はじめに
今回は上中下の構成です。
この記事における「記録」とは、物理事象を利用して「残して取り出せる(活かされる)こと」を指します。
一方で「記憶」とは、意識される何かを「残せて取り出せる(意識される)こと」を指します。
(意識もまた物理事象であるとするならば、記憶は記録の一部と言えるでしょう)
光子が量子として作用することを明示するため「光量子」と記します。
用語を調べられるようなるべく参考のリンクを近くに置くようにしました。
今回も提起している部分の正しさを示した証拠がありません。
思考中であり将来変更する可能性もあります。
全体(上中下)の要約
原子同士から生物に至るまでの、物質の結合について概観します。
物質の結合エネルギーと神経細胞が信号を流す時のエネルギーの違いを明らかにします。
意識される記憶がどのように神経細胞に蓄えられ、どのように引き出され、意識になるか考察します。
各種の受容器で起こる物質の変化と神経細胞へ渡される信号についても考察します。
神経細胞が経路を構築する(物理としての記録)と、意識される記憶について整理し、意識がどのように生じ得るか改めて考えます。
最後に前回の電気と磁気の話(意識について 2023年版)との関連について整理します。
話題ごとの要約
()の上中下は、記した記事を指しています。
物質が結合する仕組みの考察(上)
物質が結合する際、これから結合しようとしている原子との相性のみならず、すでに結合している他の原子からの影響も受け、次の結合を決めているかもしれません。
それをポテンシャルと紐づけるため「電磁エネルギー循環構造」という考え方を導入します。
電磁エネルギー循環構造は、化合物の中で運動し続けている正負の粒子の影響を受け、周期的に変化しているであろう動きを伴った電磁ポテンシャルです。
物質の結合による記録と記録を操作する仕組み(上)
物質が結合して成長する過程では、下記の様な指標が段階的に評価されて成長すると考えます。
① ある原子同士の結合や分離の可能性
② 結合した時の形
③ 結合した時の大きさ
④ 結合状態が変遷するサイクル(循環)の長さ
これらは「が電磁エネルギー循環構造を安定させる方向に変化する」と付け加えることを想定しています。
①から③のどの場合も、ある結合状態から次の結合状態に移行するまでには「許容されるエネルギーの幅」があり、この「許容範囲が大きい化合物」が、他と比べて残りやすくなるため「記録の役割を担う」と捉えます。(記憶ではなく記録と呼びます)
この記録が活かせる時間幅で(時間軸を加えて)安定する条件を探索するよう変分原理が拡張できると考えます。
④は、①、②、③について時間を跨いだ変遷を考慮し、電磁エネルギー循環構造が「例えば」最短時間で元の化合物に戻せるサイクルを見つけるように働くのではないかと考えます。
こうした結合の原理の変遷が生物を生み出したのかも知れない点について併せて、考察します。
物質の記録と意識される記憶の関係について考察(上)
以下を確認した上で「意識される内容」=「記憶」がどの様に神経細胞に残るのか考えます。
神経細胞も化合物(結晶や原子も含む)です。
神経細胞では部分的に構成を変えてしまう程のエネルギーがやり取りされ、代謝なども行われています。
そんな構造が変わる中でも記憶が残り呼び起こして意識できます。
神経細胞を壊さない程度のエネルギーで信号を伝播させるようであり、何らかの仕組みで神経細胞に記憶を残しているようです。
このことから、化合物の結合(神経細胞を維持するような活動の)エネルギーの流れと、意識で必要なエネルギーの流れは、ほとんど、あるいは完全に独立しているのではないかと考えられます。
物質結合はある光量子の単位でエネルギー交換されるのに対し、意識される記録は、その光量子単位未満の範囲の事象であると「推測」し、化合物のやり取りから独立が保たれていると「推測」します。
そのため、光量子を使って観測しようとしても、意識の内容は捉えられないかもしれません。
記憶と意識の組み立ての再考(中)
神経細胞を流れる信号は、電磁ポテンシャルの一過性の変化に相当すると考えられます。
受容器で受け取った内容(意識の要素となるもので記憶を担うもの)が、光量子未満の偏差という形で、この一過性の電磁ポテンシャルに刻まれ、一緒に流れていくと「推測」します。
この偏差としての影響は、神経細胞を構成する電磁エネルギー循環構造にも渡され、同じく偏差という形で残り続けます。
この受け渡しと時を同じくして、神経細胞の電磁エネルギー循環構造に溜まっている既存の偏差があれば、信号(一過性の電磁ポテンシャル)がそれを受け取ります。
この偏差を与えて受け取る相互作用は、常に電磁作用が発生している中で連続的または光量子で刻みより細かい粒度で行われます。
これらは、量子エンタングルメントを一般化する過程で説明されるような現象かもしれません。
偏差は受容器により刻まれ方が異なっていると考えます。
各受容器でどのように偏差が刻まれ、どんな記憶になり得るのか整理します。
意識が生じる条件の探索(下)
意識が生じる主な場面として、目標達成で試行錯誤を伴う思考を取り上げます。
試行錯誤の経過を比較して評価するため、短期的に神経細胞に記録する必要が生じます。
この記録の形成で、神経回路の経路を集める特性が現れ、応じて流れる信号も集まり、少ない箇所に流れを集約するようなことが起こると考えられます。
また、目標と現状を穴埋めする手段を、受容器から下流へ流れる信号とは逆の、遡りながら探す流れを生み出しているとも考えられます。
この集約や時間の遡りが物理的に生じるとき、偏差を効率的に保持し、時間を遡って整理する必要性が、一過性の電磁ポテンシャルの中でも生じると「推測」します。
この時、変分原理により整理されるとするのですが、「質感に関わる偏差と、その質感を発した位置(=方角と長さ)に関する偏差」において、方角と長さは最短となる位置(方角と長さ)に換算され、質感はそこを占める最大確度の範囲を埋めるよう配置され、これが意識になると考えます。
前回と今回の話を整合させる(下)
前回の「意識は磁気側から電気側を推測している」について振り返り、修正点を述べます。
物質が結合する仕組みの考察
原子間の結合についておさらいします。
(補足)
この原子間の「結合」とは、電磁気相互作用による結合を指します。
ここには液相から固相への転移も含まれます。(液相から気相への転移ではありません)
「分離」についても述べますが、同様の条件です。(固相から液相への転移に相当します)
電子を介した代表的な化学結合に、共有結合、金属結合、イオン結合があります。
電子を介した結合とは異なり、他の力を介した化学結合もあります。
また、物理学では4つの基本的な相互作用が説明されています。
重力相互作用、弱い相互作用、電磁相互作用、強い相互作用です。
素粒子物理学の標準モデルでは、これら相互作用を介在する粒子があると説明しており、その粒子をゲージ粒子と呼びます。
化学結合は電磁相互作用に相当し、力を伝達すゲージ粒子は光量子(フォトン)に対応しています。
結晶構造は、基本構造と格子の組み合わせから説明されます。
基本構造が、格子にどう配置されるかで結晶の形が決まるとされています。
格子に並ぶ時の結合も、化学結合です。
結晶がどのように構造を成長させるかという意味では、予測の仕方が研究されています。
ある時点の結晶について、その後どのように大きくなるかという意味で、その時点の結晶を取り巻く状況を様々な視点で整理することによって、成長予測の精度を上げて行こうとする試みが続いています。
重要そうな視点に、結晶内のエネルギーや、結晶を取り巻く周囲のエネルギーがあります。
ここでいうエネルギーは電気エネルギー(電気が流れれば磁気が働く)や熱エネルギー(電磁気で伝播)です。
これらのエネルギーは光量子(つまり光)とみなすことができ、電磁相互作用としての結合の力を生み出します。
物理学の相互作用と化学結合の関係を簡単に図にすると以下のようになります。
つまり化学結合は電磁作用の力のみのとなっています。
図 物理学の4つの相互作用と化学結合や結晶の関係
次に結合され方についてもう少し詳しくみていきます。
例えば氷晶の場合、単純な柱状ではなく、対称六方向に樹状に成長する結晶があります。
この独特な形は、空気中の水蒸気の量や気温(熱エネルギー=電磁気エネルギーであり光量子に換算できるエネルギー)が関係して現れるとされます。
こうした結合のあり方から推測するに、(ここからは推測ですが)
結晶内(結合されている物質内)の電磁相互作用のエネルギーは、結合を発揮させる(光量子を使い倒すような)エネルギーの構造を持っていると「推測」します。
このエネルギーの構造は、結合する複数の原子間を跨いで広がっており、さらに、今の原子間の結合構造に対し、次にどのように拡張させるかを決める条件そのものになっていると考えます。
この条件は、結合した方がよりエネルギーの構造が安定するという、安定さを表すポテンシャルに対して変分原理が働き、生じるのではないかと考えます。
次の図はこの考えを模式的に表したものです。
三角がある結晶の基本構造を表しており、もし同じ三角の基本構造が近づいてきたならば、どこに結合し得るか、その配置を候補として示したものです。
図中の矢印(→)は、いずれか候補に結合した結果を表し、さらにその後、もし同じ三角の基本構造近づいてきたならば、どこに結合し得るかを、合わせて示した図にもなっています。
成長では、これが繰り返され、右へ向かうように成長が続きます。
図 結晶の結合と結合先の予約(イメージ)
このように、結晶内の電磁作用の何らかの構造が「次にどんな形にすると安定するか候補を提示し、実際に結合で拡張させていく仕組みを提供している」と考えます。
この構造を決めるような電磁相互作用の働きを、物質内の「電磁エネルギー循環構造」と呼ぶことにします。ここで「循環構造」としたのは、動き続けていながらも何らか形を保っており、循環しているからこそそれが実現できていると思われるためです。
こうした仕組みの一つに、電磁エネルギー循環構造が安定する方向性として、結晶が大きくなってもその形状が保たれるようなことも起こるのではないかと考えられます。
氷晶における樹状の成長や、いくつかの宝石で特定の形が維持されながら成長するといったことも、潜在的な電磁エネルギー循環構造の安定さから裏付けられないかと考えます。
(実際にそのような研究成果があれば知りたいところです)
- 補足
電磁エネルギーの循環構造の存在は、立証されていません。
結合で電気や電磁のエネルギーが使われている点では疑いはないとは思います。
電磁ポテンシャルの点で何らか振動現象を見出せると、この循環構造が見えてくるようになるかもしれません。
物質の結合と分離の一般化
結晶は、結合した原子が規則的に並んで構成させることからそのように呼ばれます。
並び方を気にしない場合、その構成物の割合などから、様々な呼び名をされますが、ここではそれらを「化合物」と呼ぶことにします。
この記事では、大まかな分類として、原子1つの場合は単に原子と呼び、いくつかの原子の集まりが格子状に並ぶ場合を結晶と呼び、それ以外は化合物と呼ぶことにします。
従来は化合物と呼ばない特殊な結合状態、例えばカルボキシル基と呼ぶこともありましょうし、アミノ酸と呼ぶこともあるでしょうし、タンパク質と呼ぶこともあるでしょうし、細胞と呼ぶこともあるでしょうし、ミジンコと呼ぶこともあるかもしれませんし、ヒトと呼ぶこともあるかもしれませんが、ここでは化合物と呼ぶことにします(厳密には、細胞、ミジンコ、人は化合物、結晶、原子から構成されています)。
同じ原子の集合を考える際、それらの原子がバラバラになっている時よりも、それらの原子が結合している時の方が、より多くのエネルギーが利用されます。
結合するとき、エネルギーが結合した化合物に取り込まれます。
反対に、化合物から一部の化合物や原子を分離させる時、エネルギーが放出されます。
結合=光量子が吸収される、分離する=光量子が放出される、に対応します。
ちなみに、結合している原子核同士の相対的な位置は、止まっているわけではなく周期的に変化しています。つまり振動しています。
振動しながら全体的に安定しているような状態です。
こうした原子核の振動も電磁エネルギー循環構造に寄与しているものと考えられます。
感覚的な話ですが、結合する方が安定することについて考えます。
エネルギーを一様に広げたほうが(すべて光になって四散するほうが)より効率的に安定するように思われるのに、物質が結合する方が安定するというのはどういうことなのでしょう。
我々が見ている静物(物質が停止しているように見えている物)は、小さいスケールで見ると結構な勢いの振動現象を伴っており、それこそ暴れ回っているのかもしれません。
現に原子核も電子も動き回っているようで、言ってみればものすごくガタついています。
そのガタガタしている状態を、より安定させるため、別のガタガタをくっつけて、全体としてはガタガタの程度を小さくしようということなのかもしれません。
そしてこの「ガタつき」は陽子と電子のような電荷に偏りがある粒子同士が近づいても、よりガタつくようになっているのかも知れません。
だからこそ、陽子と電子は結局はくっつかないみたいなことになっているのではないかと考えます。
最初に安定する距離が少なくとも距離ゼロでないところにしかないみたいになっているのです。
このガタガタをシェアする=結合すると安定するため、結合という現象が成立しているのかもしれません。
最後の感覚的な話はさておき、電磁エネルギー循環構造の視点から、結合と分離を以下で整理します。
結合は、以下の場合に起こると考えられます。
・結合した方が電磁エネルギー循環構造として安定する場所がある
・結合条件を満たす化合物、結晶、原子に加え、光量子が結合するために必要な距離に近づく
(相手の化合物、結晶、原子により安定の度合いは異なる)
電磁エネルギー循環構造に、結合する可能性があることを、結合ポテンシャルがある、と呼ぶことにします。
分離は、以下の場合に起こると考えられます。
・電磁エネルギー循環構造として分解しそうな不安定な場所がある
・結合していなくても誤魔化せるだけの十分な光量子で空間が満たされている、または、より安定した相手が近くに見つかる
電磁エネルギー循環構造上、周囲の光量子でも誤魔化しが効くようになる(それなりに温度が高い場合になる)と、結合しているのか光量子で誤魔化されているのか区別できなくなり、離れても見かけ上安定すると考えられます。
(すでに結合済みの部分も、多数の光量子の影響を受けてガタつきかたが変わっている可能性もあります)
電磁エネルギー循環構造に分離する可能性があることを、分離ポテンシャルがある、と呼ぶことにします。
結合ポテンシャルは、結合前に結合しやすさを測る指標、分離ポテンシャルは、結合中のものの離れやすさを測る指標です。
様々な化合物、結晶、原子が混在する環境では「電磁エネルギー循環構造の分離ポテンシャルの高い箇所から順番に分離が起こり、より安定な電磁エネルギー循環構造に移るよう、結合ポテンシャルの高いもの同士が結合する」と言った反応が、連鎖的に起こるとを予見させます。
詳細にこれらを議論し、物理式を用いて表すようにするには、量子物理の立場で、原子なり、結晶なり、化合物のエネルギー準位を調べ、関連するすべての化合物(結晶や原子を含む)間のエネルギーの差を示しながら、どれが、どんな条件で結合し、また分離するのかを説明する必要があります。
- 注意
結合と分離をこの様に整理することが正しいかは、議論が必要です。
以降は、電磁エネルギー循環構造の正しさと、電磁エネルギー循環構造による結合や分離の考え方の正しさが証明されてからでないと、本来語るべきではないでしょうが、続けます。
2024年6月 意識について 2024 上 (1)