林田学監修:薬事法違反事例集

林田学監修:薬事法違反事例集

今までにあった薬事法違反の行政指導事例などを集め検証していきます。

消費者庁は5月19日付で特別用途食品制度の許可基準型病者用食品に「経口補水液」を追加した。

現在、無許可で「経口補水液」と表示している商品については、2025年5月末までに容器包装を差し替えなかった場合、健康増進法違反として取り締まる。

 

改正の背景としては、無許可で「経口補水液」「熱中症」対策とうたった商品が流通していることがある。

定められた基準を満たさない場合、脱水状態に対応できない可能性があるほか、脱水状態でない人が利用し、ナトリウムの過剰摂取にならないためである。

 

許可基準型病者用食品の「経口補水液」は

『感染性胃腸炎による下痢・嘔吐の脱水状態に適する』旨の表示がされる。

また、販売時には電解質組成を調整した一般的なスポーツドリンクとはくべつして陳列することが求められる。

容器包装には『医師からはナトリウムまたはカリウムの摂取量を制限をしじされた場合にあっては必ず医師の相談または指導を得て使用する』旨などの注意喚起表示を求めている。

許可基準型病者用食品の「経口補水液は」の栄養成分の基準は、ナトリウムが100mlあたり92~138mg、カリウムが同59~98mg、塩素が同106~212mg、ブドウ糖が同1.00~2.60g。ナトリウムとブドウ糖の濃度比を1:1~1:3.5、浸透圧を300mOsm/L以下と定めた。
 

「熱中症」対策などを表示する場合は個別評価型病者用食品の「経口補水液」として申請し、許可を取る必要がある。

容器包装の切り替えや許可を取るために時間が掛かることから、2025年5月末までの2年間を経過措置期間としてせっていし、消費者庁は都道府県などに向けて食品関連事業者への周知を要請した。
 

そのほかに、今回の改正により、特別用途食品の「総合栄養食品」と「えん下困難者用食品」については、風味などが異なるシリーズ商品を一括して申請できるようにした。

従来は個別に申請する必要があったが、企業の負担を軽減し、申請しやすくした。

 また、個別評価型病者用食品として既に許可を得ている商品と、関与成分や栄養成分、有効性、使用方法などが同じ商品についは「同一性がある」と整理し、既許可品の臨床データを使用できるようにするなど、手続きを簡素化した。

 

厚生労働省と東京都は5月23日、八王子市の精神科病院「滝山病院」に対して診療報酬請求が適正であったかどうかを調べるために指導に入った。

診療報酬請求について不正があるとの情報提供を受けたためとしている。

不正についてはカルテと診療報酬明細書(レセプト)を照合し、院長にも話を聞くなどして確認が進められている。

 

滝山病院は、看護師が患者を殴るなどの暴行2件が虐待だと都に認定され、医療法に基づく改善命令が4月に出された。

5月には病院が改善計画書を提出していた。

コロナ禍で需要の増えたパーソナルトレーニングでの骨折や健康被害の報告が多発しているとして、消費者安全調査委員会(消費者事故調)は5月19日、この件で実態調査を始めたと発表した。

報告のあった事例から、事故原因などを分析して再発防止策を検討するとの事。

トレーナーには法的な資格の義務がないため、サービスや加減はトレーナー委ねられるためにトレーナーの資質が問われる。

過度なトレーニングや極端な食事制限はあったとみられる事例もあるという。

幸薬品の主力製品であった「クレベリン」を巡る問題で、19日大幸薬品は、柴田会長に96億円を支払うように興和が株主代表訴訟を大阪地裁で起こしたと発表した。

(大幸薬品は提訴は3月17日付けとしている)

消費者庁は「クレベリン」の表示には根拠がなく、景品表示法違反に当たるとして再発防止命令を出した。

それを受けて大幸薬品は業績が大幅に悪化し、21年12月連結純損益は約96億円の大幅赤字となった。

興和は令和4年12月末時点で大幸薬品の発行済株式の3.0%を持っている。

消費者庁は『ウイルオフ』などの空間除菌製品を販売した大木製薬に対して景品表示法違反(優良誤認)で課徴金4655万円の納付命令を出した。

『ウイルオフ』はテレビCMなどで「ウイルス除去率99%」や「二酸化塩素のパワーでウイルス除去」などとうたっていたが、合理的な根拠が認められず21年12月に表示の取りやめを求める措置命令を出されていた。

この件を受け、大木製薬は「広告審査体制を強化し、再発防止に努める」とコメントしている。

消費者庁は、「Dr.MISO-SHIRU」を販売していたW-ENDLESS(ウェンドレス)に対して景品表示法違反(優良誤認)で課徴金530万円の納付を命じた。

該当商品は「食事制限なしで飲むだけで痩せられる」などとうたい、当該商品を摂取するだけで著しい痩身効果があるいかのように宣伝していた。

合理的な根拠が認められないとして22年4月に再発防止の措置命令を受けていた。

今回の命令に対し同社は、「今回の命令を厳粛に受け止め、コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努めてまいります」とコメントしている。

株式会社香塾(大阪市)から販売されている健康茶で新たに2商品からステロイド成分のデキサメタゾンが検出された。

対象の商品は「ジャムーティー・ブラック」「ジャムーティー・ブレンド ショウガ+」

現在は販売中止要請が出され商品回収が行われている。

“花粉症に効果がある”として広まったが、消費者センターに寄せられた相談47件のうち9件は健康被害の訴えだった。

製品に表示された飲み方で飲んだ場合(1日1回)

15歳未満の子供の場合、医薬品として摂取する1日の最低限量と同等。

大人の場合で、約3分の1の量のデキサメタゾンを摂取することになる。

継続して飲用していた場合、急に飲むのを止めると健康状態へ影響がでる恐れ  があるとして、医療機関への受診が勧められている。

消費者庁はインターネット上で販売されている商品に、健康増進法の規定に違反しないかの監視を行い、結果を公開した。

期間は2023年1~3月までで、ロボットにより無作為に検索されたサイトを目視して行われる。

・「生活習慣病」「動脈硬化」等、疾病の治療または予防を目的とした効果があるかのような表現

・「免疫力」「肝機能」等、身体の機能一部を増強・増進を目的とする効果があるかのような表現

・「肥満」「美肌」等、身体を美化し魅力を増し、容貌を変える効果があるかのような表現

この結果、167事業者170商品で改善指導が行われた。

この調査は四半期毎に行われ、前回よりは減少がみられた。

厚生労働省は5/12、社会保障審議会の医療部会を開催し、オンライン診療などの遠隔医療を推進する基本方針案をおおむね了承した。

患者側の通院の負担減・継続治療の実現と、医療従事者側の訪問診療や感染リスク軽減などが期待されるため、幅広い普及に繋げたい。

今後、これからオンライン診療を導入する医療機関に対しての手引書やチェックリストなどの作成が予定されている。

一方で、都道府県や市区町村では住民にもオンライン診療を実施している医療機関を分かりやすく示すなどの工夫が求められる。

消費者庁は4月27日、窓ガラスに塗ることで光触媒の効果で新型コロナウイルスや花粉が除去

できるとして『エアープロット』を販売したゼンワールドに、景表法違反(優良誤認)で再発防止を求める措置命令を出した。

「新型コロナ減少率97.53%」とうたっていたが、合理的な根拠は認められなかった。

これを受けてゼンワールドは「今後は表示の仕方を変えて対応する」としている。