林田学監修:薬事法違反事例集

林田学監修:薬事法違反事例集

今までにあった薬事法違反の行政指導事例などを集め検証していきます。

【2025.4.24】

 

♦ 「クオリプス」(東京)は4月11日、同社が展開してきた培養上清液ビジネスを当面中断すると発表した。
♦ 日本再生医療学会による注意喚起など、培養上清液ビジネスをとりまく環境の変化を踏まえた判断。

♦ 培養上清液ビジネスの再開については、「風評リスク等の回避が可能であると判断した場合には再開することもあり得る」とし、再開時期は未定。
♦ 同社は、同年4月8日に、「ヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シート」の製造販売承認を厚労省に申請したと発表しており、今後はiPS細胞を利用した製品開発に注力する方針と述べた。
 

*リソース:クオリプス株式会社 プレスリリース「ヒト(同種) iPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認申請のお知らせ」 4/8

      IRニュース「当社の培養上清液ビジネスに関するお知らせ 」4/11

【2025.4.24】

 

♦特定適格消費者団体「消費者支援機構関西」は4月22日、景品表示法違反で措置命令を受けたエステー(東京都新宿区)に対し「再問い合わせ」活動を行った結果、同社から回答を得たと発表。

♦ 同団体が公表したエステーの回答書によると、同社は3月24日時点で、消費者からの問い合わせ17件のうち、返金2件、交換6件に対応済み。
♦ 不当表示による売り上げの利益を保持しない措置として、一般社団法人全国公正取引協議会連合会に100万円を寄付したとも回答。
♦ エステーは2024年4月25日、花粉対策効果をうたった4商品の表示に対して合理的根拠が不足していたとして、消費者庁から措置命令を受けていた。

 

*リソース:特定非営利活動法人消費者支援機構関西 新着情報「MoriLabo4商品を販売したエステー株式会社から、「再お問合せ」に対する「回答書」を受領しました。」 4/22

https://www.kc-s.or.jp/archives/10006371

【2025.4.24】

 

♦医療機器メーカー「ニューベイシブジャパン」(東京都中央区)の営業担当者4人が、無資格で他社製のX線装置を操作していた問題で、関西医科大学総合医療センターと横浜新緑総合病院がX線照射の事実を認めた。

♦関西医科大は「メーカー担当者が放射線照射スイッチを押したが、医師は指示していない」と回答。

♦横浜新緑病院では、社員がX線照射を認め、医師への聞き取りからも事実と判断したが、指示の有無について医師は「1年近く前のことで覚えていない」と話している。

♦新聞社の調査によると、計5病院でX線装置の無資格操作が行われた可能性があり、他に和歌山県立医科大学附属病院、兵庫医科大学病院、大阪府内の病院が調査中と回答している。

 

*リソース:Yahoo!ニュース(朝日新聞)4/23配信

【2025.4.21】

 

♦医療機器メーカー「ニューベイシブジャパン」の営業担当者4人が、整形外科の手術に立ち会い、無資格のままX線照射装置を操作していたことが判明した。

♦X線を人体に照射する行為は、診療放射線技師法により有資格者(医師、歯科医師または診療放射線技師)に限られており、違反すると刑事罰の対象となる。

♦同社は厚生労働省に報告済みで、外部弁護士による調査を開始している。

♦福岡資麿・厚生労働大臣は4/18の会見で個別の事案についてのコメントは差し控えるとしたうえで、「一般論として、無資格での操作は法令違反となり刑事罰の対象になると認識。実態把握に努める」と述べた。

 

*リソース:Yahoo!ニュース(TBS)4/18配信

            厚生労働省 令和7年4月18日付大臣会見概要

【2025.4.21】

 

♦獣医師免許をもたない福岡県筑後市のブリーダーの女(39)が、自ら販売用のチワワ1匹とトイプードル1匹にマイクロチップを注入する診療行為したとして、獣医師法違反の疑いで書類送検された。

♦女は「時間を節約するため」として、過去に少なくとも100匹の犬に自分でワクチンやマイクロチップを注射していたと供述している。

♦福岡県太宰府市の獣医師の男(71)も、2023年10月から2024年8月にかけて、国の許可や届出をせずに動物用ワクチンやマイクロチップをブリーダーの女に販売したとして、薬機法違反の疑いで書類送検された。

♦男は2021年12月の開院以降、少なくとも80人のブリーダーやペットショップに販売したと供述している。

♦事件は2023年3月に「ブリーダーが自らワクチンやマイクロチップを注射している」との匿名通報を受けて発覚した。

 

*リソース:Yahoo!ニュース(RKB毎日放送)4/18配信

【2025.4.14】

 

♦消費者庁は4月7日、「いわゆる『ダークパターン』に関する取引の実態調査」を公表した。

♦調査対象となったのは、国内の消費者が閲覧し取引を行うことができるウェブサイトのうち、消費生活相談情報から消費者とのトラブルが存在すると考えられるものや、売上高から国内の利用実績が多いと考えられるもの。

♦最も多く見られたダークパターンは「事前選択」で、これは「事業者の望む選択肢がデフォルトで事前選択されているもの」であり、例として「複数あるコースのうち高額コースがあらかじめ選択されている」ケースなどが挙げられている。

♦次に多かったのは他の選択肢が存在しないかのように誤認させる「偽りの階層表示」、消費者が誤解する可能性のある評価や口コミに関する表示をする「お客様の声」、会員登録を強制されたり登録が必要だと思いこまされたりする「強制登録」。

♦「お客様の声」の例示としては「高評価レビューが強調されているもの。」「評価や口コミが虚偽の可能性があるもの」などが例示された。

♦本報告書では、調査したサイトのなかには、景品表示法、特定商取引法、個人情報保護法、特定電子メール法等に関係すると思われるものがあったとしている。

♦本報告書は、消費者庁新未来創造戦略本部国際消費者政策研究センターが作成したものであり、消費者庁の公式見解を示すものではないとされている。

 

*リソース:消費者庁 「いわゆる『ダークパターン』に関する取引の実態調査」4/7

リサーチ・ディスカッション・ペーパー

参考資料(ダークパターン事例イラスト集)

【2025.4.10】

 

♦「クオリプス」(東京)は4月8日、「ヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シート」の製造販売承認を厚労省に申請したと発表。

♦クオリプスは大阪大学の澤芳樹特任教授が最高技術責任者が務めるベンチャー企業。

♦心筋細胞シートは、他人のiPS細胞から作製した心筋細胞をシート状に加工したもの。

♦iPS細胞から作られる再生医療製品の製造販売承認申請は国内初で、世界でも初とみられる。

♦適応は虚血性心筋症による重症心不全。

♦申請に用いたデータは2020年1月から2023年3月にかけて、大阪大学医学部附属病院を中心とする4つの医療機関で実施された医師主導治験(8例)に基づくもの。

♦同社によると、治験では全例で疲労感や動悸などの症状の軽減、半数以上で心機能や運動能力の改善がみられ、重篤な副作用は確認されなかった。

 

*リソース:Yahoo!ニュース(KYODO)4/8配信

      クオリプス株式会社 プレスリリース「ヒト(同種) iPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認申請のお知らせ

【2025.4.9】

 

♦Googleは4/7、「Googleビジネスプロフィール」と「Googleマップ」の信頼性確保のための施策の進捗状況を発表。

♦信頼性確保のため、Google AI「Gemini」を活用した不正検出システムを強化するとともに、「消費者アラート」を進化させる。

♦「Googleビジネスプロフィール」では、疑わしいプロフィール編集をAIが識別し、編集をブロックする。

♦消費者アラートは、「Googleマップ」における不審な口コミ活動やGoogleポリシー違反を検出し警告を発するシステム。
♦施設に訪れていないユーザーが投稿したと疑われる★5レビューなどをAIが検知、該当ページに警告バナーが表示され、口コミの投稿制限や一時的な非表示が行われる。

♦上記不正に対してAIは、最初に口コミが投稿されてから数か月後でも、レビューを頻繁に再確認して、新たな不正行為のパターンを特定できる。

♦さらに、不審な高評価レビューを削除した場合に警告を発する仕様が、米国・英国・インドで導入され、2025年5月から日本を含めた世界展開が予定されている。

♦Googleは、業者や個人による偽レビュー投稿をポリシー違反として禁止しており、違反行為の監視を継続強化している。

 

*リソース:Google「New ways AI helps keep business information trustworthy」 4/7

            https://blog.google/products/maps/google-business-profiles-ai-fake-reviews/

            Google「消費者アラート」            https://support.google.com/contributionpolicy/answer/15178562

【2025.4.7】

 

♦厚生労働省と経済産業省は3月28日付で「健康寿命延伸産業分野における新事業活動のガイドライン」を改正。

♦本ガイドラインの趣旨および概要は次の通り:

・産業競争力強化法第9条において、グレーゾーン解消制度(新事業活動を実施しようとする者は、規制法の解釈や適用の有無について主務大臣に確認できる)が規定されてる。

・医療・介護に関わる「健康寿命延伸産業」では、ニーズの高い事業を類型化し、グレー損解消制度の活用と併せ、ガイドラインとして基本的な法令解釈や留意事項を示す。

♦本ガイドラインは、制度の活用状況に応じて随時見直される。

♦本ガイドラインでは、「適法となる例、違法となる例」も示され、例えば「無資格者である民間事業者が、傷病や障害を有する者に対して、自ら診断等の医学的判断を行い、運動/栄養指導サービスを提供する場合。」は違法として記載されている。

♦適法の例としては「民間事業者が、簡易な検査(測定)を受けた利用者か否かに関わらず、利用者等からの照会に応じ、食事や運動等の生活上の注意、健康増進に資する地域の関連施設やサービスの紹介、利用者からの医薬品に関する照会に応じたOTC医薬品の紹介、健康食品やサプリメントの紹介、より詳しい健診を受けるように勧めることを行う場合には、個別の検査(測定)結果を踏まえたものではなく、一般論としての範囲で行うこと。」などが記載されている。

 

*リソース:厚生労働省 「健康寿命延伸産業分野における新事業活動のガイドライン」(最終改正令和7年3月28日 厚生労働省・経済産業省)」 3/28

【2025.4.7】

 

♦消費者庁は4月1日から、機能性表示食品の新規届け出に「PRISMA2020」準拠を必須とする制度を開始した。

♦これに併せて、消費者庁は機能性表示食品の届け出情報検索システムも改修。

♦改修後のシステムでは、「PRISMA対応」と「前回の自己点検報告月」の項目が新設。

♦いずれも4月1日か時点ではほぼ空欄であり、今後の変更届出や1年ごとに実施される自己点検で事業者が入力することで反映される。

♦同庁は、2025年3月31日までに届け出された機能性表示食品について、2026年3月末までに自己点検を求めている。

♦同庁は、この新しい機能性表示食品制度届出データベース用のマニュアル(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms205_250331_01.pdf)も公開している。

 

*リソース:消費者庁「機能性表示食品制度届出データベースを更改しました」 4/1