こんにちは!
愛群生殖医療センターです。
女性の場合、キャリアを積んでいる中で、ふと子どもを授かりたいと思った時には卵子が老化してしまっている、そんな事実を突きつけられることがあるかもしれません。
そう気がついた時には、体外受精のために何度も採卵を試みても、1度の採卵でとれる質の良い卵子はごくわずかになってしまう可能性があります。
今回は当院の統計に基づき、この問題についてお話ししたいと思います。
こちらの表をご覧ください。
こちらは体外受精治療中の30歳の女性と42歳の女性がそれぞれ10個の卵子を採取し、同じ条件で顕微注入受精と培養技術を行い、正常胚の数を調べた結果です。
上の表からも分かる通り、お2人の結果は異なっていました。
違いは「卵子の年齢」です。
なぜ高齢の生殖細胞は異常を起こしやすく、老化した卵子からの正常胚の発育率が低いのでしょうか?
細胞の「染色体DNAの構成」は、「DNA本体」とその末端の「テロメア」から構成されています。
細胞の複製過程において、DNA全体は次第に消耗されていきます。一番先に影響を受けるのはDNAの末端に位置したテロメアです。細胞複製の繰り返しによって消耗され、テロメアの長さは短くなり始めるのです。
若い方の細胞は「テロメラーゼ(テロメアDNAをあらたに合成してテロメアを伸ばす働き)」の修復機能によって正常に長さを維持できますが、老化した細胞のテロメラーゼでは十分に機能せず、テロメアの修復はできなくなります。
その細胞はやがて複製を続けることができなくなり、アポトーシス(細胞の自然死)になる傾向にあります。
卵子の質は、妊娠を希望する女性の年齢が上がると、その影響を受けやすくなるのです。
卵子細胞は、体内遺伝子、遺伝物質、外部環境汚染、ミトコンドリアの状態、ストレスなど多くの要因により影響を受け、時間の経過と共に徐々にその要因の影響が
蓄積され、表面化してきます。
ほとんどの人は、環境の影響に耐えられるだけのストレス耐性を有しており、体内の細胞は一般的な成長曲線に従って変化し、閉経は平均して50歳前後になります。
しかし一部の方は、染色体遺伝子の制御が適切でなく、外部からの衝撃に耐えることができない場合があります。
最初の変化は、生殖細胞の急激な減少、卵子の数の急激な減少、早発卵巣不全などが起こり、30代、さらには20代の早期閉経や閉経に直面するのです。
「卵子の年齢」いかに重要かがわかりますね。
次回は「卵子を若々しく保つ秘訣」についてお話ししようと思います。
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