最終回 天国のキップ(1) | 一乗寺浩詩のブログ小説の世界

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小説『天国のチョコレート/Heaven』

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最終回 天国のキップ(1)

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日が長くなったせいか夕方になっても


街はまだ暗くならないで明るかった。


都村潤二チョコレート専門店



店内で店長の川辺にきいた。


「安田君 何故辞めたんですか。」



「ええ、それがですね。


大学を卒業して大きな会社に就職して


色々なレストランのプロデュースを


やりたいなんて言い出しましてね。」



「それでレストランのプロデュースなんかしてどうするんだ。


って言ったら。」


「お客さんに喜んでもらえるレストランを


作ることが自分の喜びだ。


ベルーフだ。


なんて難しいこと言いましてね。」


「自分でやりたい事があるんじゃ


見送ってあげることしか出来ないんでね。


みんなで送り出してやったんですよ。」



店長の川辺は右手で自分の顎


何度も触りながら言った。


「今この店で食べられるチョコレートの大半は


安田が当時考えたものなんです。」



「安田の置き土産ってやつです。」



川辺はまた話し始めた。



「店をつづけてTVや雑誌に取り上げられる度に、



安田に元気でみんなでやってるぞって


分かってもらえるかなと思って店を


つづけてきました。」



「安田君とは連絡は取ってなかったんですか。」


「ええ、あいつは弱音なんか吐くやつじゃなかったから


お互い連絡は取らなかったです。」



「そうですか。


どうも貴重な時間をすいません。



安田君の話を聞かせて頂いて


ありがとうございました。」


そう言って



都村は川辺に頭を下げると店を出た。




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