。外からなんと、ドゥラメンテ。これほどまでに強いのか、ドゥラメンテ。強い、ミルコデムーロ・ドゥラメンテ、これほどまでに強いのか。
外からドゥラメンテ、外からなんとドゥラメンテ、これほどまでに強いのか、これほどまでに強いのか。ドゥラメンテ、強い。皐月賞を制したのはドゥラメンテ。これが神が与えた天賦の才か。恐れ入りました。
ドゥラメンテのレースキャリアにおいて、おそらく1番の名実況が「これほどまでに強いのか」でしょう。もはやドゥラメンテを表す代名詞ともなっていることが、名実況たる所以です。もちろん明坂実況も外しはしません。それどころか、繰り返して言いました。やはりこのフレーズが1番のハイライトだということを理解していたのでしょう。「外からドゥラメンテ!外からなんと、ドゥラメンテ!これほどまでに強いのか!……ドゥラメンテ!強い!」とシンクロ。凝った台詞回しも複雑な表現もなにもないシンプルな実況ですが、だからこそ荒削りの完勝劇が際立っています。
明坂実況の「恐れ入りました」はおそらく吉田実況の方ではレース後でもいわれていなかったと思うのですが、どこか杉本アナか塩原アナを思わせるようなフレーズ。いろんな人の実況をトレースしなくてはいけない明坂実況ならではの、実況アナウンサーの個性の混在がみられているような感じもします。
史実だとゴール板後にミルコと福永がグータッチするのですが、ウマ娘でもそうしてくれたのでしょうか。ドゥラメンテとゲンジツスチールのグータッチがみたい。誰か書いて。あと、「4コーナーだけすごくコマッタッタ」ってコメントするイケメンミルコの魂をおろしたドゥラメンテもほしい。
と、話がそれ始めたところで終わりにしておきます。それでは次回予告をば。
「人事を尽くして栄光を待つ。いや執念で、その手につかみ取れ」
「難しい難しい1,2コーナー中間です」
「ここからはもう後戻りのできない真っ向勝負!」
「阻むものは誰もいなかった!」
名実況でもあり、人によっては迷実況でもある……。「タンタアレグリア蛯名!」をどう解説せえっちゅうねん……
なんだかんだ青嶋アナの実況を取り上げるのは初になりますね。いつかは珠玉のスプリント実況を取り上げようとは思っています。
とりあえず次回も特別版を継続。青嶋アナを憑依させた明坂実況にも注目です。「なるほど、そう来たか」という感じでしたね。
2話始まる前までに投稿したいのですが、できるかな?頑張ります。
それではまた。